元日産の水野和敏氏が台湾で開発したプレミアムカー

 こんにちは。AD高橋です。

 「マンちゃんさあ、ちょっと付き合って欲しいところがあるんだけど、来月のスケジュール空けておいて」

 こんなメッセージがフェルさんから届いたのが10月中旬。いったいなんだろうと思っていたら……。なんと試乗会へのお誘いでした。フェルさんから飲み以外の誘いがあることにビックリ。しかも大分県にあるオートポリスで開催されるというのです。本気の試乗会じゃないですか!

 みなさんはLUXGEN(ラクスジェン)というブランドをご存知でしょうか。LUXGENは台湾の裕隆グループが手掛けるプレミアムカーブランドで、SUVやセダン、ミニバンなどをラインナップしています。

 裕隆にはHAITEC(華創車電技術中心)という自動車開発会社がグループ内にあります。ここの副社長を務めるのが水野和敏氏。そう、元日産自動車のエンジニアで、現行型GT-Rの開発を手掛けた「ミスターGT-R」と呼ばれる人物です。

 実は水野さんは「走りながら考える」の第12回に初登場以来、たびたび本企画にご登場いただいています。そんな水野さんからフェルさんのもとに直々のお誘いがきたU6というSUVのマイナーチェンジモデルの試乗会。簡単ではありますがリポートをお届けします。

 U6のマイナーチェンジにあたり、水野さんはフルモデルチェンジと変わらないほどの改良を加えたそうです。エンジンはレース用のエンジンチューナーとして有名な東名エンジンと共同開発し、サスペンションはビルシュタインに。タイヤはU6のために専用開発。ほかにもトランスミッション、ブレーキ、シートなど、多くの部分に手が加えられました。

 その理由を水野さんは2つ挙げています。ひとつは来るべき自動運転社会に向けてクルマの信頼性を高めること。そしてもう一つはクルマの「楽しさ」をとことん追求するため。

 「クルマってさ、本来はライフスタイルの中でエモーショナルな道具だったはず。でも知らず知らずのうちに冷たい道具になってしまったよね。もう一度クルマを熱く楽しいものにしないと」

 U6の上級グレードであるGT220でオートポリスのメインコースと荒れた路面のレイクサイドコースを走ってもっとも驚いたのは上質な旋回性でした。重心が高い位置にあるSUVはコーナーで車体が大きく外側に沈み込みます。かといってそれを無理に抑えようと足回りを固めすぎるとGを受け止めきれずに外にはじき出されるような感じを受けます。しかも硬い足ではちょっとでも荒れた路面を走ると不快な振動に悩まされることになります。U6は足を劇的に固めているわけではないのに車体の沈み込みをいなしていくような感覚でコーナーをクリアできます。

 下りのストレートからタイトコーナーに入るときの強いブレーキングでもクルマが振られることがありません。さまざまな操作を自然にこなしていきます。U6の駆動方式はFF。しかしその走りは4WDのプレミアムSUVにも引けを取らないものでした。

 ダイナミックで優雅な走りを味わえるU6はまさにGT。残念ながら現段階で日本での発売は予定されていませんが、旅行などで台湾を訪れた際はぜひ乗ってみてほしいですね。

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この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。