1.4リットルとは思えぬ迫力のエキゾーストノート

 ドアを開ける。ドアパネルの造形は大きく異なるが、開ける感覚はロードスターとほぼ一緒である。内装はアグレッシブでレーシーな雰囲気だが、よく見るとデザインはやはりロードスターとほぼ一緒。エアコンのつまみや吹き出し口はまったく同じデザインである。それほどバカ売れするクルマでは無いので、わざわざコストをかけて型を起こし、個別デザインにする訳にはいかないのである。

 着座位置を調整しようとレバーに手をかけたら、シート下のスライドレバーは、例の“クリーニング屋のハンガー”の触感なのであった。徹底した軽量化のために、極限まで絞り上げられた例のアレである。

シートのスライドレバーは例の「クリーニング屋のハンガー」級の細さである。(写真はロードスターのもの)
シートのスライドレバーは例の「クリーニング屋のハンガー」級の細さである。(写真はロードスターのもの)

 スタートボタンを押し、エンジンをかける。窓を開けていると、野太いサウンドが車内に飛び込んでくる。

 エンジンはロードスターより100cc小さい1.4リットル。そこに強力無比なターボが付けられ、最高出力は170馬力である。リッターあたりの馬力は、高性能車の証である100を軽く超えて、124馬力になる。

 西口地下ロータリーから新宿中央公園に向かう長いトンネル。こちら側は客を待つタクシーの列も無く、気持ちよく走ることができる。強くアクセルペダルを踏み込むと、グワッと気持ちよく加速する。昨今のダウンサイジングエンジンに用いられるマイルドな味付けではなく、所謂「ドッカンターボ」に入る部類である。

 とはいえそこは21世紀。当節流に一定の「節度」が感じられ、往年のドッカン系と比べれば大分おとなしいものである。

 少しだけ窓を開けて、地下道に反響するサウンドを聞いてみる。どこをどのように味付けしたらこのような音が出るのか。とても1.4リットルとは思えぬ迫力のエキゾーストノートが、トンネルの中を満たしている。これは気持ちが良い。だがいったん窓を閉めると、外からのノイズはピシャリと遮断される。防音防振対策はロードスターよりも厳格であるようだ。

こちらが遠路はるばるお船で運ばれて来たフィアット製のエンジンである。1.4リッターマルチエア4気筒ターボ。最高出力は170ps/5500rpm、最大トルクは25.5kgm/2500rpmと誠に立派な数字である。
こちらが遠路はるばるお船で運ばれて来たフィアット製のエンジンである。1.4リッターマルチエア4気筒ターボ。最高出力は170ps/5500rpm、最大トルクは25.5kgm/2500rpmと誠に立派な数字である。

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