:はい、事実です。理屈として事実なんですが、このN-VANというクルマに対しては、理屈として当てはまらないことがあるんです。実は荷物を積んでもフロントが持ち上がらないんです。

F:理屈として当てはまらない? フロントが持ち上がらない? それはなぜですか?

:なぜか。サイドビューの図面を見てください。後ろのタイヤより後ろに荷物を積むから前が持ち上がる。後輪の車軸を支点にしたテコの原理です。でもですね、もう一度図面を見てください。N-VANって、リアタイヤがクルマの一番後ろにあるでしょう。後輪の後ろの部分、リアオーバーハングがほとんどないクルマなんですね、これは。

古舘さんの指がある部分が、N-VANのリアオーバーハング。後ろのタイヤが車体ギリギリにあるので、その長さは極小だ。
古舘さんの指がある部分が、N-VANのリアオーバーハング。後ろのタイヤが車体ギリギリにあるので、その長さは極小だ。

F:確かに。後輪より後ろがないから、テコの支点と力点の距離が、うんと短いことになる。反対に作用点となる前輪まではかなりの距離がある。これではテコが利かない。

あえて最大200kgにした理由

:そうなんです。トラックとかセダンなどは後輪の後ろが長く、ここに当然オーバーハングがあるので後ろに荷物を積むと前が浮いてしまう。ステーションワゴンもそうです。やはり後ろに積むと前が浮く。それじゃ坂道は上れない。だから後輪駆動じゃないとダメだよねと。これは事実です。理屈としてもそうです。でもN-VANはどうですか。タイヤが四隅にあるでしょう。荷物を積んだら後ろに荷重がかかるのは事実だけど、だからと言って前が浮くことにはなりません。前が沈むことはないけれども、少なくとも浮くことはない。

F:なるほど、リアオーバーハングがないからテコが利かない。

:そうですそうです。それともう一つ。床が高いと坂道に入って車体が斜めになったときは、より後ろに荷重がかかりやすくなるのですが、N-VANは思い切り床が低い低床構造です。だから重い物を、よっぽど意地悪してわざわざ一番後ろに積んだりしない限りは、普通に荷室にポンと積む分には、前後に荷重がかかるだけなんです。

F:納得です。大納得。あースッキリ。

:ちなみに、これは他で話していないことなんですが……。

F:お! 秘話ですか。賜ります。

:軽自動車というのは、2名プラス荷物350kgと規定されていて、それ以上は積んじゃダメよと決められています。4名乗車の場合は、それが250kgになります。でもこのクルマで4名乗車の場合、あえて最大200kgに抑えているんです。

F:4名乗車の際の最大積載量を、あえて50kgも減らした。それはなぜですか。

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