「ボルボとかベンツとか、大きいのはすごいけど……」
デルマス:あれはすごいですよ。ボルボとかベンツとか、大きいのはすごいけど、小型は不得手でしょう。日野といすゞ。すごいですよ。いま一番注目しています。
おっと、もうこんな時間。お店の人もそろそろ帰らせてあげないと可哀想(笑)。明日も早いし。今日はこのへんで切り上げましょう。いや実に楽しかった。
明日はミシュランの技術をたくさん見て下さい。新しい研究施設の感想を聞かせて下さい。

我々も日本に負けないクリエイティビティを持っています。日本人とフランス人は根本のところで良く似ているのだと思いますよ。新しいものが大好きだけど、古いものもキチンと大切にする。そしてミシュラン。履いて下さい。フェルディナントさん、履いていますか。
F:もちろんです。帰国したら、スタッドレスに履き替えないと。
デルマス:日本の研究所も見学して下さい。日本独自の研究開発を行っていますから。とても興味深い取材が出来ると思いますよ。日本のエンジニアはとても優秀かつユニークです。
F:分かりました。一度取材に伺います。今日は遅くまでありがとうございました。

気が付けば他の客は全て引き上げており、ウェイター氏が手持ち無沙汰で立っていた。
ミシュランの副社長インタビュー。お楽しみ頂けましたでしょうか。
次回は試乗したまま記事にしていなかったトヨタ 86GRMNの試乗記と開発者インタビューをお送りします。お楽しみに!
欧州メーカーが採用する”承認タイヤ”とは?
こんにちは、ADフジノです。
クルマ好きの方なら、タイヤの大切さはよくご存知でしょうが、一見すればどれも黒くて丸いゴムなだけに、なかなかその重要性を理解してもらえないものでもあります。
一般的にタイヤ1本あたりの接地面積はわずかハガキ1枚分と言われます。クルマにおいて唯一路面と接するパーツであり、高性能化、省燃費化が進むなかで、タイヤが機能してはじめて、自動車は本来の性能を発揮することができます。そういう意味では、クルマにおいて何よりも重要なパーツの1つと言えると思います。
高速域で走れば走るほど、バーストなどの危険性は高まります。欧州メーカーはタイヤの重要性をよく理解しており、以前から車両開発と並行してタイヤ開発を行ってきました。なかでもRR(リアエンジン・リアドライブ)という特殊なレイアウトで、極めて後輪に負担の大きいポルシェ911は、その代表例として知られています。
ポルシェは、タイヤに対して独自の基準を設けており、それをクリアしたものだけがポルシェ承認タイヤとして“N”マークが付与されます。同じブランド、同じ銘柄であっても、Nタイヤはコンパウンドの配合やジオメトリーが異なるため、ポルシェはNマーク付きのタイヤを装着してはじめて走行性能と安全性を保証する、という厳密な対応をとっています。それほどまでにタイヤが重要だという裏付けでもあります。
近年は、高性能化につれ、アウトバーンを擁するドイツメーカーなどがこうした承認タイヤのシステムを導入しており、メルセデスは「MO」、BMWは「☆」(スター)、アウディは「AO」や「RO」といったマークが入っています。またフェラーリやランボルギーニ、アストンマーティンなどもスーパーカーももちろんこの仕組みを導入しています。
国産車で、厳密にタイヤの指定を行っている代表例が日産GT−Rです。上記のような承認タイヤという形式ではなく、サマータイヤとしてはGT-R専用に開発されたダンロップ製のランフラットタイヤのみを純正装着しており、この純正品以外の使用はメーカー保証の対象外となるという力の入れようです。以前、開発過程を取材したことがありましたが、GT-Rの開発責任者だった水野氏は、「アウトバーンを300km/hで走行中にタイヤがバーストしても無事に戻ってこられる性能を実現しなければいけない」と話していました。たしかにタイヤは命をのせた部品なのです。

ところで、本編にも話が出ていましたが、タイヤの交換時期を見極めは難しいものです。目視で、すり減ってスリップサインが出ていたり、ヒビ割れていたりすればわかりますが、長年屋根つきガレージで保管された車両のタイヤなど、状態によっては見た目では判断がつかないことも。フェルさんも本編で「3年経ったら交換しましょうと聞いています」と書いていますが、中古車の場合などは、その3年を判断するのが難しいこともあります。
これは中古車を買う際には必ずおすすめするチェックポイントですが、タイヤのサイドウォールには、DOTナンバーといって、サイズや製造工場などを表した記号があります。その中に製造週、製造年の情報が含まれています。上のポルシェのタイヤを見てみると、「DOT」の文字があり、その後いくつかの数字が並んでいます。その中にある「4615」が製造時期を表したものです。前半2桁が週、後半が年を意味しており、2015年の46週(11月中旬頃)に製造されたものということがわかります。これは、ミシュランにかぎらずどのメーカーのタイヤにも刻まれている情報ですから、クルマをチェックする際には、目安の1つとしてぜひ確認してみてください。
この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
セミナー開催 フェルディナント・ヤマグチ流「部下育成」!

本コラムの著者、フェルディナント・ヤマグチ氏が「日経ビジネス課長塾オンデマンド」主催のセミナーに登壇します。
今回、課長塾オンデマンドではあえて、「企業人としてのヤマグチ氏として、登壇してください」とお願いしました。なぜならヤマグチ氏は、「コラムニストとの両立」という多忙な生活を、20年もの長きに渡り成立させてきた人だからです。本セミナーでは、そんなヤマグチ氏ならではの(仕事についての)方法論に迫ります。
とはいえ講演時間は、わずか1時間。そこで今回は、「部下育成」にテーマを絞って話していただきます。部下やチームのマネジメントにお悩みの方は、ぜひご参加ください!

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