ドロドロ音は見事に抑えられ、まるで“普通”のクルマ

 しかし近所迷惑は杞憂に過ぎなかった。当代取って5代目の新型インプレッサのエンジン始動は極めて静かなものだった。静まり返った早朝の住宅街でも、一切気にする必要はない。ドロドロ音は見事に抑えられ、まるで“普通”のクルマのようである。

 スバル自慢のスバルグローバルプラットフォーム。車体は少し大きくなり、その分車内も広くなっている。だが運転席の適度な”包み込まれ感”は失われていない。この辺の設計には相当神経を使って作り込んでいったのだろう。シートの“第一印象”も上々だ。座った瞬間にクルマとぺたっとフィットするような感じが心地いい。

 ギアを入れて走り出す。トランスミッションは、私があまり好きではないCVTである。この時間だから、裏道を使う必要もあるまい。バス通りに出て世田谷通りに入る。クルマはほとんど走っていない。尻と掌と足元に神経を集中する。新しいプラットフォームを感じ取るためだ。大蔵の長い上り坂。病院前の道路の継ぎ目。砧公園横のワインディング……。

 アレ?どこがスゴいのコレ?
 運転していてもスゴさが分からない。前のクルマと比較して、どこがどのように進化したのかが体感できない。ボディの剛性が高く、ボディが鳴かないことは間違いない。だがそれは前モデルのインプレッサだってそうだった。どこかが飛び抜けて良くなったとは思えない。

 用賀から首都高に乗り、ハイスピードで走り出してから、その思いはますます強くなった。どこが進化したんだコレ?車体が大きくなったのと、多少静かになったこと以外は進化が感じられない。大橋ジャンクションを右に入り、例のグルグル回る坂を下る。適度なロール。切り増し切り戻しの不要な安定したハンドリング。コーナリングはSUBARU“らしく”非常に気持ちが良い。だがそれも、前のインプレッサと同じことだ。ホントに進化したんスか?

 モヤモヤした気分のまま、常磐自動車道に入る。クルマの流れは速い。良い気持ちで走る。追い越しでアクセルをグッと踏み込むと、直ちに“疑似キックダウン”をする。CVTは嫌いだが、SUBARUだけは別だ。この会社のCVTの味は世界で一番美味である。この辺の秘訣は、開発者インタビューでぜひ聞いてみよう。

 それにしてもこのプラットフォームである。どこがどのように進化したのか。

 もてぎに到着する。サーキット走行の打ち合わせ。我々へボ連中に色々と教えて下さる、S耐のレーサーM氏が、インプレッサを目ざとく見つけた。

インプレッサでツインリンクもてぎに参上

M氏(以下、M):お、フェルさん。新しいインプレッサじゃないですか。試乗ですか?

フェルディナント(以下、F):ええ試乗です。SUBARU渾身の新しいプラットフォームらしいのですが、どこがどのように良くなったのかサッパリ分からなくて……。

 それじゃ試しに一回り、ということで、M氏がハンドルを握り、場内の連絡路をぐるっと一回り。もてぎの場内は道幅が広く、起伏に飛んでおり、適度なコーナーが随所にある。試乗には持ってこいの場所だ。