牛は1回のお産で1頭。みなさんご存知でしたか?

F:そういえば、停電の時はどうでしたか。牛はお乳を出さないと死んでしまうと聞きましたが、それは本当なのですか?

:うん。最近の乳牛は品種改良が進んで、牛乳を出す機械みたいになっているから、停電で搾乳機が止まると、乳を出せないで乳房炎になって、それが元でいろんな合併症になって最悪死んじゃうこともあるね。

F:人間が搾るわけにはいかないのですか。

:あームリムリ(笑)。人手が足りない。搾乳機使っても人手が足りないのに、人力なんてとてもムリ。最近じゃ「搾乳ロボット」と言って、牛がケージに入ると、機械が乳房を見つけて自分で吸い付いて、自動で搾乳してくれる装置がある。ファーム(大規模酪農家)で導入しているところもあるね。

F:ほー! 搾乳ロボット。

:ロボットのあるケージに牛が自分から進んで入っていくのよ。乳を出すと楽になるんだろうね。乳が張っていると牛も辛いから。あ、インプル下ろして草を刈ってみるかい?

F:お願いします!

 牧草は大事な大事な売り物である。しかもこちらは柏原さんが預かる人の土地。運転は慎重に行わなければならない。

 レバーを操作し、草刈り機を下ろす。油圧のジョイントから駆動力が与えられ、勢いよくロータリーが回りだす。

:フェルさんついてるよ。天気が悪い時は絶対に草を刈らないんだ。

雨の日に草を刈らない理由

F:草が濡れていると装置に絡みついてしまうからですか?

:それもあるけど、濡れた時に刈った草は牛が食べないんだ。あいつら意外とグルメでさ。味が分かるんだね。濡れた時に刈った草は、あとで乾かしてから発酵させても食い付きが悪い。だから我々、天気図とにらめっこだよ。晴れが続かないと草が刈れないから商売上がったり(笑)。

牧草は晴れた日にしか刈らない。牛は意外とグルメなのだ。
牧草は晴れた日にしか刈らない。牛は意外とグルメなのだ。

 広大な牧草地を往復し、掃除機を掛けるように草を刈っていく。私はキャッキャ言いながら草を刈っただけだが、この後インプルを付け替えて草を広げて乾燥させ、さらに別のインプルに付け替えて乾燥させた草をかき集める。そして巨大な掃除機のようなインプルで草を収集しながらロール状にしていくのだ。気が遠くなるような作業である。

 こちらで生産された牧草は栄養満点の飼料となり、近隣の畜産家へ届けられる。乳酸菌で発酵させた(牛にとって)美味しい飼料を食べ、乳牛は1日に30リットルもの牛乳を作り出す。その牛乳は酪連のローリーにより回収され、森永やら明治やらの乳製品加工会社に届けられる。そこで均一化され殺菌されパックに詰められ、我々の食卓に届けられる。

 ふだん当たり前に飲んでいる牛乳は、こんな苦労の積み重ねで生産されているのだ。
 私は牛乳と乳製品(特にヨーグルト)が大好きで、毎日大量に摂取している。
 これからはガブガブとバカ飲みしないで、生産者に思いを馳せて有り難くいただこうと思う。

 牛乳の工場も見学に行きたいな。Yさん、どこか良さそうな工場を見つけてきてよ。
 それではみなさままた来週!

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