:デントコーンという、飼料専用のトウモロコシです。人間が食べてもあまり美味しくありません。種に当たるいわゆる「トウモロコシ」の部分も、茎も葉っぱも全て一緒に砕いて、こちらもやはり発酵させてから与えます。それと牧草を一緒に与えるんです。それじゃそろそろ乗ってみますか。

これがデントコーン。人間が食べても美味しくない。茎も葉も全て粉砕して飼料にする。

F:お願いします!

 いよいよ牧草地における試乗である。M7は前進後進ノークラッチの39段変速と、無段変速の2種類のトランスミッションが存在する。堀井さんのM7は「K-VT」と呼ばれる無段変速仕様のものだ。

:フェルさんはもうフランスで運転した経験があるんですよね。それじゃ運転の仕方は分かりますよね。好きに乗っちゃってください。

F:なんかすごい坂ですね。「北海道は真っ平ら」というイメージだったのですが、結構な勾配があるので驚きました。

:場所にもよりますが、釧路はけっこう坂が多いです。旅行に来る人はレンタカーを借りて幹線道路をドライブするから分からないんですよね。基本、道路は平らな場所を選んで引いています。わざわざ工事のしにくい山の中を通しませんから(笑)。

F:なるほど、確かに(笑)。

:たまにボコッと穴があるから気をつけてください。畑(堀井さんは牧草地を“畑”と呼ぶ)の中は好きに走ってもらって結構です。この程度の勾配なら、急ハンドルさえ切らなければ坂に対して横向きに走っても大丈夫です。

勤労の後は搾りたての牛乳を……飲まない?!

 オフロード走行の「禁忌」である坂を横断する「横向き走行」も、OKであるという。

 せっかくの機会なので、大型トラクターによるオフロード走行を堪能させていただいた。フランスの工場で乗せていただいた際は、平坦な舗装路だったが、今度は本チャンの牧草地である。いささか緊張する。刈り取りが済み、朝露に濡れた滑りやすい牧草地であったが、怖い思いなど一切することなく、エキサイティングな体験をさせていただいた。

北海道が真っ平らだと思ったら大間違い。牧草地でもコレこの通り。今回は“空身”だから楽勝だったが、本来はこの勾配でインプルを付けて作業をするのだから大変だ。

F:大変なお仕事ですが、毎日新鮮な牛乳が飲めて羨ましいです。搾りたての牛乳はさぞかし美味しいのでしょうね。

:いやいやいや、それも都会の人に共通した誤解です(笑)。搾りたての牛乳なんて飲めたもんじゃありませんよ。

F:いやあの……本当に搾ったばかりじゃ生温かくて美味しくないかもしれませんが、冷やせば美味しいですよね。冷たくすれば。

:搾ったのをそのまま冷やしたら、脂肪が凝固してダマダマになって余計不味くなります。

F:それじゃ堀井さんの飲む牛乳は……。

:ああ、ウチは生協で買ってきたフツーに売っている牛乳を、フツーに飲んでいます。搾りたての牛乳を喜んで飲むのは子牛と旅行の人だけですよ(笑)。地元じゃ誰も飲みません。やっぱりホモジナイズ(homogenize)して脂肪の粒を小さくしないと美味しくないですよ。

 「牛乳生産者は搾りたて牛乳を飲まない」ということを学んだところで以下次号。

 次回は牧草生産を請け負う柏原久徳さんにお話を伺います。