今回はホンダが十数年ぶりにリリースした商用バンであるN-VANをお送りする予定であった(これを言い当てた鋭い読者の方が何人かいらした)。

 が、直前になり予定を大変更。北海道の広大な牧草地で、クボタ最大のトラクター(クボタでは「トラクタ」と表記します)「M7」に乗せていただけるという、何ともありがたい話が舞い込んで来たのである。

 酪農家の方が毎日仕事で使われている大切な“商売道具”に、これまた大切な“仕事場”で、試乗させてくださるというのだ。これに乗らないテはないだろう。1日の掲載遅れは、どうかご容赦願いたい。

 ご協力いただいたのは、標茶町(しべちゃちょう)で堀井牧場を経営する堀井清司さんと、牧草生産請負業の柏原久徳さんである。

 遥か地平線まで広がる雄大な北海道の牧草地で、ノンビリと草を食む乳牛たち。
 牧草は黙っていても勝手に生えてくるし、広く平坦な土地なのだから草刈りの作業も比較的容易なものだろう……。現地を訪れるまで、私はかように甘く考えていた。
 が、現実は大違いだった。そもそも牧草は「勝手に生えてくる草」ではなかったのだ。

広大でフラットな大草原。北海道の牧草地というと、こんなイメージだろう。

 最初に訪問したのは、堀井牧場の堀井清司さんである。いわゆる「酪農家」で、ご自身の農場で牧草を作り、それを飼料として牛に与え、牛乳を搾り出荷している。「牛乳」を作る酪農家と、「肉」を作る畜産農家は明確に線引きされており、同じ敷地で両方を生産する農家は極めて稀である。

お話を伺った堀井牧場の堀井清司さん。クボタのトラクターの中で最大機種であるM7のオーナーだ。

冬はマイナス25度!

F:今日はお忙しいところお時間をいただきありがとうございます。

:構いませんよ。朝の内に作業は済ませているしね。東京から来ると寒く感じるでしょう。

F:いや、本当に寒いです(当日の朝の気温は何と4度だった)。東京は30度近いですからね。とても同じ国とは思えないほどの温度差です。

:今日は曇っているからまだいいんですよ。晴れていると放射冷却でもっともっと寒くなる。このあたりは厳冬期にはマイナス25度くらいになります。

F:マ、マイナス25度……。

:私が子供の頃には、マイナス30度までいきました。そこまで下がると、立ち小便をするとオシッコが地面に着いた瞬間にパリパリ凍るんです。でも、そこまで下がることはもう何年もありませんね。地球温暖化というのは本当に進んでいるのだな、と思います。