今はもう透明性がうんと増している

F:いろいろあった……。なるほど。でも当時、三菱はどうしてリコールを隠したのでしょう。メーカーにとって、リコールを出すのは不名誉な事なんですか。リコール発生件数は少ない方が、自動車会社としてはめでたいことなんですか?

:そういう時代がありましたね。昔は。

F:いまはもう各社からポンポン出ますよね。我々もそれに対してあまり驚かなくなった。あ、ワイパーが止まるかも知れないのね。そうなのね、みたいな。

:今はもう透明性がうんと増していて、お客様を第一に考えるようになってきているので、リコールはすぐに出します。当時はやっぱり、最後にリコールを出すと決める人が、会社の経営だとかそういうことを第一に考えると、出せなくなるという雰囲気があったのではないかと思います。それこそ昔は、「これをリコールしたら会社はつぶれちゃうじゃないか」、というような会話も聞いたことがありますので。

F:上の偉い人たちが。

:ええ。でも今は違いますよ。今はそういう(リコールを出すという)判断をする人が決めるようになっていますから。

F:今はどういう仕組みになっているのですか。リコールに関しては、経営者ではない別部隊の人たちが判断するんですか。

:いやいや。品質部門の人ですよ。品質の責任者が判断をして、それを上に上げて、役員会で最終的に判断、という流れになります。そこの善し悪しを判断するのは品質部門です。

F:品質部門がこれはリコールを出しましょうという上申を、役員会でストップできてしまうのですか。構造的にどうですか。

:できないと思います。今はすべてのエビデンスが残りますから。リコールに対する取り組みは、あの事件以降かなり改善されています。いまのウチのリコールの出し方を見ていただければ分かると思うんですけれども……いろいろジャッジするのに時間がかかっているものも中にはありますけれども……真摯に取り組んでやっています。

F:リコールに関しては良く分かりました。では燃費偽装に関してはどうですか。これは直近で起きたことです。

:燃費偽装に関しては、その原因に企業文化というんですかね、あの報告書の中で、企業体質ということが指摘されています。それに対して我々も改善に取り組むということでやっています。あの報告書の中に書いてある内容の通りだと思います。

 鳥居さんのおっしゃる「あの報告書」とは、「独立した外部の専門家により構成される特別調査委員会」による、「燃費不正問題に関する調査報告書」である。264ページにも及ぶ膨大なもので(目次だけで17頁もあって萎える)、三菱自動車のホームページにリンクが張られている。サクッと読みたい方はこちらの要約版をどうぞ。たったの42ページだ(目次も3ページである)。

 「個人のプライバシー及び当社の営業秘密保護等の観点から、部分的な非公表措置を行っております。」とのことなので、「こいつが偽装の犯人だ!」という話にはなっていない。

 要約版の第7章「 本件問題の原因・背景分析」には、

  1. なぜ、法規に合致しないが構わないという意識を簡単に持ってしまうのか。
  2. なぜ、長年にわたって、本件問題が是正されなかったのか。
  3. なぜ、過去の品質関連の不祥事の際に講じた取組が功を奏さなかったのか。
  4. なぜ、eKワゴン/eKスペースに関して、技術的裏付けが不十分なまま燃費目標の設定がされたのか。

 これらの問題の原因・背景分析が記されている。ご興味のある方にはご一読をお勧めする。

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