高橋マンちゃん:いやフェルさん。時速160kmで飛ばせるんじゃなくて、そのまま160kmの距離を走れるという意味ですよ。パンクしたタイヤで時速160km出すなんて、いくらなんでもそりゃ危険です。というか、パンクしていなくたってダメに決まっているでしょうが!!
旭:はい。距離の160キロメートルです(苦笑)。このタイヤのメリットはとても大きくて、まずスペアタイヤが必要なくなるので重量が軽くなる。そしてトランクスペースが広く取れるようになる。
F:なるほど。確かにいつ使うかも分からない重くてデカいスペアタイヤを常時積んでいるのは、ムダ以外の何物でもありませんからね。
旭:あとはセキュリティの問題です。パンクしても外に出て交換作業をしなくてもよくなります。
マイトのY:は……? 外に出ないことがメリット。
旭:たとえばアメリカなどでは、外でタイヤを交換していること自体が危険であるというシーンもあったりして……。パンクが安全な場所で起きるとは限りませんから。
F:アメリカでタイヤ交換は危険……リアルなお話です。ランフラットはいい事ずくめでありがたいタイヤのようですが、それと硬い乗り心地には何の関係があるのですか?
旭:ランフラットはパンクして空気が抜けても自力で形状を維持しなくちゃいけないので、従来型のタイヤに比べるとサイドウォールが硬く、少し縦ばねが強い傾向にあるんです。特に20インチぐらいになるとリム幅も効いてきますので。それで旧型よりも少し硬くなっているなと感じる部分があるかもしれません。
F:硬く感じるのはタイヤだけのせいですか。足回り自体はどうでしょう。
旭:足回りも、しっかりとした動きをするために旧型より“硬い側”にシフトしたのは事実です。
F:その社長さんのクルマのタイヤを従来型に交換してしまえば、多少は柔らかい方向に振ることもできるのでしょうか。
旭:パンクした時に交換タイヤがありませんし、我々としてはお勧めしません。今後の改良課題の一つとして、もう少し縦ばねを緩められないかということを、今、検討しています。
もはや敵は欧州勢のみ?
F:なるほど。それじゃ今のお話は、その社長さんに伝えておきますね。その方はLSに関してはハンドルを握らず、後部座席専門だからそう感じるのかもしれませんね。私が運転した時は、いい具合にしっかり感を味わえましたし、決してゴツゴツした印象はありませんでしたから。
旭:“しっかりとした乗り心地”を作っても、当然、「LSテイスト」は担保しようという形でやってきています。ですが旧型からお乗り換えになると、やはり少し硬めに感じられる部分はあるのかな、とも思います。それでも、長距離で乗り比べていただければ、その良さが絶対にお分かりいただけると思います。
F:うんと乱暴にまとめちゃうと、新しいLSは車高が下がってヒップポイントも下がって、全長は延びたけど中は狭くなって馬力は上がったけど燃費はよくなって、そして乗り心地は硬くなった、と。
マイトのY:乱暴すぎますよ……。
旭:「硬く」とはあまり言いたくないですね。「しっかりとした」というふうに言っていただければ。
F:なるほど。「しっかりした乗り心地」になった、ですね。それではそろそろまとめに入ります。こうしたプレミアムセダン。ハッキリ言って、国産勢ではもはや敵無しの状態です。敵は欧州にあり、というところでしょうか。
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