「米国の自動車ビジネスは偏向しつつある」

「僕らはモノづくりに於けるコダワリというものを持っていたい」

豊田社長(以下、豊):アメリカに於ける自動車ビジネス。最近これがビジネスモデル的に少し変な方向に行っているような、偏向しているような気がしてなりません。例えば二酸化炭素の排出権を売買するとか。

 メーカーが少しでも燃費の良い、環境負荷の低いクルマを作ろうよというのなら話は分かりますが、まるで金融取引のようなビジネスモデルになりかけている。この件に関しては色々な考え方が有るし、またどちらが正しいという事でもありません。

 ですが、やっぱり僕らはモノづくりに於けるコダワリというものを持っていたい。だって僕らメーカーですよ。トヨタはあくまで自動車メーカーなんです。少なくとも日本のメーカーは、そうした感覚を持ち続けたほうが良いと思っています。

F:だからこそのプリウスPHV、という訳ですか。

:プリウスはね、4代目になって、漸く普通のクルマになったのだと思います。漸くカローラ化してきた、4代目になって。

F:プリウスのカローラ化、ですか。

:そう。新しプリウスは、「これはもうカローラだよね」という感覚を僕ら持っています。このクルマはそう思えるほどに普及してきた。ハイブリッド車というものが、最初にプリウスで世に出てきたときの事を思い出して下さい。

F:うーん、最初は新しい物好きの人のための特別なクルマでしたよね、出たばかりの頃は(笑)

:うん。始めの頃はほんとに特殊なね。「プリウスはプリウスでしょう」という扱いでした。それが時間を掛けて、だんだんだんだんカローラ的な位置づけのクルマになってきた。エミッション(排ガス)のルールであれ何であれ、やっぱり最大の対策は普及です。こういうクルマは、世の中に普及させなくては意味が無い。

 更に言うと、プリウスだけが普及しても意味が無い。エコカーというのは、1台だけが素晴らしい燃費を出してもダメなんです。燃費は良いけどノット・アフォーダブル。そんなクルマでは決して普及して行かない。

 世の中には本当にいろんなクルマが、たくさんのクルマがあります。過去に販売されてきたクルマだって街にはたくさん走っている。それらともどんどんどんどん取って変わらなきゃ意味が無い。そういうことを、各社がキチンとやって、温暖化に対して取り組むべきではないかと思います。