前回は、これからのクルマ造りは、環境性能と社会性ヌキでは進められない。それはレクサスのフラッグシップであるLSでも例外ではない、というお話を伺った。先だってトランプ米大統領は燃費規制を緩和する具体案を発表したが、世の中の潮流は変えられまい(電動車開発に携わるエンジニアには相当なショックを与えたようだが。何しろカリフォルニア州のZEV規制はいらないよ、とまで言ったのだから……)。

 そしてトランスミッションの性能も、燃費に大きく効いてくる、というところで原稿を尻切れトンボ的に終えていたのだった。
 その続きからお届けする。

レクサスインターナショナルでレクサスLSのチーフエンジニア(CE)を務める、旭 利夫さん

F:トランスミッションも燃費に効きますか?

:効きます。こちらも覿面(てきめん)に効きます。燃費だけでなく、気持ちいい走りを実現するには、トランスミッションはとても大事なんです。今回のLSガソリン仕様は、ATを10段にしています。

10段変速って、まるで自転車だ?!

F:10段変速! ほとんど自転車の世界ですね。自転車は力のない人間が場面場面に合わせてマメに変速する必要があるから、昔から多段式でしたが、エンジンは力があるからここまで極端な多段化は進まなかった。昔のATなんて3段とかでしたものね(笑)。

:そうですね。ここまでギアを多くすると、いわゆるクロス・ギア・レシオにできますから、自転車を漕ぐ人間と同じように、エンジンに対する負担を減らすことができます。前モデルの8速の時は、メカニカル的にちょうど1(エンジン回転数とドライブシャフト回転数の比率が1:1)になるところが6速だったので、7、8速がいわゆるオーバードライブ(ドライブシャフトの回転数のほうがエンジン回転数よりも大きくなるギア設定)だったのですが、今回は7速のところが1になるので、8、9、10速と、オーバードライブを1段増やしている。この設定は、高速走行時の燃費にかなり効いてきます。

F:3段もオーバードライブが。当然さらにハイギアードの設定ができるから、確かにこれは燃費に効くでしょうね。

:下の方も、例えば今までは2速と3速の間がやっぱり広かったんですけれども、クロス・ギア・レシオにすることによって、変速も速くてより小気味よく、より気持ちよく、こう、カチカチッと変速するようになりました。