「トヨタにはアンチが多いんですよ」

「『トヨタは嫌い』の一言で片付けられちゃうことが結構多い。そうすると、ウチの社員が萎縮してしまいかねない」

F:スミマセン。話を引き戻して申し訳ないのですが、先ほどのトヨタ・アワード。あれは何のためにやっているのですか。モチベーションの向上だけが目的ですか。

:「全てのプロジェクトに日を当てるため」、です。

F:全てのプロジェクトに日を当てる、ですか。

:そう。やっぱりウチにはね、トヨタにはアンチが多いんですよ。もう「トヨタ」というだけで嫌いという人がたくさんいる。

F:それはCOTY(カー・オブ・ザ・イヤー)の選考委員に、という意味ですか。

:いや、COTYに限らず、世の中的に。もうトヨタだから嫌だ。トヨタというだけで嫌いという人が居るわけです。ウチの技術とか広報とかがいくら努力しても、「嫌い」の一言で片付けられちゃうことが結構多い。

F:あー……。

:みなさんの前でこんなことを言うのは悪いけれども、ジャーナリストが書いた物を見ても、そういう論調の物が有る訳ですよ。そういうことが続くと、ウチの社員が萎縮してしまう。

 もっと堂々とすれば良い。堂々と良いクルマを作っていれば良いじゃないかと。トヨタ・アワードは、そのための賞なんです。正々堂々とやろうぜ、と。

F:なるほどなるほど。

:余りにもアンチが多いんです。トヨタには(苦笑)。

F:それは「アンチ巨人」と構造が似ているのでは無いでしょうか。余りにも強大だから嫌われる、隙が無いから好きじゃ無い、という。最近の巨人はちょっとアレですが……。

:それは有るかも知れませんけどね。

D豊島:モチベーション上がりますよ、やっぱり。

F:トヨタアワードがあるとですか?

D豊島:はい、アワードで。上がりますよ。純粋に受賞して嬉しいですもん。

 さあさあ。ますます盛り上がって参りました。豊田章男社長インタビュー。

 次回は「1000万台クルマを作るとどうなるか」についてお話を伺います。

自動車メーカーは製造業からサービス業に?

読者のみなさん、こんにちは。編集担当のY田です。

トヨタ自動車は8月5日、タクシー事業者団体の全国ハイヤー・タクシー連合会(東京都千代田区)と共同で、自動運転技術を活用した運転支援システムの開発に取り組むと発表しました。また、米テスラモーターズは7月20日、バスやトラックのEV開発に参入する方針を明らかにしています。

これらの動きは、急速に進化を遂げる自動運転技術を、新たなサービスの創出に生かそうとの試みの一端です。移動手段を自動車という「モノ」ではなく、「サービス」として提供することを狙っているのです。

例えば独ダイムラーは今年7月、オランダ・アムステルダムで自動運転バス(レベル3)の公道実験を実施しました。空港からアムステルダム中心部を結ぶ約20kmで、停止・発進からドアの開け閉めまでを自動運転システムが管理。クルマだけではなく、次世代型の交通システムを販売する計画です。

こうした動きを象徴する言葉として最近使われ始めているのが「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」。自動運転技術の進展に伴いMaaS時代が到来すれば、自動車を所有する意味合いは薄れ、製造だけにとどまる自動車メーカーは、今の事業モデルのまま生き残ることが難しくなる恐れがあります。

日経ビジネス9月5日号特集「ここまで来た自動運転 世界初取材 ドイツ最新試作車」では、ドイツ・日本各社の徹底取材を通じ、自動運転技術の進歩の現状、市場の未来と新サービス創出の可能性について詳細にまとめました。日経ビジネスオンラインの無料会員の方でも、無料ポイントを利用すればお読みいただけますので、ぜひご覧ください。