F:なるほど。今までLSに足りないと言われていたワクドキ感を実現するために、慣性諸元を向上させた。
旭:それからもう一つがデザインです。新しいLSは、セダンとかクーペというカテゴリーを超えて、競合車にはない唯一無二のデザインを実現したかった。低重心のカッコいいプロポーションを実現したかったのです。実際に低重心にしながら、ワイド・アンド・ローもしっかり見せたいという狙いがありました。
F:ワイド・アンド・ローで低重心に見えて、実際ホントに低重心で走りも充実している、と。
旭:はい。そしてもう一つが、当然フラッグシップとして使ってもらえるように、足元空間をしっかり担保したいというところです。これらの要素を高次元でバランスさせようとすると、今回の長さ、パッケージが必要だった、ということなんです。
F:後ろの席を前に寄せたということは、運転手付きのエライさんにも……後部座席に鎮座ましますお方も、高い慣性諸元の気持ちよさを味わえるということですか。
旭:その通りです。ドライバーだけではなく、やっぱり後席の方も重心近くになればなるほど体が揺すられにくくなったりしますから、前席同様にいいことがいっぱいあるんです。
F:そこを突き詰めていくと、「車体は短くしたほうが良い」という話になりませんか。
旭:ええ、ですが長さを詰めてしまうと、やっぱり後席の空間がどうしても狭くなってしまうので。
オーバーハングはずいぶん切り詰めてます
F:あ……なるほど。
旭:今回は全長を延ばしただけではなく、35mmホイールベースを延ばしています。全長は25mmしか延びていませんから、実際にはオーバーハングはずいぶん切り詰めているんです。
F:ホイールベースがさらにロング化したということは、直進安定性はすごく良くなりますよね。
旭:なっています。実際に安定性はすごくありますね。
F:でもその分、回頭性は悪くなりますね。長くなるのだから曲がりにくくなる。基本的に。
旭:回頭性につきましては、慣性諸元を良くしていることと、ボディ剛性をかなり高めたこと、そして当然プラットフォームとしてサスペンションのジオメトリ等を良くしたことで、総合的には長くした分が帳消しになるどころか、さらに良くなるぐらいに仕上げています。
F:へえ、剛性を上げると回頭性に効くものなんですか?
旭:効きますね。慣性諸元もそうですが、剛性は、ハンドルを切ったときのこの……ノーズが「スッと向きを変える」といった感覚にものすごく効いてきます。さらに今回は全高も15mm、フロントのヒップポイントに至っては、30mmも下げています。
F:30mm! それは結構な数字ですね。
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