「新プリウスは、荷物を載せても一人走っても同じ安定性がある」

F:開発エンジニアの方は、「ハイブリッドを意識させない、普通のクルマに仕上げた」と仰っています。その点をどう思われますか?

:開発エンジニアがプリウスを普通のクルマと。うん、その通りだと思いますよ。気になるエネルギー回生のためのカックンブレーキも、ほぼ解消されたと言って良いでしょう。あくまで“ほぼ”ですけれど。意地悪く見ていれば、少し感じることもあります。

F:剛性に関してはどうでしょう。前モデルと比較して、60%も剛性が向上したとトヨタは謳っています。

:素人の私に剛性云々は分かりません。全体的なカッチリ感というのは確かに感じますが、それが剛性によるものなのかどうか私には分かりかねます。シートの取り付けがしっかりしているとか、内装がキシキシ言わないとか、そういう部分からカッチリ感は感じ取れると思うのですが、それが剛性向上によるものなのかどうか。もしかしたら建付けが良いだけかも知れない(笑)

 前のプリウスはね。重い荷物を乗せると良くなったんですよ。特に後ろのトランクスペースに重量物を乗せると、ピタッと安定して走れて、一段上の高級なクルマに生まれ変わったような気がしました。前にワイフと娘を羽田空港に送って行ったことがあるのですが、あの時は顕著でしたね。二人分のトランクを降ろして、重量級の二人が降りたら(笑)、これは驚きました。帰りの首都高で、同じクルマで、こうも変わるものなのかと。

F:前のプリウスは重い状態で走ると安定した。

:新しいプリウスは、荷物を載せても一人で走っても、大きくは変わりません。無論重い状態のほうがピタっと安定はしますが、それほど大きな差ではない。こうしたことも剛性向上の影響なのかも知れません。

F:今回のモデルチェンジで、後輪のサスペンション構造を変えていますから、その影響が大きいと思います。更にボディ剛性が上がっているから、サスペンションの性能がダイレクトに効いてくるとも聞きました。

:なるほど。剛性向上はかくも有り難いと(笑)、いや勉強になりました。さすがによく研究していらっしゃいますな。

「普通のドライバーには最高。ただお薦めできるかどうかは別問題」

F:いやぁ……(ホントは先日聞いたばかりの話である)。他に気がついたことは有りますか。

:あとはうんと静かになったことですね。ともかくプリウスは静かです。高速でも街中でも、たとえエンジンがかかっていても、スーッと無音で走る印象です。この“静かさ”というのは非常に重要で、疲労に直結するんですね。新しいプリウスは疲れないんですよ。ともかく疲れない。ラクですね。運転していてとてもラクです。

プリウスの開発責任者の豊島さんが聞いたら泣いて喜びそうな感想ではないか。
この間、奥様は相変わらずニコニコしながらずっとご主人の横に立っている。
外の風雨はいよいよ勢いを増している。台風の中お買い物に来られた方を、これ以上拘束する訳にはいかない。

F:最後にひとつ教えて下さい。プリウスを買って良かったですか。他の人にもお薦めできるクルマですか?

:私は買って良かったです。プリウスって空気のようなクルマなんです。格好は些か突飛ですが、それにしてもこれだけ増えれば見慣れてしまう。もうすっかり街に溶け込んでいるでしょう。変に目立たないし、かといって安っぽくない。しかも運転が非常にラク。もちろん燃費は世界最高レベル。若い人には刺激が足りなくて面白くないかも知れませんが、多くの普通のドライバーには最高のクルマだと思います。ただお薦めできるかどうかは別問題。

 前から言われていことですが、計算上、普通のドライバーでは、通常よりは高くなってしまう車両価格分を、浮いた燃費でカバーすることはほぼ不可能です。つまり決して経済的では無い。この辺りの、経済的合理性と、日々出て行くお金が減る喜び、精神的安寧のどちらを選ぶのか。どうなんでしょうね。

 これは個人の価値観によるものですから。少なくとも「みなさん買いましょう」と声を大にして言える物ではありません。自分の価値観と相談しながら、ゆっくり決めましょう。というところでしょうか。