本当に黒いままで生きていけるのか
F:変えないと大変なことになるという……。
生:おかげさまでMINIはよく売れています。何年も連続で右肩上がりの状態です。各ディーラーさんも、非常に良いビジネスが出来ています。でも10年後は分かりません。10年後もしっかりMINIが売れているか、本当に黒いままで生きていけるのか。売れるという確証があれば良いですが、我々はそう思ってないんです。
F:何しろ続々とフォロアーが、有り体に言えばマネッコが出てきている。
生:そうなんです。だからいまの状態に胡座をかいていては絶対にいけないんです。
F:それは分かりますが、怒るディーラーさんもいるでしょう。何しろ店舗改装にはカネがかかる。
生:はい。正直な話、いらっしゃいます。今まで黒いイメージでショールームを造ってくださいと言ってきて、実際にディーラーさんの負担で造らせておいて、15年たってみたら今度は全部変えますと言っているのですから。それは結構な反発もあります。「何億円も掛けてこの造りにしたショールームを、今度は白にしてくださいって、今さら何を言っているんだお前は」、という世界はやっぱりあるんです。
F:15年かぁ……。まあ改装の時期といえば時期だけれども、実際にいまこれでガンガン売れている訳だから、別にこれで良いじゃないか、という気持ちにはなるでしょうね。
生:ええ。改装自体はお金を生み出さないですから、気持ち的に抵抗があるのは分かります。「何で今やるの」と言うディーラーの方も当然いらっしゃる。でも遅いんですよ。「あれ、そろそろこの勢いも終わりかな」……と気付いてからではもう手遅れなんです。だから僕らはこのタイミングから変えていくと。このままだと「他と同じ」になっちゃいますよ、と。
F:今のお話、広く飲食店の展開をしている友人から全く同じ話を聞いたことがあります。「すたりだしてから手を打っても遅い」と。それにしても逃げる方は辛いですね。塚田農場と山内農場みたいだな(笑)。何しろパクっている方が圧倒的に店舗数は多いんだから。
マンちゃん:やめましょうよ。例えが悪いですよ。
F:あれさ、看板の色も同じだし、系列店だと思っている人がいるんだよ。全然違うのにね。まあ食べれば分かるけど。
生:何にしても、今この瞬間、一般のお客様が見たら、「黒いショールームなんて、どこにでもあるよね、普通だよね」と言われてしまう可能性は十分あるんです。だからこそ変えていかなければいけない。チェンジ・オア・ダイじゃないですけど。
F:ここがお手本だよ、というようなモデル店舗はありますか。どこに行けば良いのかな。
前田(以下、前):お台場ですね。お台場がそのモデルルーム的な存在です。
MINIはいま、転換点にある。クルマはフルモデルチェンジし、CIも変えている。なんともいいタイミングでこのクルマを選んだものだ。
F:ところで、MINI本体から見た日本市場の位置付けはどのような感じなのでしょう。MINIは東京モーターショーにも展示してくれる、今となっては稀有な輸入車ですが、実際にはどんな位置付けなのでしょう。世界的に見ると、日本は何番目くらいに売れているのですか。そもそも市場として大事にされているのですか?
生:グローバルランキングで見ると、6、7番目になりますね。MINIで言うと、1位はやっぱりイギリス。次に中国。そしてアメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、日本みたいな感じになります。BMWは中国、アメリカ、ドイツ。それからイタリア、韓国、日本。去年は日本が上だったかな。だいたいそんな感じです。
F:へー?韓国は日本と同じくらいBMWが売れているんだ。知らなかった。
生:韓国は日本とかなり拮抗していますね。
前:先ほどのご質問に戻ると、BMWにしてもMINIにしても日本の市場は非常に大切しています。クルマを初めから日本向けに作ってくれるんです。例えば某輸入車は、導入時に右ハンドルはなかったり、日本仕様にディーゼルがなかったりするんですが我々は右ハンドルもディーゼルも全部最初からビシっと用意しています。生産の立ち上がりのときから準備しているんです。
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