F:よろしければ私がマスクを作った工房をご紹介します。デザイン5万、制作費5万と、ちょっと値が張りましたが、完全なワンオフなので仕方がありません。実はこのマスクももう作って5年ほど経つので、そろそろver.3を作らなければと考えておりまして……。
マイトのY:ちょ、ちょっとフェルさん。マスクじゃなくてクルマの話をしてください。
F:や、そうでした。えーとLSの話ですね……。初代LS(日本名:セルシオ)が出たときは、そのあまりの出来栄えに、いわゆるジャーマンスリーが腰を抜かして、バラバラにバラしてリバースエンジニアリングをかけたところ、「このクオリティをこの値段で作るのは、我々にはとてもムリだ……」と言わしめたと噂されましたが。
旭:そうですね。初代が出た時は業界にもお客様にもそれほどのインパクトがあった、という話ですね。
F:そのLSをご担当されるとなると、相当な重圧があったと思うのですが、旭さんはいつからLSの開発に携わっておられるのですか? いままでの経歴を教えてください。
旭:僕がトヨタに入社したのが1991年です。もともと出身分野が電子技術部というところでして、大学で専攻していたのがいわゆるニューラルネットワーク。今でいうAI的なヤツだったんですね。
F:え? 旭さん、メカではなくエレキのご出身ですか?
旭:はい。僕はもともとエレキ屋です。一時はバックプロパゲーションなどを勉強しながら、ソッチの世界を眺めていくという仕事をしていました。
F:誤差逆伝播法! ガチで機械学習の世界じゃないですか。今だったら間違いなく自動運転の部署に配属されるキャリアですね。
トヨタ全体でも数少ない電子技術部出身のCE
旭:そうなんです。私がLSを担当するキッカケになったのも、エレキに強いからという理由からだったんです。実は私、先代のLSの開発にも参加していたんですけれども、そのときは、LSに先進安全系の機能をもっと盛り込もう、ということでアサインされたんですね。それまではエレキ系の人間があまりいなかったんです。そろそろ電気が分かるヤツも入れとかないとな、ソッチ系でも我々主導で開発できなアカンよな……という話になって。
F:なるほど。サプライヤーから提案されたものを買うだけではなく、メーカー主導で開発をしなければいけないと。
旭:そうなんです。それで電子技術分野から車両企画を……。「Z」と呼ばれる、車両企画をする部署なんですけれども、そこに呼ばれて来たと。我々はレクサスのLSをやっているので、「ZL1」と呼ばれています。
F:レクサスだけでなくトヨタ全体を見渡しても、チーフエンジニアがエレキご出身の方というのは非常に珍しいというイメージがあるのですが、いかがでしょう。
旭:はい。実際珍しいです。最近は徐々に出始めましたけれども、昔はほとんどいませんでした。今は私のほかに2名います。

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