「燃費を向上させたいならハンドリングも重要です」

:なるたけエンジンに負担が掛からないように走らなくてはいけません。アクセルワークだけでなく、ハンドリングも大切です。カーブは抵抗です。舵を切って路面との抵抗が生まれるからクルマは曲がる訳です。

 ここでもなるたけ抵抗が生じないよう、穏やかにハンドルを切る。急にハンドルを切るとVSC(横滑りを抑える車両安定制御システム)が利いちゃうんです。VSCが利かないぎりぎりのスピードで、例えば、80キロでもVSCを利かせずに走るとか、そういうライン取りも含め走り方の研究をしていくんです。そうすれば燃費はどんどん良くなって行きます。

F:あの……大変失礼な言い方をするのですが、そこまでやる意味が有るのでしょうか。だって一般のドライバーには関係ないじゃないですか。公道でそんな走り方をされたら、それこそ他のクルマに大迷惑だし。

:我々は、道具としての可能性を高めていく必要が有るんです。クルマの開発だけでなく、乗り方を含めたいろんなアクションを取って、いろんなデータを積み重ねていけば、必ず平均値は上がって行きます。僕ら、「そんな数字は実際出ないよね」と言われていることも知っています。でも、それを上げていくことには何も悪いことはないんですよ。

 数字を上げて行って困ることは何もない。プリウスがモデルチェンジしてリッター32キロが40キロになるということは、例えば今まで18キロしか出なかった人が、新しいのに乗り換えられたら、その分は絶対に上がるんです。これはもう間違いなく上がるんです。だから僕ら、何と言われようと、燃費を上げていく努力を怠ってはいけないんです。JC08という燃費計測の方法を否定する人たちもいらっしゃいますが……。

F:あの測り方は現実離れしていておかしいと。

:ええ。おかしいと言われる。でもそれは“ある一つの走り方”であって、その走り方の平均値を上げて行けば、リアルワールドだって上がっていくのは事実なんです。確かにJC08はある指標でしかないかもしれないけれど、指標となる数字があることが実はとても大事なんじゃないですかと。

「タラタラ速度を上げて行ってはいけません」

F:なるほどなるほど、いや、仰る通りです。実に分かり易い。ところであの。プリウスを上手に走らせるコツというのは有るのでしょか。周りの迷惑にならずに高燃費を出す走り方というのは。

:有りますよ。これはプリウスカップで培った走り方です。

F:ぜひ教えて下さい。開発者自らが語る、「プリウスの燃費の出し方!」。これは絶対にウケますよ。

:決してタラタラ速度を上げて行ってはいけません。例えば制限速度60キロという道があったら、60キロまでイッキにスピードを上げた方が良いんです。そして60キロまでスピードを上げたら、EV巡航に切り替える。それが間違いなく燃費が一番よく出る走り方です。ゆっくりジワジワ速度を上げていくのは、実はあんまり燃費が良くない。

F:イッキに上げるというのは、どれくらいの勢いのイッキなのでしょう。まさかベタ踏みじゃいけませんよね。

:プリウスには色分けされたインジケーターがあります。そのインジケーターの青い部分の上限まで踏んで下さい。「ここがエンジンの一番効率のいいところですよ」というのをクルマが示してくれています。

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