4日、日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が7月の車名別の新車販売台数を発表した。
1位は“もちろん”プリウスで、実に2万7988台が販売された。この数字は前年同月比3倍にあたる。プリウスの首位はこれで8カ月連続となった。軽を含めて上位10位中6車種がトヨタのクルマな訳で、最早「トヨタの一人勝ち」の状態だ。そこのけそこのけトヨタが通る。
そんな圧倒的強者の4代目プリウスは、トヨタ自慢の新開発プラットフォーム「TNGA」を初めて採用したクルマである。その背景には何があったのだろう。じっくりと伺おう。
「TNGAとプリウスは一緒になって作って来た」
F:プリウスで初めて採用されたTNGAは、非常にカバーレンジの広いプラットフォームです。別にプリウスに最適化された規格ではない。プリウス専用という訳では無いのですよね。
豊島(以下、豊):ないです、ないですね。
F:ということはつまり、もっと本当は違う、プリウス専用のものを組むことが出来たら、今よりももっと燃費が良くなったとか、或いはもっと操縦性能が上がったとか、そういうことは考えられませんか。初めに縛りがあったわけですよね。「プリウスはTNGAを使えや」という役割があったわけですよね。
豊:そう。確かに縛りはありました。けれども、まだ世の中に存在していなかったんですよね。TNGAというモノ自体がまだ産まれていなかった。TNGAが既に出来上がっていて、「はいこれがTNGAだから、最初にプリウスに使ってね」と言われて、はいそうですかと採用したモノじゃ無いということです。TNGAとプリウスは一緒になって作って来たんです。
F:あ、なるほどそうか。
豊:TNGAというモノをこれからトヨタとしてやっていこうよ、という時に、「プリウス、あなたがその採用第1号車だから、一緒になってやっていきなさいよ」という流れです。
F:すると、プリウスがTNGAに合わせたというよりも、これから出てくる他のクルマが、むしろプリウスに合わせていかなきゃならんという事になりますか。
豊:それは違います。さっきフェルさんが指摘されたように、TNGAはプリウスに最適化されたものではありません。プリウス“だけ”のモノではない。先に申し上げた、カローラからレクサスのCTまでをカバーするのです。プリウスはそのど真ん中にいるというイメージです。
F:でも、圧倒的に数が出るのはプリウスですよね。多少“プリウス寄り”に作っても問題ないのでは。
豊:いえいえ。国内だけを見たら確かにプリウスが圧倒的ですが、グローバルで見たらやっぱりカローラの方が大きいです。10対4くらいですよ、今でも。アメリカに行けば、プリウスよりカローラの方が多く売れています。
F:何と!これは勉強不足でした。今でもアメリカでカローラを売っているんですか。それは何という名前で?
豊:普通にカローラで(笑)。
広報有田氏:日本のとデザインは若干異なりますが、カローラは欧州でも売っています。
豊:日本では5ナンバーの枠に抑えられていますが、向こうのカローラはそれが無いので少し大きいです。プリウスくらいあります。
そういう意味でいくと、カローラが一番母体が大きくて、その上にプリウスがいて、それ以外のところにまたいろいろな車種が来る、という感じです。その“いろいろ”にはもうすぐ発売されるC-HRというクロスオーバー車も含まれます。量もどんどん増えてきます。
繰り返しますが、プリウスはそのど真ん中にいるクルマです。真ん中のレベルが上がれば全体も一緒に上がる。プラットフォームの性能が上にシフトされればいいクルマができて、お客さんにも喜んでもらえるんです。
F:全部が良いクルマになっていくと。
豊:そう。そういうミッションが私には与えられていたんです。
F:火消しだけではなく(笑)
豊:火消しもありますけど(苦笑)
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