逃げられて他のクルマに行ってしまう

F:つまり、今までMINIを見てこなかった。検討するリストにも入っていなかったお客さん、新しい顧客層にアプローチできたと。

:その通りです。だからディーラーでも、最近は説明の仕方が変わって来ているんですね。今まではMINIを見に来ていたのですから、極端な話、「これがMINIです」的な話をすれば良かった訳です。

F:MINIの店に来て「これがMINIです」じゃないよなぁ。見りゃ分かるよという話じゃないですか(笑)。

:もちろんその一言だけじゃないですよ、キチンと説明もします。でも今までは、ある意味本当に、「これがMINIです」で通用していた。ところがこのクロスオーバーが出来てからは、それが通用しなくなって来たんです。「MINIですよ」、と言ったら、「だから何なの」と言われてしまう。それよりもちゃんと、このクルマ単体の魅力を教えてよと。何が優れていて、どんな機能があるのか。ある意味、自動車販売本来の姿に、まっとうな形になって来たわけです。正しくクルマの魅力を説明できれば、「あ、いいね」と言って買って下さる。それがちゃんとできないと、やはり……。

F:逃げられて他のクルマに行ってしまう。つまりラインナップが広がった事により、もはやディーラーはMINIのブランドにすがって売ることができなくなってきた。

:そうです。もはやそれだけで売ることは出来ないと思います。

F:これは面白い話ですね。ラインナップが広がることにより、逆にMINIブランド一本で売ることができなくなったとは。いや実に興味深いです。

:そこで販売の現場における解決すべき課題が浮き彫りになった、というところもあるんです。

F:顧客層が広がったとは言え、基本的にMINIの客は厳しそうだよなぁ。「キミこんな事も知らんのかね。それでよくMINIが売れるね」みたいな古くからのMINIファンが、悪く言えばMINIオタの爺さんとかが来て知識をひけらかしていきそうな。「キミ。60年台のMINIはね……」みたいな。若い営業マンなんて、60年代なんて生まれてねぇスよ爺さん、という話なんですけど(笑)。

:フェルさんのおっしゃる通り、MINIは結構厳しいお客様が多いです。BMWのお客様も相当に厳しいですが。

F:いわゆるオタク系の客が。

:やはり自動車オタクの方が多いですね。プロダクトディテールに関して、「ここどうなっているの?」とかなり技術的に突っ込んだ話を聞かれる方が多いです。特に多く聞かれるのは、やはり四駆の駆動システムですね。販売の現場では、その質問が一番多いです。これこれこういう状況の時に、前輪と後輪の駆動配分はどうなっているのか、ということとか。

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