みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
暑いですね。ボヤいても何の解決にもなりませんが、ともかく暑い。
そしてこんな時に実にタイミングよく壊れてくれるのが電化製品です。
あろうことか寝室とリビングのエアコンが同じタイミングで不調になりまして、設定温度を16度にしても一向に涼しくならないていたらく。フィルターを清掃しても室外機の上部を濡れタオルで覆っても(暑い日には意外と効くらしいです)外気温と変わらぬ温風が盛大に吹き出してきます。部屋の中はまさしく灼熱地獄。寝室のエアコンは10年選手ですから、そろそろ寿命と納得もできますが、リビングの方は交換してから5年しか経過していないのです。所謂“ハズレ”を掴まされてしまったのでしょうか……。
業者に電話をして大至急交換を依頼するも、「最短で8月15日以降になりますね」と冷たく宣告されてしまいました。「何しろこの猛暑で注文が相次いでいまして……取付業者さんも予約で一杯なんですよ」と。
この暑さではとても眠ることなどできません。緊急避難として、狭い書斎に布団を持ち込んでゴロ寝しています。あと2週間以上もこの生活が続くのでしょうか……。
さてフェル号です。車検&精密検査の結果、「機関良好。足回りも問題なし。いいクルマを買いましたね」と名医からお墨付きをいただきひと安心。

とはいえそこは10年落ちの中古車です。油脂類フィルター類を全交換。溝はたっぷり残っていますが、タイヤも近々交換の予定。ホイールはいろいろ悩んだ末にRAYSの鍛造に決まりました。
ナビも古いので、Bluetooth対応の新しいものに交換します。この辺はあまり強いコダワリがないので、店に行って現物を見てピンと来たものを選ぼうと思います。

オッサン4人が集まってむさ苦しい暑気払い……に見えますが、私以外のお三方は、いずれも50を過ぎてからもスピードを緩めず先端を走り続けるパイオニアです。
右は講談社から「もう一度ジャーナリズムを見直したい」と某メディアベンチャーに移籍した瀬尾傑氏。彼はもともと日経BPの出身で、ジャーナリスト志向の強い人間です。今後の某メディアベンチャーに注目しましょう。これからオリジナル記事が出るかもしれません。
赤シャツの御仁はリクルートホールディングスの執行役員を退任し、新会社Tommyを立ち上げた冨塚優氏。「あくまでも個人会社」と謙遜しておられますが、何しろ“元リク”の鍛え抜かれた営業マンですからね。突破力がハンパない。現段階で詳しいことは書けませんが、キーワードは「インバウンド」と「コト消費」。こちらも楽しみです。
そして『小泉進次郎 日本の未来をつくる言葉』を物したフジテレビの鈴木款氏。氏は昨今の進次郎ブームに安易に便乗したのではなく、フジの赴任先だったNYで、同じくNYに留学中だった進次郎氏の出馬宣言に居合わせて以来の進次郎ウォッチャーです。進次郎氏に関しては、いささか“人気先行”の感もあったのですが、なるほど確かなヴィジョンを持っておられる。総理の資質は大いにアリと見ました。
ということで本編へとまいりましょう。
クボタの取材で、ダラスとアトランタを駆け足で回ってきた。
もともとは今号からレクサスのフラッグシップカーであるLSを特集するつもりでいたのだが、その駆け足ツアーが非常に面白いものだったので、先行でチラ見せすることにした。クボタの正式な取材記事は9月以降に当日経ビジネスオンラインと日経 xTECH(クロステック)でお送りする予定である。今回は全編がヨタのようなものなのだが、ご容赦願いたい。

トランプびいきの運転手さんとの会話
今回アメリカ南部を訪れて一番驚いたこと。それは「トランプ支持者の生の声」である。
ダラスがあるテキサス州と、アトランタのあるジョージア州はご存知の通り共和党の大票田。そして(さすがにプーチンとの会談以降は下がっていると思うのだが)共和党支持者のうち実に9割がトランプ支持という驚愕の事実がある。
以下、アトランタでuberを利用した際、ドライバーと交わした会話。
Uber:You guys(みなさん)日本人? アトランタへは仕事で?
F:仕事です。クボタという会社をご存知ですか。そこへ来ました。
U:クボタ! 知ってるよ。トラクターの会社だね。オレンジ色のやつ。アトランタには外国の会社が北米本社を置くことが多いんだ。メルセデスもそう。ポルシェもそうだね。
F:アメリカの企業も多いですよね。コカ・コーラがそうだし、デルタ航空も。
U:ハンバーガーのウェンディーズ……なんて知らないか。あそこの本社もここにある。あと、Amazonの第二本社がアトランタに来るって話だ。
F:へぇ、Amazonが? あ、あとCNNも確かここでしたね。
私が「CNN」と口にすると、彼は露骨に舌打ちをして、いかにも忌々しげにこう言った。
U:ハン、CNNね。CNNが何の略か知ってるかい?
F:Cable News Networkの頭文字でしょう?
ド:No no! あれはCommunist News Networkの略だ。本当に酷い。一日中フェイクニュースを垂れ流している。

F:コ、コミュニストニュース……。
海外で安易に政治と宗教の話をするのはご法度だが、ふだん知り合うチャンスの少ない南部の人の話を聞けるまたとないチャンスである。ここは質問に徹して、会話を続けよう。
F:CNNはミスター・プレジデントに対して批判的な論調ですね。するとあなたはトランプ支持者?
U:もちろんだ。彼はアメリカのためによくやっている。この辺はみんなトランプを支持しているよ。中国との貿易不均衡は解消しなくちゃいかん。あれはフェアじゃない。我々は長い間大損をしてきたんだ。
でも保護貿易を続けたら結局ソンをするのは国民ですよね、ヘルシンキではプーチンに良いように丸め込まれましたよね……なんて言ったら「このコミュニストめ!」と逆上されそうなのでやめておいた。考えてみれば、本業やプライベートで関係のある“アメリカ人”は、所謂リベラル色の強い沿岸部の人ばかりなのだった。彼らは総じてトランプ嫌いだものなぁ……。まさに“合衆国”アメリカは広うござんす。
こちらはダラスで撮った一枚。
有名なケネディ大統領暗殺の事件現場である。
ケネディ大統領暗殺事件には不可解な点が多く、ウォーレン調査委員会が結論付けたオズワルドの単独犯行に疑問を持つ人も少なくない。写真奥のレンガ造りのビル(教科書倉庫ビル)最上階右端の窓から狙撃されたとされているが、ゴルゴ13じゃあるまいし、時速20キロで走行するクルマに乗る遠い標的を正確に撃ち抜くことなど実際にできるものなのか。犯人が翌々日に“警察署内”でやくざ者に射殺されてしまったのも明らかにおかしい。
911事件とともに、数多くの陰謀説が飛び交うのもむべなるかな。事件現場の路傍では、「ケネディ事件の真相」なんていう怪しげなDVDを、完全に目のイッちゃってるご老体が「真犯人はKGBだ……」なんてブツクサ言いながら売っておられた。
アメリカでは全然イメージが違うクボタ
さてクボタである。
日本で「クボタ」と聞くと、どうしても田植え機やコンバインなどの“農機具メーカー”をイメージしてしまうのだが、アメリカに行くとその印象はガラリと変わる。クボタは大型乗用芝刈り機メーカーであり、個人向けコンパクトトラクターメーカーであり、建機メーカーであり、RTV(ユーティリティビークル)メーカーであり、そして農機のメーカーでもある。もちろん祖業である水道管も売っている。

連結売上高はさりげに1兆7500億円もある巨大企業。その内の7割近くを海外で稼ぐ隠れたグローバル企業。クボタのグローバル戦略において、アメリカは最大の市場であり、また重要な生産拠点でもある。
クボタのアメリカ事業は、もともとコンパクトトラクターから始まった。
日本の農家で普通に使われている中小型のトラクターが、こちらの富裕層(“庭いじり”というには広大すぎる土地を持つ人々)のホビーアイテムとしてジャストサイズで、大型のアメリカ製トラクターの隙間を埋める形でシェアを伸ばしブランドを確立してきた経緯がある。

お話を伺ったFrank Scheffler氏。2年前にリタイアして(今でも複数の企業のコンサルを“軽く”続けている)今は趣味の庭いじりに専念されている。“庭”の中には森があり畑あり湖がある。

多くの工具がビシッと整えられたScheffler氏宅の広大なガレージ。芝刈り機からトラクター、RTVまで、クボタの製品は全て屋根付きガレージに大切に保管され、ご自身のトーラスは野晒しになっていた。「だってフォードよりクボタの方が大切だからね(笑)」と。
クボタの米国販売子会社(KTC:Kubota Tractor Corporation )の設立は古く、1972年に遡る。そして昨年4月には本社をカリフォルニアからテキサスに移動したばかりである。畑作市場の中心地に本社を移動することにより、満を持して畑作用大型農機市場へ打って出る形になる。一昨年には、アメリカのインプルメント(トラクターの後ろに取り付けて作業を行うさまざまなアタッチメント)メーカーであるGreat Plains Manufacturing,Inc.の買収も済ませている。
この一連の動きを、現地の農機メーカーはどのように受け止めているのだろう。「宣戦布告」と見る向きもあるのではないか。いずれにしても戦々恐々としているに違いない。

アメリカの庭は広い。そしてアメリカ人は庭いじりが大好きだ。
彼らは自ら芝刈り機を駆り、大喜びで芝を刈る。
また地区によっては自宅前の庭の管理が義務付けられていて、草ボウボウの家は「地域の不動産価値が下がる!」と近所から糾弾されることもあるという。こうなると好き嫌いの問題ではなくなってくる。趣味かつ義務となってくると、芝刈り機には操縦性、耐久性、整備性、経済性等の数々の要求が突きつけられることになる。そこで安心の日本ブランド、クボタの製品が躍進するという成り行きだ。クボタはコンパクトトラクターでアメリカ市場の下地を敷いた後、大型の芝刈り機でシェアを拡大していった。

今回は“芝刈り機の試乗”という誠に得難い機会を与えていただいた。
時速20キロで走行してキッチリ芝が刈れるのだからエラいものだ。
拙宅の猫の額のような庭なら5秒で終わる。
写真の機種は“ゼロターン”と言って、左右のタイヤを逆回転させることにより“その場回転”が可能なモデルである。クルッと180度回る感覚は非常に新鮮だった。昨今は回転半径が小さく作業効率の良いこちらのタイプが主流になっているが、年配のお客は使い慣れた昔ながらの丸ハンドルを求めるそうだ。

こちらはクボタが新たに市場投入したガソリンエンジンのRTV。
最高速度は40mph(64.4km/h)だが、実はECUでかなり控えめに設定されている。
ROMを書き換えれば100km/hの実力があるそうなのだが、当然ながら高速車両の経験に乏しい同社ゆえ、開発は慎重を旨としているとのことだった。違法改造はあきまへん。

海外経験豊富な吉川社長。アメリカ事業の「これまで」と「これから」をたっぷり伺った。
詳しくは9月以降の本チャンの記事で。

新井社長は偶然にも私と同い年で、初めての海外赴任となった。
「まさか自分が海外赴任になるとは夢にも思わなかった」とのことで、英語の習得に大変な努力をされている。56歳ともなると、サラリーマンとしては「上がり」の時期で、中には無事これ名馬とばかりに定年まで安穏とした日々を過ごす人もいる。だが新井氏は違う。お話を伺いながら不覚にも落涙してしまったのだが、こちらも詳しくは9月以降の本編で。
トヨタの北米本社にも潜入!
最後に少しトヨタの話を。
せっかくダラスに行ったので、昨年7月に移転したばかりのトヨタ北米本社を見学してきた。今回も例によって広報部のN主幹に無理を言って実現したものだ。Nさん、ありがとうございます。


北米では製造、販売、金融、渉外の統括機能が分散していたのだが、それをイッキに集約したのがこの新本社。実に4000人近くが転勤してきたのだという。トヨタはこれからアメリカに1兆円以上の投資を予定している。

昨年の北米におけるトヨタのシェアは14.1%。フォードとほぼ同程度で、1位はGMである。トヨタが最も“強い”エリアはボストンとサンフランシスコのregionで、共にシェア16.5%である(2017年1-8月)。
アメリカの自動車市場はトラックが売れまくる異常事態で、販売比率はトラック64.4%に対して、乗用車25.6%である。アメリカで売れているクルマを順にあげると、フォードの F-series、シボレーSilverado、ダッジRam、トヨタのRAV4、日産ローグ、トヨタのカムリ、となる。トップ5のうち、乗用車タイプのクルマはカムリだけなのである。まさにトラック王国である。

面白かったのは「pIT Stop」と名付けられたこのコーナー。エンジニアが常駐していて、社内のパソコンなどのトラブルに即応してくれる。簡単な修理ならここで済んでしまうのだそうだ。奥にはパソコン周辺機器の自販機もある。何しろ4000人が勤務するひとつの「町」だ。生命線のIT管理にはコストを掛けている。



ということで来週は最新のLSの試乗記です。お楽しみに!
こんにちは、担当編集のYです。
今回は全編ヨタ話、ならばあとがきコラムもヨタでよかろうとYが登板いたします。というか、フェルさんの前ヨタのエアコン壊れた話に反応してしまいます。
私の場合エアコンと言えばまずクルマ。例の23年落ちのS124は持病にエアコンの冷媒リークがありまして、夏、いきなりそれが露呈し、一家揃って茹で蛸になったことも。今年は、春の暑い日にさっぱり冷えないことがあり「これはそろそろやばい」とカー用品店に持ち込みました。
冷媒のチャージを依頼して、やれやれと待合室で懐かしの『バリバリ伝説(の、世界GP編)』など読んでおりますと、呼び出しが入ります。「これ、ガス(冷媒)は抜けていないと思います。ちゃんと冷風が出ますので」と店員さん。なるほど。しかし、これはおそらく夜になって気温が下がったおかげ。経験則で、だいたい1年半で半分近く抜けてしまうのですが、タイミング的にほぼ一致しています。
「かまいませんので、入れてください」「一度機械に繋いで作業を始めてしまうと料金が発生しますが、よろしいですか」「大丈夫です」
そんなやりとりの後、待合室に戻ってまた『バリバリ』に夢中になっていましたら、再度コールが。行ってみると「すみません、半分くらい抜けていました……」。いえいえ、お客さんに無駄なお金を使わせては、という気持ちからのことだとちゃんと分かりますので、問題ありません。しかし、旧車は自分のクルマのことをある程度知っていないとやっぱり面倒なことになりますね。10年以上乗っているのにてんで無知ですが、これは押さえておいてよかった……という話を、猛暑にもかかわらずよく冷える愛車に家族が乗るたびにぶちかまして、嫌がられています。
うちのエアコンも壊れました!
しかし、今年の夏はそれだけでは済みませんでした。なんと、リビングのエアコンが突如ご臨終になってしまったのです。保証も部品もない古いモデルなので修理もできず、新品に交換するしかない。折しも暑さは最初のピーク、えらいことになりました。
で、ネットであちこち探すわけですが、即納を謳う家電量販店も工事はおおむね3週間前後の待ち。エアコンの箱を眺めていても涼しくなりません。もうちょっとどうにかならないかな、と検索すると、エアコン工事受付のサイトがいくつも引っかかります。なんだ、あるんじゃないか。そう思って、めぼしいところに2つほど電話してみました。すると、1軒目は「担当者が他の電話に出ていまして、折り返します」と言ってきたきりなしのつぶて。2軒目は自動音声案内で、予定が決まり次第日時を知らせるというもの。2時間ほどして携帯に電話が来て「アナタノジョウケンニアウギョウシャガミツカリマセンデシタ、コチラ、キャンセルトサセテイタダキマス」という合成音声を聞かされました。
いかにも全国ネットのサービスチェーンのように見せていますが、おそらくやっていることは、契約している日本中の個別の業者さんに連絡を回すだけのもの。だったら、近所の電気工事の業者さんを自分で探して直接電話した方が確実で、おそらく早い。長いリストを上から舐めるように電話を掛けまくるのは新人記者時代にさんざんやったので慣れたもの(いい思い出じゃありませんが)。
さっそく地図検索で自宅近くの家電店、電気工事店を検索し、ホームページがあるところはそちらも確認して、エアコン工事をやってもらえる近隣店のリストを作成し、かたっぱしから電話しました。「うちは新築専門です」「法人向けのみです」というところもありましたし、「1週間以内で工事できます」と言われておお!と小躍りしたら、そのお店でエアコンを買うことが条件(高級機しかなく、予算の軽く倍なので諦めました……)だったり、「9月末になります」と言われたりと、いろいろありましたが、結局、10日待ちで作業してもらえる業者さんを発見。翌日に下見に来てもらって契約となりました。フェルさんは24日待ちですって? ふふん♪
このお店は工事のみなので、エアコンは価格比較サイトで調べて、使っていた機種の冷却・暖房性能を持っている製品の中から、短納期のものを選んで購入。取り付け費用を含めたトータルでは家電量販店で買うよりも、ポイントを勘案しても1万円以上は安く上がったと思います。しかし、比較サイトの掲示板を見てつくづく思いましたが、エアコンマニアな方ってあんなにたくさんいらっしゃるんですね……。
工事当日はありがちですが熱波が一段落したタイミング。「いやあ、作業が楽でありがたいです」とほがらかに業者さんがやってきて、朝から2時間ほどかけて丁寧に作業していかれました。「エアコン設置は結構神経を使うので、1日2件が限界ですね」とのこと。工事依頼はひっきりなしのようで、しょっちゅうスマホが鳴っていました。
寿命が延びる使い方ってある?
さて、さすがにここまで書いてきて「これじゃほとんど個人ブログだよな」と気がつきました。実直な会社員の編集Yとしては、すこしはメディアらしい仕事のふりもせねばなりません。いま、工事依頼が殺到しているとのことですが、そもそもエアコンって夏に壊れるものなのでしょうか、寿命って何年くらいなんでしょうか。それが分かっていればウチのS124同様、心構えもできるというもの。そして、使い方によって壊れやすくなったりするんでしょうか。これまで我が家のリビングで長年働いてくれたことに敬意を表し、ダイキン工業の広報さんにお電話していろいろ聞いてみました。
Y:お忙しいところすみません。家庭用エアコンの寿命ってどれくらいなんでしょう。
D:当社では、基本的に10年を想定していますね。
Y:10年間ですか(うちのは14年使えたから、大往生だったということですね)。その寿命が短くなるような使い方ってありますか。日頃こんなところに気をつけるといいですよ、みたいな。
D:うーん、お答えとしてはすこしずれてしまうかもしれませんが、常識的な範囲の使い方で10年以下になることはないんです。といいますか、ないように造っています。
Y:といいますと?
D:メーカーによって基準は様々ですが、たとえばウチでは、室外機(こちらが本体です)に300通りくらいの使用条件のテストを行っています。ですので、普通に使っていればそう簡単には壊れないんです。
Y:なるほど、普通に気を遣わずに使っていてもまず10年は持つように造っている。
D:そうです、ただし、長く使えるか、故障しないかどうかには、設置作業が大きく影響するんです。
Y:というと。
D:エアコンは熱を運ぶ冷媒を配管で循環させて、冷房、暖房を行いますよね。まず、配管の締めが甘いと、冷媒がゆっくり漏れてしまいます(Y:あ、これうちのS124だな、経年変化であちこち緩んでるんだ)。もうひとつは、配管の中に水やゴミが侵入してしまうこと。血管に異物が入り込むみたいなものです。水分やゴミが冷媒に混じって、人間で言えば心臓に当たるコンプレッサーに入ると、最悪、壊れてしまうこともあります。
Y:水分もまずいんですか?
D:ええ、冷媒の中で凍りますから。
Y:あ、氷の粒になっちゃうのか! しかし、そういうことと設置作業にどういう関係が。
D:配管を繋ぐ際にごらんになったかもしれませんが、長さを合わせるためにパイプを切ったりつないだりしますよね。そのとき、切りくずが入ったり、あるいは、その切りくずを飛ばそうと、ふっと息で吹いたりするときに水分が入ってしまうんですよ。
Y:ああ、なるほど……! エアコン設置ってずいぶん慎重に、時間を掛けて作業するものなんだなと思っていたんですが、そういうことですか。
D:ですので我々も、業者さんに繰り返し、設置方法のレクチャーをしているんです。
Y:どの世界でも現場のエンジニアの方って重要なんですねえ……。
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コラムのすみっコの小さなコーナーで、しかも本来クルマのネタを扱うところなので、大変恐縮ですが、とご相談したら「そういうところに別ネタがあるって面白そうじゃないですか」と、ポジティブに対応してくださったダイキン工業広報のS様、この場を借りて御礼を申し上げます。上記の文責は全てYにあり、誤りがございましたら私の責任です。
工事の業者さんがつかまらないことから、「故障は夏が多いのでは?」と思っていましたが、そういうわけではないそうです。夏と冬の間の、エアコンを使わない「中間期」を経て、しばらく停めていた機械が動くことで故障が出やすくなったり、その間に冷媒のリークが進んだりするためらしいです。また、あるあるとしては「リモコンの電池切れ」も大変多いとか。
夏に悲鳴を上げたくなければ、10年を越えたら用心して、使えるうちに交換、というのが正解なのでしょう。実は私の部屋のエアコンはすでに20年近い古強者ですが、動いているともったいなくってなかなか替えられませんでした。省エネからいってもこりゃ替え時なんだろうなあ。でもなんだか動いているとかわいそうで。付喪神を信じるタイプなんです、私。
あっ、フェルさんが言っていた「室外機に濡れタオル」ですが、Sさんによれば「実験していないので、具体的な効果の有無は不明としか言えません。ただ、理屈としては、背面から吸い込む空気が冷えていれば効率は良くなりますから、効く可能性はありますね。ただし、タオルが空気の吸い込み口を塞いでしまったら一気に効率が落ちますよ」とのことでした。
思わず暴走のヨタ話、大変失礼いたしました。
さて、書斎にもぐりこむフェルさんにエールを送りつつ、涼しい涼しい我が家のリビングに帰りますか(笑)。

この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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