プリウスは、TNGA採用の第一号車

:そう、正しく「はぁ?」という話です。「豊島呼んでこい!」って話ですよ(苦笑)。もうあちこちの部署から呼び出されて、そこへ行っては謝るわけです。着任早々、毎日が謝罪です。

「トヨタのクルマが大きく変わる、その象徴がプリウスだったんです」
「トヨタのクルマが大きく変わる、その象徴がプリウスだったんです」

F:着任早々謝罪って、なんか韓国の黄教安首相のような。あの方も着任したばかりでMERS(中東呼吸器症候群)のことで対応が悪いと謝罪させられましたよね。

:でも僕はこう考えました。これは焼畑農法だと。畑が燃えて、火が消えた後には豊饒な土地になる訳じゃないですか。

F:確かに豊島さんはポジティブです(笑)。しかしその大役拝命前はどうだったのですか。なんか4代目プリウスは炎上して相当ヤバいことになっている、という噂は聞かれなかったのですか?

:噂もなにも。前にお話ししたEVのスタディは、プリウスの隣の部署でやっていましたから。炎上丸見えです。あぁ、あれはどうするんだろうなーと思って横から見ていました。

F:どうするんだろうなーと思っていたら、イキナリ自分が当事者になってしまった(笑)

:そう(苦笑)。そこでリセットボタンを押すことから始めたんです。リセットボタンを押してからキチンと謝りますと。でも謝るだけではだめなので、「ここまでやります」という約束をしました。

 その一つがプラットフォームのカバーレンジ。例えば、衝突安全性を含め、車両重量が1トンから1.5トンのクルマを同じプラットフォームで造ることができるように設計しておけば、そのままで、いろいろな車に流用できるんです。プラットフォームが流用できれば、コスト的にも助かるし、何より性能的に良いモノがどんどん増えていく。これがTNGAの基本的な考え方です。

F:なるほど。しかし1トンから1.5トンが同じプラットフォームとなると、1トンの方はオーバースペックに、そして1.5トンの方は性能ギリギリに、ということになりませんか。

:なりません。そこはキチンと枠を分けています。プラットフォームには上限と下限がやっぱりあるのですが、その下限までを1つのプラットフォームで極力造りましょう、部品を共用化していきましょう、というのがTNGAです。つまり、上限に合わせていいものを造って、それを広く使うということでメリットを出す訳です。

F:TNGAはCセグ専用なのですか?もっと大きいクルマにも使えるのですか?

:使えます。カムリにもプラットフォームを展開しています。またCセグで言うと、カローラから現行のレクサスCTまで同じ「群」の中に在ります。ウチとしては、同じ群の中にいるものを、基本同じプラットフォームで造っていきたい。

 アッパーボディーにしても、今度出てくるC-HRみたいなクロスオーバーだったり、普通のセダンだったり。またハッチバック、2ボックス、ワゴン。これらのクルマも、この中でちゃんと造れるようにしましょうと。だからまず車体を整理しています。その初っ端がプリウスなんです。トヨタのクルマが大きく変わる、TNGA採用の第一号車がプリウスなんですよ。

F:なるほど。「燃費世界一」のタイトルもさることながら、プリウスにはそうした象徴的な意味も込められていた訳ですね。