モーター駆動の良さを多くの人に味わってほしい

 ということで本編へと参りましょう。日産NOTE e-POWERの開発者、仲田直樹氏のインタビューの続編です。

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F:今さらなんだ、という質問なんですけれども。どうしてこういう方式にしたのですか。日産の持ち駒には普通のエンジン車もあるしEVのリーフもある。その中で、どうしてシリーズハイブリッドなのですか。会社の公式説明じゃなくて、エンジニアとしてのホンネを教えてください。

仲田氏(以下、仲):それはやっぱりモーターですよ。僕ら、モーター駆動の良さというのを、より多くの人に味わってもらいたいんです。(ここで広報の人が耳打ちをする)あ……え……?会社でもそう言っている?そうなの?それじゃあれです。会社もそう言っているそうなので。実際にそうなんです。これは僕らの本当のホンネです。それが会社のアレ(カタログ等)にも載っている。

F:確かに、EVの運転感覚は非常に優れていますからね。一度乗ったら忘れられない。あの出だしからギューっと来る感覚はとても気持ちが良い。

:そうでしょう。やっぱり良いでしょう。もうEVに乗っちゃうと、あの出足のよさを味わっちゃうと忘れられないでしょう。あれはもう一種の麻薬のようなもので(笑)。

F:そうそう。一度打つと止められなくなるというか(笑)。でもそこでリーフを買うかというと、そこにはまた違うハードルがある。価格だったり、走行距離だったり。完全なEVのリーフを買うには多少の度胸が要りますからね。旅先で充電ステーションがなかったらどうしよう、とか。

:フェルさんご指摘の通り、やはり価格と航続距離がネックになっている部分はあるんですね。

F:マイナーチェンジを重ねて、今やリーフも航続距離280キロ。どうせ話は半分だとしても、ざっくり150キロくらいは走れるというところですか、エアコンをつけても。

:話半分ですか……厳しいなぁ(苦笑)。でももう少し走れますよ。どんなに悪くても7掛けくらいは行くと思います。

マンちゃん:僕の経験だと、180キロは行けましたね。

F:すると65%くらい?エアコンつけて?

マンちゃん:もちろん。エアコンつけて夜だったからランプも付けて。

F:エアコンをつけなければ、たぶん楽勝で200キロを超えてくるよね。

:フェルさんはエアコン悪玉論者のようですけれども、実際の電気自動車は、ノートもそうなんですが、エアコンよりも暖房のほうが影響が大きいんです。もう自動車を構成する全ての部分で効率が上がっちゃっているので、熱を出すものがなくなってしまったんです。クルマの中のどこかで余った熱を拾って来るということができないんです。だから逆に暖房の方が電気を食ってしまうんです。初期のリーフは、電気でお湯を沸かして、その熱で空気を温めていました。いまは空気を直接温める方式に変えています。

F:はー。熱を出すものが無くなったので、わざわざヒーターで暖かい空気を作らなければならない、と。

:エンジンを回していた頃は熱をバンバン捨てていましたからね。だから空調屋さんなんかは、「熱はタダ」という感覚があって……それが今はタダじゃなくなっているんです。

F:モーターで走るとなると、インバーターが熱源になりませんか。あれはうんと熱が出るでしょう。

:いやそれが、今はあまり出ないんですよ。今はうんと効率が良くなってしまったので。「良くなってしまった」と僕らが言うのも妙な話なんですが(苦笑)、今や変換能率は90%を超えているので。

F:90%!そんなに……。

:ええ。最大効率はモーターインバーターで96%。燃費計測方法の一種であるJC08で走っても、平均92%くらいの数字が出る効率なんです。効率的には、もうかなりのレベルまで行っているので。

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