突然始まった「マツダ割り込み大特集」(>※前回はこちら)。

 SUBARUとマツダという、我が国を代表する“マニアック2大ブランド”の記事を並行して「日経ビジネスオンライン」に掲載するからには、日経BP社として何か特別な思惑があるのではなかろうか……。

 賢明なる当欄の読者諸兄に於かれては、このように考えておられるに違いない。

 そう。ご賢察の通り、一連の連載には日経BPとその親会社である日本経済新聞社の深い深い思惑がある。それは我が国の自動車産業の明日を占う重大な試金石とも言える、グループの総力を挙げた……なんて話があるワケがないでしょう。ハイラックスの話が予定を大幅に上回って伸びていたところに、マツダの次世代車両の試乗が飛び込んできただけの話である。1台のクルマの話が長引けば、試乗できるクルマの数は当然減ってしまう。私としては可能な限りたくさんのクルマに乗りたい。マイトのYに「どうしたら良いでしょう」と聞いたら、彼は「記事をたくさん書けば良いだけの話ですよ。ま、あんたにゃムリでしょうけどねwww」と冷たく言い放った。上等じゃないか、と売り言葉に買い言葉的に始まったのが、今回の割り込み企画の真相である。

 お話を伺うのは、ヨタ話でもご紹介した松本浩幸執行役員車両開発本部長と、おなじみ脱線大将ムッシー虫谷こと、車両開発本部操安性能開発部走安性能開発グループ 兼 統合制御システム開発本部 上席エンジニアの虫谷泰典氏である。肩書が43文字もある。長ぇ(笑)。肩書の長さと話の長さは比例するのかもしれない。

 取材の「本来」の目的は、マツダの新型エンジン「SKYACTIV-X」と次世代ボディ&シャシー技術である「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)」を搭載した試作車の試乗である。このインタビューは、試乗後に足回り担当の開発エンジニアが、試乗したジャーナリストに「試乗後の感想を伺う」というシーンである。しかしそこはムッシー&フェルの暴走コンビ。当然というか、話はアサッテの方へ飛んで行く。

このコラムのために、雑誌のバックナンバーを全部揃えた

虫谷:ところで、フェルさんとYさんは國政久郎さんをご存知ですか?

F:あぁ、マツダの方ですね。モーターショーか何かでお会いしたのかな……。

マイトのY:またデタラメを言って! 國政さんは著名なサスペンションエンジニアですよ!『営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由』は名著です。サスペンションを切り口に車両評価などをされていて、ダートラで全日本チャンピオンにもなられている方です。

虫谷:実は私がサッカーをやっているころ、クルマについてのバイブルは國政さんのコラムでした。昔、「モーターファン」という雑誌で國政さんのコラムが連載されていまして。いろんなジャーナリストが「いいね!」「凄いね!」と話しているクルマをコテンパンに書くんです。

F:「いいね!」「凄いね!」って、まさに私の記事じゃないですか……。

マイトのY:それをコテンパンに(笑)。

虫谷:当時、私は実験部に在籍していましたがサッカーが忙しくて仕事と言えばコピー取りくらいしかやっていませんでした。しかもお金がなかったから書店でモーターファンを立ち読みして、「こんな世界があるんだ」と(笑)。

F:立ち読みして頭に叩き込んでいた。本と雑誌は買って読みましょう(笑)。

虫谷:國政さんのコラムは少なからず私の考え方のベースになっています。今、こうして専門家になり私が感じたことを「確か國政さんが書いていたよな」と、古本屋を巡って、「あ、何年の何月号、まだ持ってなかったな」と当時のモーターファンを探しているうちに、掲載号が全巻揃っちゃいました(笑)。

F:古本屋巡り! そこまでしているんですか! そしてそこも今後のマツダ車に繋がるんですね。

虫谷:さきほど(前回参照)松本が申し上げたように、数字に表すことが難しい、けれど理論的に説明はできる、クルマにはそういう世界があるんだなと考えるようになった、一番最初の入り口で、興味を持たせてくれたのはこのコラムだったんですよ。

マイトのY:いいお話だなあ……。雑誌屋の端くれとしては泣けてきますね。

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