「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドー」と聞こえる電車
F:電車って昔は直流でしたよね。たしか小学校の社会科見学で見に行った時にそんな話を聞いた記憶が……。
仲:その昔は確かに直流モーターでした。直流の「チョッパー方式」というのでありましてね。電車はみんなそれで走っていた。ウーン、ウーン、と段階的に加速する音がしたのは直流です。そこからインバーター電車というのが出てきました。僕が学生のころなので、もう30年ぐらい前の話になっちゃうんですけれど(笑)。交流のインバーター方式は、連続的にウーンと上がっていくのですぐに分かります。
F:そういえば少し前に、京浜急行で走り出しの時に「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドー」と聞こえる電車がありましたよね。あれもそうなのかな。
仲:そうそう。あれがインバーターの音です。あれは「京急ドレミファインバーター」と呼ばれていました。でもあの車両は、もうほとんど引退したんじゃないかなぁ……。まだ少しは残っているかもしれませんが。あのインバーターはドイツのシーメンス製ですよ。
F:京急は私鉄の中で伸び率ナンバーワンなんですよね。やはり羽田に直結したのが大きい。
担当編集山崎:ちょ……ちょっとフェルさん。NOTEの話をして下さいよ。電車はフェルさんが分かりやすいように例として出してくださっただけなのですから。
仲:半導体の進化によって、電車もクルマも交流モーターで走れるようになったのです。大電流をオン/オフするスイッチング素子の進化、半導体の進化によって、乗り物が変わってきた。そういう意味ではパソコンと同じです。僕が学生の頃は、PC-98なんて、今から考えればオモチャみたいなものしかなかったパソコンが、今になると、こんなふうに進化している。半導体のおかげです。インバーターのスイッチング素子も、同じころにガっと進化しているんです。
F:ちなみにNOTE e-POWERで使っているパワー半導体は、もうSiC(シリコンカーバイト:炭化ケイ素)になっているのですか?
仲:まだです。まだSiCではないですね。
F:それは価格の問題ですか?
仲:まだ実用化というところまでは行っていないと思います。どこのメーカーさんも、まだ本格的な量産化まではいってないと思いますが。
F:自動車業界は慎重ですね。電車では既に積極的に使われています。小田急の新しい車両はSiCです。あとは地下鉄とかもそうかな。
担当編集山崎:フェルさんの知識って、メチャクチャ偏っていますよね。なんですかそのマニアックな話(笑)。
F:まあ本業がソッチ系だからさ。
仲:SiCは我々も使いたいですよ。もうそろそろですね。あ、ちょっとe-POWERの話に戻すと、例えばテストコースとかで時速140キロで連続走行したとしても、出力は40キロワットで足りているんです。でも登坂路を70キロ平均で登るとなると、それだけでは足りなくなってくる。高速よりも坂道のほうがぜんぜんキツいんです。電気的には。バッテリーから供給できるパワーは40キロワット。発電機で供給できるパワーは約50キロワット。
F:何と!合計すると40プラス50で90ワット!リーフの80ワットよりも大きくなる。すると本気になればリーフよりもハイパワーに……。
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