あの人は本当に危ないから気を付けろ

F:どうもはじめまして。今日はよろしくお願いします。フェルディナント・ヤマグチと申します。

仲田氏(以下、仲):こちらこそ。よろしくお願いします。

 お話を伺うのは、日産自動車パワートレイン技術開発本部パワートレイン主管の仲田直樹さんである。

F:実はこのe-POWERに乗る前は、とても意地悪な気持ちでいたんです。宣伝だったり、売り方だったりに、いろいろと批判が出ているじゃないですか。

:はい。そうしたご意見があることは我々も承知しております。

F:でも一旦運転席に座り、アクセルを踏んでみたら、その気持ちはいっぺんで吹き飛びました。意外だったんです。これは凄いやと。本当にEVじゃないかと。特にこのワンペダルドライブ、これは本当に良いです。僕はこの仕組みが、次世代のクルマの一つの指針になるのではないかとさえ思います。

:はあ……それはどうも……ありがとうございます。私の方も意外なので驚きました。

F:意外、とおっしゃいますと?

:フェルさんのインタビューはいろんな意味でヤバいからと。「あの人は本当に危ないから気を付けろ」と散々聞いていたので。今日は覚悟して来たんです(笑)。

F:な……誰がそんなことを!佐々木さんでしょ!

広報佐々木さん:え!わ、私じゃありません!私じゃありませんから!

F:まあ良いや。ともかくあの運転感覚はとても良かった。最初から違和感なくスッとワンペダルの世界に入って行けました。これは余程研究されたのだなぁ、と。

:研究というか、我々で言うセッティングですね。これは相当時間をかけて念入りに詰めていきました。

F:アクセルを戻すと、グーッとこうブレーキが掛かる。「ああ、いま電気が溜まっているんだな」と実感出来て、とても嬉しいです。何だかお金が貯まっていくような感覚です。

:そう。チャリンチャリンと小銭が貯まっていくような感じがあるでしょう(笑)。

F:ありますね。すごく得した気分になります。だけどあれ、どこまで貯まっているんですか。NOTEはバッテリーの容量が小さいから、例えば高速の長い下りなんかだと、容量を超えてしまうくらい発電するケースもありますよね。

:あります。発電量がバッテリーの容量を超えると、クルマのエンジンブレーキと同じで、エンジンで電気を捨てに行っちゃうんです。具体的に言うと、ジェネレーターがエンジンを回しに行って、そこでエンジンのフリクションで消費させる。エンジンブレーキと同じ理屈ですね。

F:なるほど。エンジンフリクションで、つまりせっかく作った電気を、熱エネルギーで捨てている。

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