みなさまごきげんよう。
フェルディナント・ヤマグチでございます。
三菱自動車様インタビューの続報です。「しかるべき方」がご対応頂けるとのご回答を頂いてから早三週間。何の音沙汰もないのでマンちゃんが連絡を入れると、「調整にはある程度のお時間を頂戴することになる旨、ご連絡させて頂いておりましたが」から始まり、「申し訳ございませんが、もう少し長い目で見て頂けないでしょうか」で終わる非常に丁寧なご回答を頂戴いたしました。
ようするに、「今やってるから黙って待ってろや」ということのようであります。読者諸兄におかれましては、今しばらくお待ち下さいますよう、伏してお願い申し上げる次第であります。年内に実現すると良いっすね。
さて、ヨタ本編です。日経ビジネスオンラインの火曜日の女王様としてその名も高い、河合薫さんとご一緒させて頂きました。いや美人でいらっしゃいますな。私は緊張のあまり、メシも喉を通りませんでした。現在の河合さんの担当編集は、私の初代担当であったマイトのY氏とのこと。Y氏に自慢の写メを送ったところ、お返事がありません。お元気でお過ごしなのでしょうか。
火曜日の女王と、月曜のゲス野郎。河合さんはANAの国際線CAから一念発起して東大の博士課程を修了された才女です。女王様の記事は
こちら
こちらはトヨタ自動車の広報諸氏と、日本一の売れっ子自動車評論家である渡辺敏史氏。色々と意見交換をさせて頂きました。テスラの株式売却に関して「既に1%しか保有していなかったし、売ったのは去年の話なのに、何を今さら騒いでるの?」他、たくさんの興味深いお話をうかがいました。最近のトヨタは本当にレスが早いです。
野郎4人で盛り上がりました。しかしナベちゃんは酒が強いなー。
蒲郡のトライアスロン大会に出場して来ました。で、またやってしまいました。今度はヘルメットの忘れ物です。幸いにして、名古屋から仲間がヘルメットを持って駆けつけてくれたので、無事にレースに参加することが出来ました。
「何やってんだよもー」と東海テレビの中島パイセン。大変申し訳ございません。
まあどんなヘルメットを被ってもレース後はこれこの通りダウンする訳でございまして……。係の方、お騒がせいたしました。
JTUのポイント大会なので非常にレベルが高いです。死にました。
とまれ、楽しいレースでございました。応援ありがとうございました。道端カレンちゃん可愛いです。
で、レース後は盛大な打ち上げ会が名城公園内の素敵なレストランで行われました。何ですかこのシャンパンの山は。夜の愛知県知事S氏が、ドカンと差し入れて下さったそうです。名古屋の経済状態は非常に良好であります。麦茶みたいにゴクゴクとシャンパンを飲みました。
夜の愛知県知事が差し入れて下さったシャンパンの山。右は夜の名古屋市長として有名な成瀬氏。時計を買うなら
モンテーヌ。私はこの春に愚息の就職祝いとしてこちらから時計を贈りました。
ということでボチボチ本編へと参りましょう。日産のエンジン付きEV、NOTE e-POWERの開発者、仲田直樹氏のインタビューです。
NOTEの好調が続いている。昨年11月の発売開始以来、排気量1.6リッター以下の小型・普通乗用車コンパクトセグメントの販売ランキングは7カ月連続で1位を維持している。年度末の3月には、2万4383台と最高記録を叩き出し、5月末までの累計販売台数は、10万797台となった。エラい勢いである。
NOTE e-POWERはどうしてそんなに売れるのか。燃費か、価格か、デザインか。はたまたEVならではのドライブフィールか。パワートレインの開発エンジニアにシツコク食い下がり、NOTEの秘密に迫ろう。
あの人は本当に危ないから気を付けろ
F:どうもはじめまして。今日はよろしくお願いします。フェルディナント・ヤマグチと申します。
仲田氏(以下、仲):こちらこそ。よろしくお願いします。
お話を伺うのは、日産自動車パワートレイン技術開発本部パワートレイン主管の仲田直樹さんである。
F:実はこのe-POWERに乗る前は、とても意地悪な気持ちでいたんです。宣伝だったり、売り方だったりに、いろいろと批判が出ているじゃないですか。
仲:はい。そうしたご意見があることは我々も承知しております。
F:でも一旦運転席に座り、アクセルを踏んでみたら、その気持ちはいっぺんで吹き飛びました。意外だったんです。これは凄いやと。本当にEVじゃないかと。特にこのワンペダルドライブ、これは本当に良いです。僕はこの仕組みが、次世代のクルマの一つの指針になるのではないかとさえ思います。
仲:はあ……それはどうも……ありがとうございます。私の方も意外なので驚きました。
F:意外、とおっしゃいますと?
仲:フェルさんのインタビューはいろんな意味でヤバいからと。「あの人は本当に危ないから気を付けろ」と散々聞いていたので。今日は覚悟して来たんです(笑)。
F:な……誰がそんなことを!佐々木さんでしょ!
広報佐々木さん:え!わ、私じゃありません!私じゃありませんから!
F:まあ良いや。ともかくあの運転感覚はとても良かった。最初から違和感なくスッとワンペダルの世界に入って行けました。これは余程研究されたのだなぁ、と。
仲:研究というか、我々で言うセッティングですね。これは相当時間をかけて念入りに詰めていきました。
F:アクセルを戻すと、グーッとこうブレーキが掛かる。「ああ、いま電気が溜まっているんだな」と実感出来て、とても嬉しいです。何だかお金が貯まっていくような感覚です。
仲:そう。チャリンチャリンと小銭が貯まっていくような感じがあるでしょう(笑)。
F:ありますね。すごく得した気分になります。だけどあれ、どこまで貯まっているんですか。NOTEはバッテリーの容量が小さいから、例えば高速の長い下りなんかだと、容量を超えてしまうくらい発電するケースもありますよね。
仲:あります。発電量がバッテリーの容量を超えると、クルマのエンジンブレーキと同じで、エンジンで電気を捨てに行っちゃうんです。具体的に言うと、ジェネレーターがエンジンを回しに行って、そこでエンジンのフリクションで消費させる。エンジンブレーキと同じ理屈ですね。
F:なるほど。エンジンフリクションで、つまりせっかく作った電気を、熱エネルギーで捨てている。
もったいないけど、電気を捨てている
仲:その通りです。そこは申し訳ないんですが、捨てさせてもらっています。確かにもったいないのです。でもそこでペダルの感覚が変わってしまっては危ないでしょう。減速の感覚が途中でスポッと抜けてしまうと危険なので。徐々に引いていって、最後は5000回転くらいまでエンジンを回しています。ですからお客様からの声の中には、「ペダルを戻して減速しているのに、エンジンの回転が上がる」というコメントをいただくことがあります。
F:なるほど。放電の仕組みが分かっていないと、確かに違和感を覚えますよね。放電時のエンジン回転は、ガソリンは噴いていないから燃費には影響ないのだけれど……。そうした時に、クルマからサインは出るのですか?
仲:特にサインは出していないですね。ただ、バッテリーがフルになっているので、そういう形でドライバーには伝わるのかなと思っています。
前号でも書いたが、NOTE e-POWERのバッテリー容量はリーフの15分の1とハイブリッド車としては極小のものを積んでいる。モーターを回す主たる“電源”はエンジンで、バッテリーは補助と割り切っているからだ。だから状況によっては、このように電気を捨ててしまうシーンも出てくるのだ。
F:NOTEはエコモードとSモードをセレクトした時に、アクセルペダルを戻すとブレーキがかかりワンペダル走行が可能になります。その時に、ブレーキランプは点灯しているのですか。普通のクルマだとエンジンブレーキをかけてもブレーキランプは点灯しませんが、NOTEの回生ブレーキはエンジンブレーキとはレベルが違う。ランプを点けて後続車に知らせないと危険なレベルですよね。
仲:もちろん点いています。ブレーキランプは光っています。
F:なるほど。ではアクセルオフ時に後ろのクルマからドカンとオカマを掘られる心配は無いわけですね。でもランプを点けたくない時も有りますよね。緩いコーナーの入り口とかで、いちいちブレーキランプが点いていたら、後ろのクルマから、「この程度でいちいちブレーキ踏むなよ、このヘボが」とか思われそうで……。
仲:ははは、それは分かります。おっしゃることはよく分かります。自分でも、「本当はブレーキ踏んでいるようには見せたくないんだよなぁ」というシーンはよくありますから(笑)。フェルさんの言うとおり、ここではまだブレーキランプを点けたくないなぁ…というポイントは確かにあるんです。でもそれは、法規上許されなかったんです。0.1G以上の減速Gがかかったら、その時はブレーキランプを点灯せよ、という法規がありまして。
ひゃー!そんな法規があるんですか。
F:ひゃー!そんな法規があるんですか。と……ひょっとしてそれ、このNOTEのために出来た法規なんですか?凄いな。NOTE停止法案。
仲:いや、それはないと思います。トラックの排気ブレーキでも点灯しますしね。
F:あ、なるほど。排気ブレーキでも点くんですか。
仲:減速時は、0.1Gで点灯。0.07G以下で消灯、という決まりがあるんです。NOTEではその法規に則ってブレーキランプを点灯、消灯するようにしています。でもその法規はちょっとおかしい気もしています。だってe-POWERのクルマの停止直前を見ていると、スーッと止まってきてGが抜けるので、最後の止まるところはブレーキランプが消えるんですよ。クルマが止まる時に消えちゃうんです。
F:最後にフットブレーキを踏まない限りは。
仲:そう、アクセルオフだけで止まるとそうなってしまう。法規上、0.07G以下では消さなきゃいけないので。
F:最後に止まる時に点くように変えちゃえば良いじゃないですか。そのほうが安全でしょう?
仲:それがダメなんですよ。勝手に改造したら、僕らが法規違反になっちゃうんですよ。でもそれは、近いうちに「その決まりは変だよね」と気付くと思うんです。だから僕ら、定数1つでいつでも変えられるように作り込んであるんです。だってNOTEのアクセルオフは、お客さんが、Bペダル(ブレーキペダル)を踏んでいるという意思と、何ら変わらないんだから。
F:近い将来の法規改正まで見越してクルマを作り込んでいるんですか?
仲:ああ、これくらいのことはいくらでもありますよ。僕らクルマ作りのプロですよ。どうということじゃありません。
F:面白い。実に面白い。このお話だけでも今日来て良かったと思います。
仲:こんな話が面白いものですかね……。開発に関しては、もっと大変な苦労話がたくさんあるんですけどね(苦笑)。まあでもこのブレーキランプの話がお好きなら、もうちょっとすると、今の法規って、実は曖昧な部分があるんです。0.1Gと0.07Gとの間では、点けていても消していてもどっちでも良いよ、みたいな感じになっていまして……。
F:へえ?グレーゾーン金利ならぬ、グレーゾーンランプ問題があるんだ。ちなみにNOTEではどうしているんですか?
仲:自動車って、人や荷物をいっぱい乗せていたり、空身だったりと、いろいろバラツキがあるので、NOTEでは、その辺のところで「ヒス」をつけて、法規に違反しないようにあるG以上になったら点けて、あるG以下になったら消すというのにヒステリシスを設けてやっていますね。
ヒステリシスって何ですか?
F:ヒステリシスって何ですか?
仲:点けるタイミングと消すタイミングが、必ずしも毎回同じではない、ということです。毎回0.07Gで点けて0.07Gで消すのではなく、ある時は0.07で、また乗車条件により、あるときは0.08Gでやる、という感じです。
F:それはセンサーで検知してやっているのですか。
仲:制御でやっています。センサーじゃないんですよ。センサーではできないので、車輪速の減速度みたいな形ですね。実際にはモーターでやっているんですけど、減速度でちゃんと、今何Gで減速しているというのが分かりますから、それでやっています。
さあさあ、いい感じに盛り上がってまいりました。
超マニアックな仲田さん。話はどんな方向に転がって行くのでしょう。
インタビューは次週も続きます。お楽しみに!!
読者のみなさん、こんにちは。AD高橋です。
私事で恐縮ですが、今年のゴールデンウイークに家族でキャンプに行ってきました。親父はクルマ関連の仕事をしていますが、小6の息子はクルマにまったく関心なし。道中は後部座席で寝ているか、ポリポリとお菓子を食べている。そんな感じです。
今回のキャンプには息子の友達(A君)も誘いました。A君は超がつくほどのクルマ好き。走行中はすれ違うクルマの車名を言いながら「STIは初代の頃と違って…」「アルファードのシートはものすごくスライドするんですよね」とWEBや雑誌で覚えた知識を話してきます。
いやあ、子どもとクルマの話をするのは楽しいですね。私が「それはこういうことなんだよ」と教えてあげると、目をキラキラさせながらどんどん情報を吸収していく。そして分からないことはどんなことでも聞いてくる。話をしているのはドライブ中です。運転するのはどんな感覚なのか、何が楽しいかなど、知りたいことは尽きません。
そんなA君がもっとも好きな自動車メーカーは日産。保育園時代から「GT-Rがカッコいい!」と話していたのですが、小学生になり社会科見学で日産の工場に行き、大好きなクルマが生まれるまでの課程を見られたのが本当に嬉しかったそう。そしてその際に展示されていたハコスカの運転席に座らせてもらったことで、日産好きが揺るぎないものになりました。「日産のモノづくりには、魂があります!」。完全に“日産信者”です(笑)。
「A君は運転免許を取ったらどんなクルマに乗りたいの?」
てっきりGT-RやフェアレディZ、あるいはシルビアあたりを言うかなと思ったら、彼はなんと「僕はNOTE e-POWERに乗ります!」と答えました。これにはちょっと驚きましたね。
「スポーツカーじゃないんだ?」と聞いてみると、「何を言っているんですか! NOTE e-POWERは“技術の日産”の集大成ですよ。EVをリードする日産が、EVの弱点である航続距離を延ばすためにエンジンで発電させることを思い付いたんですよ!さすがですよ!! しかも走りはモーターだからスタートからものすごい加速力が得られるんです。今、これほど凄いクルマはありませんよ!!!」と、NOTE e-POWERの魅力を10分以上語ってくれました。
もちろん運転免許を持っているわけないし、WEBなどで得た知識をベースに話しているので、NOTEの「シリーズハイブリッド」という機構自体は新しいものではないなど、ツッコミどころも多々あります。でもそんなことはどうでもいいんです。小学生が自分が大人になって乗るクルマを本気で考えていることが嬉しかったのと同時に、大人は電気自動車に抵抗感を持つ人もいるけれど、子どもたちはそれを普通に受け入れていることが新鮮でした。
彼らが免許を取る頃にはe-POWER搭載車が増えているでしょうし、ピュアEVの航続距離も今以上に長くなっているはずです。きっと彼らはガソリン車を選ぶのと同じ感覚でEVを選択するのでしょうね。
この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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