F:あ、了解です。それでは、正式に社長に就任された後はどうされますか。今回の事件に限らず、抱負を聞かせてください。

:今回の不祥事の解決が、新体制での足元の喫緊の課題であることは間違いありません。新体制でも本件について全力で取り組みます。

F:新社長として一番大事な仕事は本件の解決ですか。

まだまだ質を上げる余地はある

:足元はそうです。そしてその先の僕の一番の思いは、会社の「質」をもっともっと上げていかなければいけない、ということです。商品であれば「品質」であり、セールスの現場であれば「接客の質」であり、例えば、トラブルがあっても1回でバシッと直すという「サービスの質」である。商品品質、販売店さん品質、我々の業務品質。私はこれらの質を向上させることをずっと考えていたんです。

 これは今回の不祥事に端を発して、ということではなく、アメリカにいる時からずっと感じていたことです。アメリカで学びましたが、やはり自動車会社は「安全と品質」がお客様から一番期待されていることなんですね。安全と品質、これが大事です。SUBARUというブランドとしての安全、品質。これをもっともっと上のレベルまで高めていかなければいけません。

F:SUBARUは品質に関してはもともと折り紙付き。とても優れているというイメージがありますが。

:いやいやいやいや。そんなことはないです(苦笑)。品質も安全もまだまだ上げられる。SUBARUはもっともっと上のレベルに質を上げていかなければ、付加価値やブランド価値は高められないと思っています。

 今回のように、何か一発大きなトラブルや不祥事が起きると、コツコツと積み上げていたブランドイメージなどアっという間に凋落してしまう。こんなことが二度とないようにしたい。いまお話したことを根っこに、組織風土の質の改善を喫緊の課題として位置づけます。と……今お話したのが、近く発表の場を設けたいと思っている中計(中期経営ビジョン)の骨子になります。

不祥事で最も苦しむのは販売店の人々

F:ブランドイメージの凋落と言われましたが、フォレスターの予約は絶好調です。アメリカ市場と、スバリストに代表されるような熱狂的なファンに支えられた会社は、実は国内の不祥事とかあまり関係ないということはありませんか? いえ、もちろん社長の口から「そんなの関係ない」とは言えないでしょうけれども。

:それは違います。確かにとてもありがたいことに受注状況は好調ですけれども、僕らは関係ないとは少しも思っていません。今回新型フォレスターの記者会見を開き、大勢の記者さんに来ていただいて、CMも流し始めて、今回のローンチを信頼回復の第一弾と位置付けています。今回のフォレスターがお客様から評価されて、お客様が販売店に来ていただける、足を運んでいただけるキッカケになれば良いと思っています。

F:今回のフォレスターが、販売店へ来てくれるキッカケですか。

:そう。一連の不祥事で一番苦労しているのは、お客様と直接接点のあるセールスマンとサービスマンです。彼らはこの半年間、本当に苦労してきました。今回のフォレスターが、少しでも彼らの支援になればと思っています。

F:やはり現場は苦労をしたのでしょうか。買おうと思っていたけど、やっぱりやめるわとかそういう感じですか。

:それはもうセールスの現場には言葉で言えないほどの苦労をかけさせてしまいました。一番堪えるのは、やはり「私の今乗っているSUBARUは大丈夫なの?」というお客様の言葉です。

F:「大丈夫ですよ奥さん。クルマの燃費や性能にゃ何も関係ないですから」、とは言えませんものね(笑)。

マイトのY:あぁ、コラ!

:その大変な現場をこのフォレスターで支援したいと思っています。そして新しいフォレスターは、その役割を十分に果たせるクルマだと僕らは自負しています。

広報氏:フェルさん。ホントにもう時間が……。

エラい時に社長になっちゃったな、と思いませんか?

F:分かりました。最後に一つだけ教えてください。エラい時に社長になっちゃったな、と思いますか?

:いや、そうは思わない。逆に上り調子の時になるよりも良いと思っています。

F:今はドン底ですものね。

:……(絶句)。

F:不躾な言い方をしてごめんなさい。でもSUBARUという会社だからこそ申し上げます。SUBARUはこれまでとてもイメージが良い会社でした。去年不祥事が発覚した際も、すぐに認めてすぐに謝ってすぐに対策チームを立ち上げて、同じ時期に同じ問題が出た会社とは対応が大違いで、「さすがSUBARUはちゃんとしてるわ」とさえ言わしめた。むしろイメージアップにもつながった。

 それがまたぞろの不祥事です。それだけショックが大きかった。スバリストの失望たるやいかばかりか。これがもう一方の会社なら分かるんです。

マイトのY:やめなさいっての!

F:ああまたあの会社か。あいつらやりそうだよね、とそれほどショックは大きくないかもしれない。でもそれがSUBARUだからショックもショック大ショック。信じていた女性に裏切られたような感覚です。そんな時に社長になられたお気持ちは。

:そこは一から出直すつもりで頑張ります。信頼回復に努めます。今はこれしか申し上げられません。

一同:ありがとうございました!

 蛇のように食い下がって約10分。かくして突撃ぶら下がり取材は終了した。
 真摯にお答えくださった中村新社長。本当にありがとうございました。
 新生SUBARUに期待いたします。

 ムチャな突撃に嫌な顔ひとつせず(してたか……)ご対応くださった広報諸侯。お騒がせいたしました。これで心置きなく来週以降SUBARUのアメリカ奮闘記を書くことができます。

 それではみなさままた来週!

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