「するとまた市販車をやりたくなってきて…」

:そのレースは完走ができなかったし、4年間も悶々とした時間を過ごしたけれども、やっぱり楽しかったんですよね。WECのプロジェクトは、トヨタが本格的に関わっているんで。

 エンジンもトヨタのモータースポーツが開発しているし、ハイブリッドのシステム、キャパシタ、モーターも殆ど全てを日本人がやっているんですね。F1の頃は殆ど外国人がやっていて、トヨタはちょっとお手伝いみたいな立ち位置なんですが、ハイブリッドのレースカーは日本人がやらないと成立しないので。

F:なるほど。確かに。

:どれぐらいのサイズのモーター載せなきゃいけないというところから始まって、モーターの設計、電子制御ブレーキもやらせてもらって、開発にゼロから関われたので、悶々とした時期も有ったけれど、後にはものすごい達成感も味わいました。

 するとまた市販車をやりたくなってきてですね。レースで積んだ知見を、ウチのスポ車に活かしたらどうなるだろう、フィードバックしたらきっと面白いぞ、と。

F:そんな好き勝手にポンポン行くものですか?(笑)

:行かせてくれるんですよ。本気で行きたいと思ったら、希望をかなえてくれちゃうんですよ。この会社は。

F:いやー。意外だなぁ。ものすごく意外。

:もちろんみんながみんなそうなるわけではないですけどね。トヨタは大きな会社ですけど、比較的本人の意志を尊重して人事異動できるように努力はしますね。できるだけ本人のヤル気を尊重してあげようと。だってそのほうが頑張るでしょ。

F:うーん。私が抱くトヨタのイメージが。

:役所でも7:3分けでもないですから、ウチは(笑)

 なかなか86GRMNの話に入らなくてゴメンナサイ。

 しかしMIRAIの田中さんと言い、ハチロクのご両人と言い、最近のトヨタはどうなっているのでしょう。次号では増々ハジけたトヨタをご紹介。

 なにやらこの特集も長くなりそうな予感が…。あー試乗が出来へん……。

メーカーの本気度が年々増す
ニュルブルクリンク24時間レース

こんにちはADフジノです

先日、ニュルブルクリンク24時間レースの取材に行ってきました。

トヨタはこのレースに参戦して今年でちょうど10年目を迎えます。これまでにもレクサスLFAやRCF、トヨタ86などでエントリーしており、今回登場している86GRMNはまさにこの活動を通じて誕生したモデルというわけです。まあ、詳細はインタビューの続きをお楽しみということで。

トヨタは今年、レクサスRC、レクサスRC F、そしてトヨタC-HRの3台体制でエントリー。ちなみにC-HRは年内に発売予定のTNGAボディを採用したクロスオーバーSUV。トヨタはこうした発売前の車両を実験評価の位置づけでこのレースに投入している。総合84位、クラス3位で無事に完走を遂げた。ちなみに「モリゾウ」こと豊田章男社長はレクサスRCをドライブし、サプライズで予選にアタック。さすがの走りをみせた。
トヨタは今年、レクサスRC、レクサスRC F、そしてトヨタC-HRの3台体制でエントリー。ちなみにC-HRは年内に発売予定のTNGAボディを採用したクロスオーバーSUV。トヨタはこうした発売前の車両を実験評価の位置づけでこのレースに投入している。総合84位、クラス3位で無事に完走を遂げた。ちなみに「モリゾウ」こと豊田章男社長はレクサスRCをドライブし、サプライズで予選にアタック。さすがの走りをみせた。

今年で44回目を数えるこのレースですが、ここ数年間取材を続けていて感じるのが年々メーカーの本気度が増していることです。インタビュー内にもありましたが野々村さんが担当していたルマン24時間レースなどはメーカー直系のいわゆるワークスチームが戦うメーカー選手権であるのに対し、このニュルブルクリンク24時間レースはもとは地元のプライベートチームが競い合う草レースでした。

ところが約10年前にFIA GT3というカテゴリーが誕生し、世界中のレースが大きくさまがわりしてきました。ちなみに日本で一番人気のレースカテゴリー、スーパーGTのGT300クラスを走っているのも、ほとんどがこのFIA GT3車両です。

左がアウディR8の市販車、右側がR8ベースの「R8LMS」。FIA GT3車両をざっくりと説明すれば基本骨格やエンジンはベース車両のもので、レギュレーションのため駆動方式は2輪駆動となり、軽量化、ワイドボディ化されたマシン。ベース車両と近似のスタイルゆえ親近感もあり、人気が高い。またこのマシンは市販品であり、個人やプライベートチームに販売されている。価格はメーカーによって異なるがおおよそ3500万円から5000万円くらい。
左がアウディR8の市販車、右側がR8ベースの「R8LMS」。FIA GT3車両をざっくりと説明すれば基本骨格やエンジンはベース車両のもので、レギュレーションのため駆動方式は2輪駆動となり、軽量化、ワイドボディ化されたマシン。ベース車両と近似のスタイルゆえ親近感もあり、人気が高い。またこのマシンは市販品であり、個人やプライベートチームに販売されている。価格はメーカーによって異なるがおおよそ3500万円から5000万円くらい。

ニュルブルクリンク24時間レースにおいてもいまやトップカテゴリーはこのGT3マシンばかりです。建前上は顧客のための“カスタマーレーシング”なのですが、実際はメーカーのエンジニアやワークスドライバーも数多く投入されており、“セミワークス”といった体になってきています。

メーカーのホスピタリティテントも年々豪華に。特にメルセデス、BMW、アウディの御三家のものは今年からいずれも2階建ての仮設とは思えぬ豪華なものに。メルセデスは「AMG」、BMWは「M」、アウディは新たに「AUDI Sport」というブランドを表立てて、コミュニケーションをはじめている。
メーカーのホスピタリティテントも年々豪華に。特にメルセデス、BMW、アウディの御三家のものは今年からいずれも2階建ての仮設とは思えぬ豪華なものに。メルセデスは「AMG」、BMWは「M」、アウディは新たに「AUDI Sport」というブランドを表立てて、コミュニケーションをはじめている。

そして、今年の結果は、新型となったばかりのメルセデスAMG GTのワンツースリーでした。結果はもとより、初年度の新型で、この過酷な耐久レースでクルマが壊れなかったこと。それは驚異的と言えるものです。メルセデスは相当に気合を入れてクルマを作ってきたことが伺い知れます。

メルセデスAMG GTのワンツースリーの表彰台の図。
メルセデスAMG GTのワンツースリーの表彰台の図。

地元のニュルブルクリンクで、ドイツメーカーが絶対に負けるわけにはいかない、そんな気合がドイツ各社から伝わってきます。一方で、トヨタをはじめ日本からこのレースに挑戦をはじめている人たちも年々増えています。そのあたりは次号の『モーターヘッド』にてレポートする予定ですので、ぜひご覧いただければ幸いです。

スタート前のホームストレートの様子。スタンドも満席、約20万人が押し寄せる。格式ばっていない、祭りのような独特の雰囲気はこのレース特有のもの。
スタート前のホームストレートの様子。スタンドも満席、約20万人が押し寄せる。格式ばっていない、祭りのような独特の雰囲気はこのレース特有のもの。
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この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

セミナー開催 フェルディナント・ヤマグチ流「部下育成」!

 本コラムの著者、フェルディナント・ヤマグチ氏が「日経ビジネス課長塾オンデマンド」主催のセミナーに登壇します。

 今回、課長塾オンデマンドではあえて、「企業人としてのヤマグチ氏として、登壇してください」とお願いしました。なぜならヤマグチ氏は、「コラムニストとの両立」という多忙な生活を、20年もの長きに渡り成立させてきた人だからです。本セミナーでは、そんなヤマグチ氏ならではの(仕事についての)方法論に迫ります。

 とはいえ講演時間は、わずか1時間。そこで今回は、「部下育成」にテーマを絞って話していただきます。部下やチームのマネジメントにお悩みの方は、ぜひご参加ください!






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