今回インタビューに応えて下さったのは、おなじみ「ハチロクのタダさん」ことスポーツ車両統括部ZRチーフエンジニアの多田哲哉さんと、今回86GRMNの開発を担当されたスポーツ車両統括部主幹の野々村真人さんである。

「なんだそりゃ。メチャクチャだ(笑)」

久しぶりの登場となる、多田哲哉さん。
久しぶりの登場となる、多田哲哉さん。

F:どうもどうもご無沙汰しています。

多田さん(以下、多):いやあどうもご無沙汰です。相変わらず黒いですね。真っ黒じゃないですか。

F:外にいる機会が多いもので……。顔は黒いですが、腹の中はマッシロです。

:どうだか(笑)。本当に潔白な人は、自分でわざわざそう言わないしね。

F:えーとあの。まずはお二人の役割分担を教えて下さい。

:僕は86というクルマの全体を見て、野々村には、このGRMNの専属として「お前やれ」、とアサインしました。

F:野々村さんはもともと86の開発部隊にいらしたのですか。その中からGRMNご担当に抜擢された。

野々村さん(以下、野):いえ。これを担当する前はモータースポーツの部門にいました。ル・マンなどのLMP1車両の開発に携わっていたんです。トヨタがWEC(World Endurance Championship:世界耐久選手権)に参戦したのが2012年で、その時はル・マンまで行きました。

 元々はヴィッツなどベーシックなクルマのシャシー設計をやっていたのですが、いろいろ知識もついて来たので、そろそろモータースポーツに行きたいなと思い、希望を出しました。

F:希望を出しましたって……それでスルッと希望部署に行けるものなのですか。そんな思い通りには行かないでしょう。

:ウチの会社ってすごくてですね、大学を出てからサスペンションの勉強をしたいからシャシー設計を希望したらシャシー設計に、そろそろレースだなと思いそちらに希望を出したら、それじゃレース部門に行けやと。結構希望が通っちゃうんです。

 ちょうどル・マンのプロジェクトが始まるところだったので、タイミングが良かったのもありますが。そんなにやりたいならやればいいじゃん、と異動させてくれて。

F:はー。なんか凄く意外です。最近インタビューする度にトヨタのイメージがどんどん変わってくる。

:それまではどんなメージでした?

F:役所みたいでガチガチに規則に縛られて、工場では歩き出す足まで決められていて、トイレを出るときは電気を消して、みんな7:3に髪を分けていて、結婚したらトヨタホームに住んで……。

:なんだそりゃ。メチャクチャだ(笑)

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