前号では、ハイラックスの日本向け生産の一次トライアルが終了し、生産開始までの4カ月の修正期間に「ボコボコにされた」というところまでお伝えした。その続きから始めよう。なお、今回もTMTの皆様のコメントは「TMT」で統一させていただく。何卒あしからず。


TMT:その4カ月は、一次トライアルで何か不具合が起きたときに対応するための「修正期間」として取ってあったのですが、実はそこで大変な思いをすることになりまして……。

F:大変な思い。それはどのような?

TMT:ボコボコにされたのです。

F:ボコボコにされた? 誰にやられたんです? タイの人ですか?

TMT:いえ、相手は日本人です。日本人にやられました。

F:日本人にボコられた。

TMT:ええ、もう完膚なきまでに……。ハイラックスは、日本に輸出する前から多くの国に輸出をしている実績のあるクルマです。ですが日本にこちらから輸出するためには、それなりの準備をしなければいけません。

F:ああ、排ガスとか。

TMT:排ガスはヨーロッパ向けと同じ仕様ですべてクリアできます。日本向けにやらなければいけないのは、マルシー検査とフレームの打刻と塗装の品質です。先に申し上げた通り、日本のお客さんは品質に関して特別に厳しいですから。

F:マルシーって何ですか?

TMT:国の法規による車検を、出荷前にメーカーの工場で肩代わりしてやりましょう、というものです。国と約束して、決められた検査項目を我々がすべてチェックするわけです。国との約束ですから、これはキチンと責任を持った人がやらなければいけません。

F:あー! あの日産とかスバルが無資格の人にやらせていたという例のアレですね。

「言っていないことを書かないでください!」

TMT:……タイにはもともと車検という制度そのものがありませんから、日本のようなマルシー検査員などが不要でした。だから日本向けに新しい仕組みを作らなければいけなかったのです。

F:国との約束で検査をするとなると、国家資格が必要になりますか?

TMT:いえ。国家資格は不要です。社内資格ですね。

F:それじゃあの2社は、社内資格がない人に検査をやらせていた、ということですか。そりゃ国交省は怒りますよね。あんたらを信用して任せていたのに、ナメてんのか、という話で。

TMT:……そういえば我々が日本にハイラックスを輸出するに当たり、日本の国交省の方に来ていただいて認証を受けたのですが、その方が記者会見でテレビに出ておられました。ウチに来ていただいたのは、ちょうどあの事件の直前だったので。

F:へぇ! 国交省の人がここまで来たんですか。

TMT:ええ。認証を受けるために。厳しくご指導をいただきまして。

F:威張っているんでしょうね、そういう人は。民間を見下したような態度で。

TMT:いえ。威張ってなんかいません。とても紳士的な方でした。

F:ホントは威張っていたでしょう。藩から年貢米の検査に来る役人みたいに。オイコラ民間人、みたいな(笑)。

TMT:威張ってません! 威張っていませんから!! 変なふうに書かないでください!!! ともかくですね、我々は特別に「日本向け」のクルマだけを抜き出して、特に厳しく検査もして、何か不足があればすぐに修正できるようにしました。工場としては自信満々で試作車両を日本に持って行ったのです。