電子制御をoffにできない理由

F:意地でもお尻を滑らせない、過剰なほどの電子制御の介入も同じ理由ですか。街で事故った姿をみせたくない、という。

:そうですね。僕らのコンセプトは、誰がいつ、どんな状況で乗っても楽しめるスポーツカーです。ミッドシップのクルマって、限界域は高いけれども、滑りだしてからのコントロールがものすごく難しいんですよ。もの凄く高いドライビングスキルが要求されるんです。

 いったん滑り始めたら、少し腕に覚えのあるレベルの一般ドライバーでは、とても御すことが出来ません。快適に、安全にドライブして頂くためには、どうしてもあれくらいの介入が必要なんですよ。何しろミッドですから。

F:電子制御をoffに出来ないのはなぜですか。希望が多いと思うのですが。

:やっぱり誰もが安全にというところがベースなんですよ。スイッチひとつで簡単にOFFれると、冒険心から「ちょっとやってみるか」となるでしょう。でもミッドシップは滑り出しちゃったら誰もコントロールできませんよ。よほどのスキルがなければ。

 簡単にドカンと行っちゃいます。事故を起こしちゃいます。するとどうなるか。「あぁ、やっぱりああいうクルマは危ないよね」。必ずこう言われます。僕ら、それだけは避けたいんです。事故が増えれば、ゆくゆくはスポーツカー離れにつながってしまう。やっぱり事故は起きてほしくないですもん。

F:うーん。でもそこは自己責任ということで……。

:それと、基本的には安全装置がある状態というのが今のホンダの安全思想なんです。これは全社での統一事項なので、S660だけが特別扱いという訳にはいかないんです。

F:なるほど。最後に1つ。S660を採点すると、椋本さんは何点を付けられますか。

:100点満点と言いたいですね。もう今、すでにすごく楽しんでくれているお客さんもいらっしゃいますし、その方にこことここがダメだったんで80点ですなんて言えないですよね。

 このクルマに乗ると、40代50代の経験豊富なドライバーの方に、「そうそう。クルマに乗るのって、こういう感じだったよね」って思い出してもらえると思うんですよね。単純にクルマに乗るんじゃなくて、自分が若返る感覚があるんじゃないかなと思うんですよね。

 僕らはこれを「童心に戻る」と言っています。初めて自転車を買ってもらったときって、どこに行くわけでもないけど、その辺をキャーキャー喜んで走り回ったじゃないですか。S660に乗ると、あの感覚を思い出してもらえると思うんですよね。

 電制解除スイッチが付いていないことをして、「ホンダらしくない」という批判がある。

 だが椋本さんのお話を伺うと、解除できない「安全の押し付け」もまたホンダらしさと見ることが出来る。

 絶対的は速さは無いけれど、ともかく楽しい。
 最後はクルマが助けてくれるけれど、ともかくコントローラブル。
 そしてなによりカッコいい。

 S660は、「今のホンダ」と「これからのホンダ」が凝縮されたクルマではあるまいか。

 来週はいよいよ最終回。ユーザーインタビューに移ります。

 お楽しみに!

輸入車市場で盛り上がりをみせるPHV

こんにちは、ADフジノです。

ようやく大団円を迎えたS660開発者インタビューですがいかがでしたでしょうか。その一方でいま輸入車市場で一気に盛り上がりをみせているのが、プラグインハイブリッド車(PHV)です。“プラグイン”の名があるように、プラグを利用して充電可能な電気自動車とハイブリッド車とを融合したモデルです。

メリットとしては、一般的なハイブリッドカーより大容量のバッテリーを搭載しているためより長くEV走行ができること。通勤や買い物などの近距離はEVとして、長距離ドライブはハイブリッド車として走行できるというものです。

一方でデメリットは、EV同様に充電設備が必要なこと(なくてもハイブリッドカーとしては走行できますが)。バッテリー容量が大きいため、コストや重量がかさむこと。また室内や荷室容量が多少犠牲になることなどがあります。

日本でも昨年のフォルクスワーゲン「ゴルフGTE」や、BMWの「X5 xDrive40e」などドイツメーカーを皮切りに一斉にPHVが導入されています。最近、いくつかに試乗する機会がありましたのでここでご紹介します。

BMW3シリーズベースのPHV「330e」。2.0リッター直列4気筒ターボ・エンジンに、8速ATと一体化された高出力電気モーターを組み合わせ、システムトータルで最高出力185kW、最大トルクは420Nmを発揮。バッテリー容量7.7 kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーを搭載し、満充電時のEV走行可能距離はカタログ値で最長36.8 kmとなっている。このモデルの魅力はなんといっても554万円〜という戦略的価格設定
BMW3シリーズベースのPHV「330e」。2.0リッター直列4気筒ターボ・エンジンに、8速ATと一体化された高出力電気モーターを組み合わせ、システムトータルで最高出力185kW、最大トルクは420Nmを発揮。バッテリー容量7.7 kWhの高電圧リチウムイオンバッテリーを搭載し、満充電時のEV走行可能距離はカタログ値で最長36.8 kmとなっている。このモデルの魅力はなんといっても554万円〜という戦略的価格設定
メルセデスCクラスに設定されたのは「C 350 e アバンギャルド」。2.0リッター直列4気筒ターボエンジンに340Nmを発生する強力なモーターを搭載。システム合計出力は最高出力205kW、最大トルク600Nmを発揮。6.28kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、EV走行可能距離は28.6km。このモデルがユニークなのは、EV走行とハイブリッド走行の切り替えポイントや不要な加速操作を行った際に、アクセルペダルの踏み込み抵抗が増大し、ドライバーに警告してくれるというもの。車両本体価格は707万円
メルセデスCクラスに設定されたのは「C 350 e アバンギャルド」。2.0リッター直列4気筒ターボエンジンに340Nmを発生する強力なモーターを搭載。システム合計出力は最高出力205kW、最大トルク600Nmを発揮。6.28kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、EV走行可能距離は28.6km。このモデルがユニークなのは、EV走行とハイブリッド走行の切り替えポイントや不要な加速操作を行った際に、アクセルペダルの踏み込み抵抗が増大し、ドライバーに警告してくれるというもの。車両本体価格は707万円
ボルボの新型SUV、XC90に設定されたPHVモデル「T8 Twin Engine AWD」。エンジンは2リッター4気筒ターボ&スーパーチャージャーのW加給。前輪はエンジンで、後輪はモーターと駆動を棲み分け、重量のかさばるバッテリーを車体の真ん中に配置し重量配分の最適化を図りつつ3列シート7人乗りのスペースを確保している。システム出力は407ps/640Nm。リチウムイオンバッテリーの容量は9.2kWh、EV走行可能距離35.4kmとなっている。車両本体価格は1009万円
ボルボの新型SUV、XC90に設定されたPHVモデル「T8 Twin Engine AWD」。エンジンは2リッター4気筒ターボ&スーパーチャージャーのW加給。前輪はエンジンで、後輪はモーターと駆動を棲み分け、重量のかさばるバッテリーを車体の真ん中に配置し重量配分の最適化を図りつつ3列シート7人乗りのスペースを確保している。システム出力は407ps/640Nm。リチウムイオンバッテリーの容量は9.2kWh、EV走行可能距離35.4kmとなっている。車両本体価格は1009万円

実はハイブリッド同様にこのプラグインハイブリッドでも国内で先鞭をつけたのはプリウスでした。先代より設定されており、2009年には主に官公庁向けのリースがはじまり、2012年には一般販売が開始されています。しかしあまりにもベースのハイブリッドモデルが人気なため、少し割高なPHVは日陰の存在となっていました。

その年末には、三菱がSUVであるアウトランダーのPHV版アウトランダーPHEVを発売しています。12kWhというプリウスの倍以上もの大容量バッテリーを搭載し、カタログ上、満充電で60.8kmの走行が可能です。基本的にエンジンは発電用に使うことを前提に開発されており、バッテリーの容量が低下した場合には、エンジンが自動的に始動して発電を開始し、モーターとバッテリーに電力を供給します。また緊急時やアウトドアなどでの給電機能もしっかりと備えています。

欧州勢はいまCO2排出規制や米国のZEV規制などを見据え、このPHVへと一気に舵を切っています。試乗するとそれぞれに欧州車らしい良さがあるものの、日常使いするならば、平日は毎日往復20km程度の決まったルートの通勤や移動にEVとして使用、週末はハイブリッドカーとして遠方へドライブするなど、基本的にはEVと同様にルーティンなルートでの使用がメインでなければ金銭的なメリットは享受しにくいかもしれません(もちろんEV走行できる心理的な気持ちよさはあります)。

そうした中で、現時点でもっともよくできたPHVを挙げるとするならば、他車がガソリン車をベースに設計されているのに対し、EVをベース設計された三菱アウトランダーPHEVということになります。それは、このタイミングでなんとも皮肉な話ではありますが・・・。

この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

セミナー開催 フェルディナント・ヤマグチ流「部下育成」!

 本コラムの著者、フェルディナント・ヤマグチ氏が「日経ビジネス課長塾オンデマンド」主催のセミナーに登壇します。

 今回、課長塾オンデマンドではあえて、「企業人としてのヤマグチ氏として、登壇してください」とお願いしました。なぜならヤマグチ氏は、「コラムニストとの両立」という多忙な生活を、20年もの長きに渡り成立させてきた人だからです。本セミナーでは、そんなヤマグチ氏ならではの(仕事についての)方法論に迫ります。

 とはいえ講演時間は、わずか1時間。そこで今回は、「部下育成」にテーマを絞って話していただきます。部下やチームのマネジメントにお悩みの方は、ぜひご参加ください!






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