「ゴロンゴロンと横転しても大丈夫です」
F:安く作ったから弱くなっちゃった、なんてことは無いですか。ボディの剛性とかはちゃんと確保されているのですか。
椋:それはもう抜かり無くやっています。剛性は極めて高いです。やっぱり屋根のないオープンカーですからね。横転した時が怖い。頭部を守ってくれるロールバーがあるのですが、この強さもものすごいです。
あ、動画を見ますか?こんな実験は法律では求められていないのですが、僕ら、ここまでやっています。横からクルマを突き飛ばして、ゴロンゴロンと転がしちゃうんです。ほら(笑)。
こういって椋本さんはS660の横転実験のビデオを見せてくれた(動画はこちらのページからご覧になれます)。それは「衝撃映像」と言っても良いくらいに迫力のあるものだった。

F:(画像を見ながら)うわー。こりゃヤバい……うわわ。まだ転がっている。ここに見える青い棒はなんですか?
椋:下のブレースですね。剛性アップに寄与しています。横転時にちゃんと頭を守ってくれるBピラーです。絶対味わってほしくない性能ですが、僕らここにもうんとこだわってやっています。
「フルオプションで400万円超えのお客様はザラにいます」
F:凄いなぁ。ここまでやってお値段はいかほどでしたっけ?
椋:198万円から210万円ですね。
F:コミコミで300万円超になるモデルも有ると聞いたのですが。
椋:それはオプション込みの価格ですね。フルオプションで400万円超えなんてお客様はザラにいらっしゃいます。電動のテールゲートスポイラーを付けて、ホイールの色を変えて、幌を赤にして、と積み重ねていくと。
F:400万!軽自動車で400万円!
椋:思い入れの強い方が多いんですよね。
F:メーカーオプションも充実しているようですが、それ以上に多くのサードパーティー品も出ています。開発責任者として、そうした改造についてはどう思われますか。メーカーからベストバランスで出しているのですから、勝手な改造はやめて欲しいというエンジニアの方も多くいらっしゃいますが、椋本さんはどうですか。
椋:僕ら、このクルマは素うどんだと思っているんですよ。
F:へ?す、素うどん、ですか……?
椋:うん。僕らが提供しているのは素うどんです。良い出汁を使った極上の汁に、コシのある麺の最高の素うどんを出しますから、あとはお客様のお好きなうどんにして下さい、ということです。
F:なるほど。お揚げをのせきつねにしても、天カス入れてたぬきにしても。
椋:天ぷらうどんでも肉うどんでも何でもOKです。好きなものをトッピングしてもらって、お客様が自由に楽しんでいただければ良いなと思っています。あれこれ制限したくないんですよ。
いま若い人のクルマ離れが言われています。このクルマも、やっぱり買う人は40代、50代の方が中心です。でもそれはそれで良いと思っています。40代、50代の人がスポーツカーにカッコよく乗ってくれて、街でスポーツカーを見かける機会が徐々に増えていって、そうしたら若い人も、「なんかスポーツカーってアリかも……」と思うかも知れません。
ラーメン屋って、行列の出来る店がますます流行るじゃないですか。あれと一緒です。なんか人がたくさん並んでるから、俺らもちょっと並んでみようか、みたいな(笑)。
コーラに素うどんにラーメン。椋本さんの話には食べ物の例えが多く登場する。
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