「レクサスへの期待値が高かったんです」

:やったんだけれども、もっともっとやらないとプレミアムブランド、ラグジュアリーブランドとして認知されるには至らなかった。レクサスへの期待値が高かったんです。これじゃだめだと認識して。とにかく国内レクサスの車種を増やそうと。ハイブリッド専用車もレクサスならではのものがほしい。だから「CT」が入り、最高峰のスポーツカー「LFA」を仕掛けた。それがちょうど2009~2010年ぐらいで、RX、CT、LFAというのが出ていくわけです。

 こうしてある程度クルマは増えていった。でも何か足りないと。何か。例えばウチの家内のような一般人は、「メルセデスのE」よね、なんて言わないですよ。あ、あれはベンツよねと。クルマに興味の無い人は、ベンツは何でもベンツなんです。要はブランドで語られているんです。アウディもBMWも、A3だとか5シリーズだとか言わないですよね、普通は。普通の奥さんは。

F:○○さんのお宅のクルマはベンツよね、と。

:そうそう。そこでベンツの何?と聞いたって、はて何だっけな……というね(笑)。

F:ベンツの白いやつ、とか。いやだから色じゃないから(笑)。

:そうそう(笑)。そこがレクサスになると、何となく「レクサスのRXというやつだったかな」とかモデルまで落とし込まれてしまう。ブランドじゃないんです。具体的なモデルの話になってしまうんです。だからもっとブランド力をより一層高めないとダメだよねと。

F:「お宅のクルマはベンツですのよ」はあっても、「お宅のクルマはレクサスですのよ」はまだないと。「あの人、クルマは何に乗っているの?」「ああ、あの人はレクサスだよ」、と言われるようになってやっと達成、ということですか。

:そうしないとブランド認知にはならないですよね。例えば「RX」と言っても、頭にレクサスって言ってくれなければ、聞いている人は「RXというクルマなのね」となっちゃう。とにかくレクサスというブランド力を高めたい。車名の認知以上に、レクサスというブランド力を高めなくちゃいかん。そのために足りないのは何か。僕らそれをずっとやっています。

F:何をやって来たのですか、具体的に何をどのように。

:1つの要素としては、やっぱり「パッと見たところのレクサス」です。

F:一目見てレクサスと分かるデザイン。あのスピンドルグリル以降は、間違いなく一目見て分かるようになりましたよね。良し悪しは別として。

「何だコレと、もうさんざんな言われようでした」

:あれを出したときは、何だコレと、もうさんざんな言われようでした。

F:いや本当に驚きました。失礼ながら、本当に頭がおかしくなったのかと思いました(笑)。

不幸な新担当Y崎:ちょ…..フェルさん。いくらなんでもそれはマズいですよ……。

F:それじゃY崎さん良いと思ったの。最初のスピンドルがイケてると思ったの?

Y:いやそれはアレですけど……。

:そうやって言ってもらえたら、それはある意味成功しているんです。何と言うのかな。中途半端にカッコ良いとか言われるんじゃダメだよねと。意味ないよねと。もうその当時から、僕らはみんながソコソコに良いという80点なんかやめようぜと話していました。好き嫌いがハッキリ別れてしまってもいいから、レクサスをご愛顧いただいている人に強烈にアピールできるようにしようよと。

 スピンドルにしたって、僕らも最初は、「ん?」と思いました。でも考えてみれば、そのくらいアクが強いぐらい個性があった方がいいやと。だからフェルさんだって、こうして覚えていてくれているじゃないですか(笑)。そのくらい個性がないとダメなんですよ。プレミアムブランドは個性がないと埋没しちゃうから。

F:最初に出したときに、例え何これ?バカじゃないのと悪く言われたとしても、それは甘んじて受けよう、ということだったのですか。