これはママのクルマよね

F:良いことじゃないですか。同じ人が3年ごとに、うまくすれば毎年買い替えてくれるなんて、こんなありがたい話はないでしょう。

:もちろんとても嬉しいし、ありがたい話です。ただ、先程も言ったように、買い換えるたびにお客様は年を取っていかれる。そうした方のボリュームが大きくなると……。

F:そうか。RXはオッチャンのクルマというイメージがついてしまう恐れがある。

:あるいはアメリカは女性ドライバーも多いので、娘さんの世代が、「これはママのクルマよね。私が乗るようなクルマじゃないわよね……」とこうなってしまう。実際RXはアメリカで「マムズカー」と言われている時期もあった。今、4代目になって、ようやくそういうイメージも払拭されつつあるんですが。

F:なるほど。

:NXは少しサイズを小さくして、デザインもよりアグレッシブにして、レクサスに今まで来なかったような若い男性にも来ていただけるようになりました。4代目のRXは、NXのテイストを引き継いだ格好で、男性の意見も取り入れてサイズも大きくしました。すると男性の比率も上がって来て、これならママが乗っていたRXとは違うよね、と。男性比率も高まり、それから若い人も買うようになって来て、ようやく僕らが狙っているブランドの中で、いい形になってきたかな、と思っています。

F:「ブランド」という言葉が出ました。対抗するのは、当然ドイツ御三家ということになると思います。現状ではどうですか。対等に張り合えているとお考えですか。

:我々の年代がそうですし、若い方々も当然ジャーマンスリーを知っていて、レクサスが最近良くなってきたのは知ってる。知っているんだけど、やっぱり何となく、そうは言ってもレクサスってさ……という人はまだいらっしゃいます。

F:いる?

:いらっしゃいますね。明確に。

F:レクサスと言ったって、中身はトヨタじゃん、と。

:残念ですが、まだいらっしゃるんです。僕らはそれを変えていかなくちゃいけない。例えばNX。今走っているハリアーのプラットフォームと基本は一緒です。でも自動車ジャーナリストの方で、「ハリアーとNXは同じでしょ」という人は、僕が話した限りでは1人もいらっしゃらなかったです。プラットフォームは一緒だけど、全然違うね、と。やっぱりレクサスだよねと言ってくださるようになってきたんです。

F:なるほど。よく分かりました。レクサスが日本で発売されるようになって12年。最初はさんざんだったですものね。嫌な言い方をしますが、最初はトヨタで売っているクルマの顔と内装をチョコっと変えて、レクサスのエンブレムを付けて高く売っている、というイメージがどうしてもあった。

:おっしゃる通りです。でも僕ら、日本でレクサスというブランドを展開するに当たっては、当時、本当に本気でやったつもりです。だけど、それでは足りなかった、ということだなと。

F:うーん……。

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