ポルシェやランボルギーニをスルーする子供たち

河口:一応、少しは(笑)。僕もフェルさんも自転車に乗るじゃないですか。自転車に乗ると、クルマを楽しむのは限定された場所やシーンじゃないとできないということが分かるというか、余計にそれを感じませんか。

フェル:確かに、確かに。

河口:僕はクルマが好きですし、例えばスポーツカーには走る楽しさ、気持ちよさがあることはよくわかっているんですけれども、その一方でそれを享受して正当化して語るには、やっぱりそれ相応の場所や、そのためのコストや時間というものが必要になると感じています。

フェル:なるほど。

河口:公道においてはもはや速いクルマだから偉いわけでもないし、運転は、まあうまい方がいいですけれども、速さは全然価値にならないというか、スマートな運転の方がいいわけです。特に女性を乗せている場合は、速くガンガン飛ばすよりは、ゆっくりと安全にね。

フェル:これはね、ステレオタイプに語らない方がいい(笑)。飛ばすの好きな人もいますよ。これは人によります。

河口:来た(笑)。それで僕はいまホンダのS660を持っていて、主にカミさんが乗っているんですけど、都内で運転していて、例えば低速で交差点を曲がるときに楽しさを感じられるのってもうあのくらいのものだなと思うんです。あれ以上大きなクルマになると、もう法定速度内では楽しいって言いづらいし、感じない。

フェル:たしかに僕らの時代は実際に出すことはなくても300km/h出ることにバリューがあったし、パートタイムの切り替え式の4WDを買っても、買ってから一度も四駆にしたことがないような人もたくさんいた。

河口:都内で乗るぶんには燃費が悪くなるだけですからね。

フェル:そういう時代でしたよね。何か無駄なものを持っていることの喜び。それをまだ引きずって生きているという感じです、僕はね。

河口:かなり(笑)。僕ももちろん引きずっていますし、やっぱり忘れられない部分はあると思うんですけれども。でもこれからはそのまんまじゃ厳しいだろうなと思いますね、そこは。

フェル:上の息子がいま大学4年なんですけれども、中学生のころからよく、試乗用の広報車に乗って帰宅してたんで、ポルシェやコルベットとかすごい車が、それこそ週代わりで家にあった。でもうちの子もその同級生たちも、そのクルマを見て「すげえ、何これ」って誰も言わないんですよ。なんとも思っていない。逆に何か高そうだし、ヤマグチのお父さん怖そうだよね、みたいな(笑)

河口:うちもまったく一緒です。ランボルギーニを乗って帰ったときにも、まったく見むきもしなかったですね。だから、こっちから声をかけてちょっと見て、って見せたんですけど、「ああ、すげえなっ」てひとこと。

フェル:以上。

河口:以上(笑)