F:直4のエンジンはあくまでも国内だけですか。海外には一切輸出せずですか。例えば中国などでは売っていないのですか。

:売っていません。ただ、世界を回りますと、いわゆるグレーインポート、並行輸入車が日本国内からどんどんどんどん流出していますので、並行としては海外に多数の4発RXが存在します。それらは正規代理店では売ってないものですから、いろいろな業者さんが、日本から持ってきて、いわゆるハリアーの名前そのままで売っている人もいれば、RXにバッジを付け替えて、レクサス仕様にして売っている人もいるという感じです。

F:ほー!面白い。海外では正規品では有りえないトヨタ印のハリアーで乗る人もいる。

:その辺はグレーな話なので、我々も正確には把握していないのですが、やはり海外で日本車の信頼度は非常に高いですから、何かRXと名前が違うけど、これはトヨタだからきっと良いよね、と言って喜んで買っている人もいるという話です。並行輸入のハリアーにレクサスRX仕様の4発。そして正規モノ、といろんなRXが混在している国があるんです。おかしいのは、国内で新しいハリアーを売り出すと、直後にもう海外で走っているんですよ。我々は輸出をしていないのに(苦笑)。

F:面白い。実に面白い。いい話だなぁ、ねえY崎さん。

新担当Y崎:え?あ……そうですか。

:特にアジア圏で多いのですが、ハリアーももう代を重ねて何年にもなるでしょう。既にハリアーとして認知されている部分があるんですよね。

F:並行輸入業者が勝手にやっていて、トヨタとしてはあずかり知らない話なのに。

:はい。ハリアーのままで売れるみたいですね。ハリアーで売れるって、面白い現象だなぁと僕は思っています。ただ、これは我々トヨタにしてみれば、大変なビジネスチャンスを失っている事にもなりますので。

F:トヨタでは逆のパターンも有りますよね。海外でしか売っていないFJクルーザーが、並行輸入で日本国内でバンバン売れて、向こうでは3万ドルしないクルマを日本では500万近くで売ってボロ儲けしていた業者がありました。それでトヨタが何年もしてから追っかけでFJの国内販売に踏み切った、という。

:追っかけと言われてしまえば確かに追っかけなのですが……。FJでもハリアーでもそうなのですが、今はネットの時代ですから、みなさんもう知っているわけですよね。自分の乗っているハリアーは、本来RXで売っているのだと。自分の国には正規で入ってないと。並行輸入で買うことはできるけれども、自分はやっぱり正規のクルマが欲しいというお客さんもいらっしゃるわけです。例えば並行輸入車を正規ディーラーに修理で持ち込まれた際に保証できるかと。それはやはり、保証できないわけですよ。

F:できませんよね。というか、するべきではないですよね。それでは正規のお客さんが怒っちゃいますもの。

:はい。ですがそれでも自分たちのクルマをご愛顧いただいているお客さんである、というところもあるわけでして。ここはもう現地の判断になりますが。

F:なるほど。並行輸入車でもトヨタはトヨタ。レクサスはレクサス。自分たちの造ったクルマですものね。

:無償修理はかなわないかも知れませんが、現地でもそれなりには対応しています。並行輸入車でもトヨタのお客さんですから。そうやっていい関係になれば、後々、正規ディーラーでクルマを買っていただけるかも知れませんし。

F:お!トヨタ的な優等生回答(笑)。

:いや……(苦笑)。

 かように和やかな雰囲気でインタビューは進んでいきました。
 次号からはいよいよレクサスRX開発の核心に迫ります。
 お楽しみに!

 みなさま、はじめまして。
 長くこの企画を担当していたADフジノ氏の後を引き継ぎ、ADを担当させていただくことになりました高橋満と申します。おそらくフェルさんには原稿内で「マンちゃ~ん」などと呼ばれることになるかと思います。どうぞお見知りおきください。

 さて、今週よりスタートしたチーフエンジニアの加藤武明氏へのインタビューは、本企画初取材となる私にとってドキドキのスタートとなりました。そしてフェルさんの貪欲さに度肝を抜かれることに…。

 右も左もわからない私は、レクサス広報部への取材依頼で「1時間で終わると思いますが念のため1時間半ほどお時間をいただけますか?」と話しました。インタビュー当日、フェルさんは取材スタッフ、そしてレクサス広報担当のY氏が時間を気にしているのもお構いなしにいろいろな質問をぶつけていきます。結果、2時間半にわたる超ロングインタビューとなりました(「あと10分で…」となってから軽く30分は話していましたね)。

 ところで、加藤氏はレクサスのSUV以外にもさまざまな企画を担当されています。

 レクサスが前回の東京モーターショー2015で世界初公開したコンセプトカーがLF-FC。「将来のレクサスのフラッグシップカーをイメージしたコンセプトカー」とアナウンスされたこのモデルはパワートレーンに燃料電池技術を採用し、ロングノーズショートデッキスタイルのFRベースで、前輪にインホイールモーターを採用した4WDとなっています。加藤氏はLF-FCのチーフエンジニアです。

 今夏にアメリカで公開予定のリュック・ベッソン監督作品『VALERIAN AND THE CITY OF A THOUSAND PLANETS』。28世紀を舞台にしたコミック『VALERIAN』を映像化したこの作品に登場するSKY JETはレクサスと映画制作会社のEuropa Corpがクリエイティブパートナーシップを締結し、加藤氏とデザイナーが協力して生み出しました。下の写真からSKY JETのフロントにレクサスのF SPORTを彷彿させるスピンドルグリルが採用されていることがわかりますね。

 これからも加藤氏への熱いインタビューが続くと思いますので、どうぞ楽しみにしていてください。