「道なき道を走り、人々の生活と命を支える」ハイラックス。
 それでは同じトヨタで、まったく同じ立ち位置であるランクルとの棲み分けはどうなっているのか。
 前回尻切れトンボで終わってしまった部分の続きからお伝えしよう。

F:いままでお話を伺ってきて、「ライフ」を支えるということも含めてまったく同ニュアンスの言葉を、以前のランクルの取材で聞いています。ランクルとハイラックスの棲み分けはどのようになっているのですか。そこを教えてください。

トヨタ自動車 新興国小型車カンパニープレジデント・常務役員の前田昌彦さん

前田さん(以下前):まずユーザーが違います。例えばランクルにも70があって、プラドがあって、200があるじゃないですか。一般的にランクルと言うと、いまは200のことを指すんですね。これは中近東がメインマーケットになります。砂漠でお金持ちの方がゴージャスに乗られる。だから砂漠をいかに上手に走れるか、という性能がうんと重視されます。

F:そのランクル200の走りは、ハイラックスと比較するとどうなりますか。上か下か、という言い方はできますか。

:走るシーンによって異なりますが、同等以上ですね。やはりランクル200は、電子制御をはじめ、ハイラックスよりかなりきめ細かなシステムを持っているので。ブレーキひとつとっても、我々は排気の負圧を使って補助力にしているのですが、あっちはモーターを使って自ら加圧できるシステムを持っている。当然そのほうが細かいブレーキ制御ができるわけです。他にも路面に応じて制御を切り替えるマルチテレインシステムだったり、(車速を)時速1キロとか2キロで設定したら車両側が自動で制御して走ってくれるクロールコントロールシステムを持っていたり。やっぱりランクルは陸の王者なので。我々はよりライフに根ざしたクルマですから、そこまでは持っていけないよね、と。

F:それは、そこまでコストは掛けられないよね、という意味ですか。

:そうです。

F:客層は違いますか。

:ランクル200を買う人はお金持ちです(笑)。ああ、それでも新興国でハイラックスを買う人は富裕層になりますが。で、いまのは200の話。ランクルも70になるとまた世界が変わります。70はハイラックスよりもさらにベーシックな構造でできています。使い手のお客様のロジックからすると、ハイラックスよりもさらにタフという理解をされています。分かりやすい例を挙げると、炭鉱の中で使われるのはランクルの70です。炭鉱の入り口まで人を運ぶのがハイラックス。