:そう。地方へ行けばクルマはマスト・アイテムです。2台、3台はどこの家庭でも当たり前に持っています。でもそれがスポーツカーとなると…..。

F:やっぱり難しいですか、3台もあるのなら、そのうちの1台くらいスポーツカーにするという選択はありませんか?

:残念ながら有りません。税金だけでも年間に3万円ぐらい払って、奥さんに「何よコレ」「使えない」「早く何とかして!」とか言われながら、肩身の狭い思いをしないといけないですよね。

F:なるほど。だからスポーツカーであっても維持費の安い軽にする必要がある。

:そうです。軽である必要があるんです。維持費が安いし、何しろ「これは軽だからさ」と奥さんに言える。軽なら説得がし易いんです。

F:奥様方にとって、軽と登録車(普通の5ナンバー以上のクルマ)はそんなに違いますか?

:それはもう全然違います。軽なら、「まぁしょうがないかしら……」と言われる確率がウンと高まります(笑)。

ヒドイ……。けど、もう驚きません。

F:なるほど(笑)。最終選考に残った他の二人は、クルマの詳細を述べたと仰いましたが、具体的にはどのような話をしておられましたか?他の2台とも、偶然に軽のスポーツカーだったんですよね。

:覚えていません。

またまた野々村議員攻撃を繰り出す椋本さん。

F:マジですか。これも覚えていない?また野々村議員ですか(笑)

:いや……僕も偉い人の前でプレゼンなんかするのは初めてで、すごく緊張していたので……。ただ、話し終わった時には正直「勝ったな」と思いました。

F:すごい自信(笑)。ともかくこうしてコンペを勝ち抜いて、市販化への道筋がついた、と。

:いえいえ。このコンペは製品開発のコンペではないので、市販化へはつながらないんです。ただ、「君のが一番良かったね」と一等賞を決めるだけなんです。

F:えぇ!そうだったんですか。知らなかった。勝っても「良かったね」だけですか。金一封とかは出ないんですか。

:金一封は出ました。あと面白いのは、副賞じゃないですが「一等賞のクルマは、デザインモックアップを作っていいよ」となっていたんです。

F:デザインモックアップ。あの等身大の自動車模型みたいなやつですね。

:はい。ケミカルウッドで出来た実車大のやつです。見た目はもう丸っきり実車です。当時、僕が所属していたのは、埼玉の和光市にある四輪R&Dセンターの、まさにモックアップを作るモデラーのいる部署なんです。だからもう部署自体がワッと盛り上がっちゃって。

F:俺達のクルマを作るぞと。それは何という部署なのですか。

:いまは何という部署なんだろう。名前がコロコロ変わるんで、よく覚えていません。

F:ヒドイ……。けど、もう驚きません(笑)。