最後に残った3台はすべて軽スポーツカー

F:ひどすぎますよ。自分のクルマ以外には人にも会社にも全く興味が無いんだ。

:いやいや、会社は大好きですよ。大好きなんだけど人数とかは分からないです。それで所員投票で選ばれたクルマなんですが、これが何と3台とも軽のスポーツカーだったんです。細かくは言えないのですが、見事に軽のスポーツカーばかりが選ばれた。

F:なんと!

:だいたい一緒なのが3つ。最後は役員投票です。提案した3人が呼ばれて、役員がパーッと並んでいるところで一人ずつ話をする訳です。

F:これは緊張しますね。そこではどのようなプレゼンをされたのですか?

:これはまあ何と言ったらいいんですかね。ほかの人は私のクルマはこうなんです、こうなんです、以上!だったんです。

F:他の人は具体的なクルマの話をした。

:はい。僕は何でこのクルマを造るのかという“想い”の部分から話をしたんです。僕、岡山で生まれて、小さいころからクルマが好きで、ミニ四駆で育って。

F:はああ、ミニ四駆ですか。

:はい。子供の頃はずっと友達とミニ四駆で遊んでいました。でも学年が上がるに連れて、みんな離れていっちゃうんですよ。ゲームとかサッカーとかに行っちゃって。

 なにか様子が変だなーと思っていて、中学になったらもうクルマの好きな奴なんて周りには一人もいない。これはショックでした。工業高校に行けばさすがにクルマ好きがいるだろうと思って入学してみても、一人もいないんです。

F:工業高校にクルマ好きがいない?

:シャコタンのセルシオとか好きな人はいるんですけど(笑)。

F:カッコつけたいとか周囲を威嚇したいとかしたい奴はいるけれども……。

:でも純粋にスポーツカーが好きな人がとかいないんですよ。工業高校でも。これが世に言うクルマ離れか、みたいな。

F:うーむ。

中古のS2000を買って帰省したら友達にドン引きされて…

:本当にみんなクルマに興味が無いんです。僕、入社してから一所懸命貯金をして中古でS2000を買ったんですよ。それで地元の友達に自慢してやろうと思って乗って帰ったら思い切りドン引きされて。

友人からの称賛を期待して買ったS2000だったが……
友人からの称賛を期待して買ったS2000だったが……

F:何コレ?と。

:そう、何コレと。7人乗れないだろうと。クルマ買うなら普通ミニバンだろうと。

F:お前の会社にはオデッセイやステップワゴンがあるだろうと。

:そうそう(苦笑)。いや冗談ではなく本当にそう言われてしまって。何人かは、わぁすごいと言ってくれる人もいましたが、ほとんどの友達は、はぁ?何コレ?狭いじゃん、俺らが乗れないじゃん、乗り心地悪いじゃん。みたいな。

F:女の子は乗せなかったんですか。女の子はスポーツカー喜ぶでしょう。

:ああ、女の子はもっとダメ。ぜんぜん喜びません。ゴツゴツして嫌だと。

F:まあS2000は特別に固いし。女性には厳しいのかな。

:男もダメですよ。固い、乗り降りしにくい。狭い。お前のクルマには二度と乗りたくねぇと言われました。

F:ガタガタ文句言う奴は絶交だ!もう友達じゃないと言えば……。

:そんなこと言ったら友達が一人もいなくなっちゃいます(苦笑)。こんな悲しいことがあって、それが今回のプレゼンにも繋がるんです。当時200万円以下で買えるスポーツカーはロードスターとコペンだけ。

 フェアレディZもあったけれど、高すぎて普通の人はとてもじゃないけど手が出せない。僕が軽のスポーツカーを提案したのは、幅広い人にもっとクルマの楽しさを知ってもらって、「スポーツカーってカッコいいな」と思ってもらうためにこのクルマを造るんです、という話をしたんです。

F:役員の人達も若い人のクルマ離れ、スポーツカー離れには危機感を持っているでしょうからね。

:はい。でもこれは若い人だけの話じゃないんです。昔からクルマが凄く好きで、今は家庭を持たれて、40代、50代ぐらいの人が今もスポーツカーに乗っているかというと、やはり乗ってはいないですよね。大多数の人はファミリーカーですよ。何でかというと、やっぱり手軽に買えるスポーツカーがないからです。

 いい感じに盛り上がって参りました。

 他のことにはまーったく興味のない椋本さん。選考委員が誰であるかも、勤務先の社員数も知りませんが、市場のマインドはよく知っています。

 役員陣の前で彼はどのような話をしたのか。飄々とした椋本さんの話は次号へ続きます。お楽しみに!!

いよいよ来週です!
マツダ本発刊記念トークイベント

テスラが、量産車市場を狙った新型EV「モデル3」を発表し、発表から3日で27万台以上の予約が殺到しただとか、フェルさんの愛車G君の特別仕様車「G550 4×4 スクエアード」の期間限定販売予約が始まっただとか、自動車業界も様々な話題ににぎやかです。

で、「予約」といえば、皆さん、お忘れになっていませんか?

そう。現在、絶賛発売中の『仕事がうまくいく7つの鉄則 マツダのクルマはなぜ売れる?』の出版記念イベントの予約です。

著者のフェルさんが、トライアスロン仲間でモータージャーナリストの河口まなぶさんと「大人の愉しみ」について語り合います。

■場所:東京・下北沢の人気書店「B&B」
■日時:4月18日(月)20時より
■テーマ:フェルディナント・ヤマグチ×河口まなぶ
「クルマとトライアスロン、走りながら考える大人の愉しみ」

テレビ通販ではありませんが、「残席わずか」です。で、書籍のお値段はそのままで、フェルさんのサインまでつけちゃいます。

お申し込みはこちらから。

(編集担当:Y田)

この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。

セミナー開催 フェルディナント・ヤマグチ流「部下育成」!

 本コラムの著者、フェルディナント・ヤマグチ氏が「日経ビジネス課長塾オンデマンド」主催のセミナーに登壇します。

 今回、課長塾オンデマンドではあえて、「企業人としてのヤマグチ氏として、登壇してください」とお願いしました。なぜならヤマグチ氏は、「コラムニストとの両立」という多忙な生活を、20年もの長きに渡り成立させてきた人だからです。本セミナーでは、そんなヤマグチ氏ならではの(仕事についての)方法論に迫ります。

 とはいえ講演時間は、わずか1時間。そこで今回は、「部下育成」にテーマを絞って話していただきます。部下やチームのマネジメントにお悩みの方は、ぜひご参加ください!






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