F:新興国に於けるマーケットの伸びが予想外に大きかったお陰で、先代のハイラックスも予想を大幅に上回る売れゆきになった、と正直すぎるお話を伺いました(笑)。その勢いを日本にも持ってこようとは思いませんでしたか? 先代のハイラックスは、なぜ日本で売らなかったのでしょう。

:新興国の勢いをこっちにも持ってこよう、そういう考えはなかったですね。ハイラックスのようなピックアップは、普通のクルマに比べると、特別に好きな人以外は単に「不便なクルマ」と解釈されてしまうので。ミニバンがあれだけ伸びている理由を考えれば分かります。あれはやっぱり、「使って便利」という部分が絶対にあるので売れるんです。

F:そうですね。好き嫌いは別にして、ミニバンは確かに便利で使い勝手がとても良い。

トヨタ自動車 新興国小型車カンパニープレジデントで常務役員の前田昌彦さん

:でしょう。そして「ノアヴォク(ノア・ヴォクシー)に乗るよりもアルヴェル(アルファード・ヴェルファイア)に乗った方がやっぱり大きくて便利だよね、運転してもラクだよね」と、特に男性のドライバーだったら思うかもしれません。こうした風潮の中、ミニバンのマーケットはバーっと伸びていったんです。フェルさんが今回ハイラックスで志賀高原に行かれたとき、高速料金が微妙に高かったでしょう。1ナンバーなので。

F:はい。アレ……なんかいつもと金額が違うな、と。

:しかもあれ、休日割引がないんです。高速料金も含めて冷静に考えると、実用的な観点から「買う理由」を見いだしにくいのが1ナンバーの車両です。確かに車検のときに税金が安いというメリットはありますが、ちょこちょこ払う高速料金は、やはりボディブローのようにジワジワと効いてくる。それを気にする人が多いのも事実なんです。

F:なるほど。高速が微妙に高いことがジワジワ効いてくる。高速に乗るたびに「高いなぁ」と思うのはイヤですものね。

:それともうひとつ。先代のハイラックスが出たころって、日本でディーゼルの規制がうんと厳しくなったじゃないですか。

F:石原閣下のパフォーマンスで……。

マイトのY:よしなさいよ……。

F:余人をもって代え難い、ってか(笑)。

マイトのY:だから、よしなさいっての!

ユーロゼロ、ってなんですか?

:我々にもこだわりがあって、どうせハイラックスを日本で出すなら、やっぱりディーゼルで出したかったので。

F:ガソリンで出すほうが簡単なんですか?

:そりゃガソリンの方がずっと簡単です。簡単です、と言ってしまうとちょっとアレなんですが、排気ガスの規制を通すという意味では、ガソリンならすでに世の中に存在している排気システムを使用して日本の規制を通すことができるので、やはり簡単ということになる。だから三菱さんはトライトンでガソリンエンジンという選択肢を取られたんだと思いますよ。

F:なるほど、それで逆輸入のトライトンはガソリン仕様しかなかったんだ。実際に新興国の排ガス規制はどのような感じなのですか。日本と比べると、もうユルユルのユルなんですか。

:それは国によりますね。国によって規制が全てバラバラなので。規制がほぼゼロなんて国もあるくらいです。我々はふざけて「ユーロゼロ」なんて呼んでいますけど(笑)。それからユーロ2だったり、2から3を飛ばしていきなり4だと言ったり。本当にバラバラです。

F:ユーロゼロ(笑)。そんな排ガス規制がほとんどなし、垂れ流し放題、なんて国が今でもあるのですか。

:あります。今でもありますよ。アフリカの方とかね。そう言えばアフリカの方に出しているディーゼルなんか、いまだにメカポンプを使ったエンジンを出さなきゃいけないんです。

F:へえ。いまどきメカポンプですか。あ、もしかして故障対策。