期せずして5回目に突入したMIRAI田中さんのインタビュー。

 ここまで長く続いたのは、ひとえに田中さんのお話がオモロイからだ。上がってきたテープ起こしの原稿を何度読み返しても、本当に捨てるところが見当たらない。夜中にPCに向かい、一人ニタニタしている姿はかなり異様なものだと思う。

 このままオコシ原稿をフィルタリング無しでベタ貼りしてしまえばどんなにラクだろう、とも思うのだが、それでは私の役目がなくなってしまう。(いろいろとヤバいことも仰っているので)田中さんのお立場も悪くなる。広報有田くんのクビが飛ぶかもしれない。関係諸氏が平和に暮らしていくには、私が書くしか道はないのである。

タンクが爆発することは絶対にありません

F:燃料電池自動車(FCV)は水素を燃料としています。水素は火が着けば簡単に燃える危険物です。それが最大700気圧もの高圧でクルマの下に収まっている。素人考えだと、これはずいぶん怖い話です。例えばMIRAIが崖から転がり落ちたり、時速100キロで壁に激突したりしても爆発はしないのですか。

田中(以下、田):ああもう全く心配いりません。どうぞ安心して突っ込んで……とは言えませんけれど(笑)。

 タンクが爆発することは絶対にありません。ちょうどここに衝突実験の映像があるのですが(PCを取り出して)、これを見てください。80キロの後突実験です。

PCを使った田中さんの説明に思わず身を乗り出す。

F:後突……つまり80キロでオカマを掘られる。

:そう。80キロのオカマです。このようにクルマにはかなりのダメージがありますが、タンクにまでは至らない。衝突後にタンクを取り出しても、傷一つ付いていないでしょう。

F:なるほど。でも衝撃には強くても、火が着いたらどうなるのでしょう。車両火災になったときに爆発したりはしませんか。

:水素タンクには溶栓弁というバルブが付いています。車両火災になったときは、これが熱で溶けて水素を開放します。熱でバルブが開いて、水素を強制的に外へ出す仕組みになっています。

F:バルブが開いて水素を強制排出する。しかし燃えているクルマの中に水素を吹き出したら、それこそヤバくないですか。水素に火が着くのって、どうしてもあのヒンデンブルク号の映像を思い出してしまって……。


1937年に米国で、ドイツの飛行船・ヒンデンブルク号が爆発・炎上事故を起こした。英国の豪華客船タイタニック号沈没などと並び、世界に衝撃を与えた輸送用機器関連の事故。当初は浮揚用水素ガスへの引火が原因とされた。

:MIRAIの溶融弁は、逆止弁式のもので、火が中に入り込むことはありません。クルマの右斜め後方に向かって水素が放出されるのです。そこに火が着いてしまえば、例えて言えばガスバーナーのような状態にはなりますが、映画「ダイハード」みたいにドカンと爆発することはありません。

F:ヒンデンブルクとかダイハードみたいにはならない。

:絶対にならない。とにかく爆発しないようにしています。

F:満充填の状態でそのバルブが開放されたら、全量放出までにはどれくらいの時間がかかりますか。

:およそ2分ですべて放出されます。その他にも水素センサーがついていて、万一水素がどこかから漏れ出したら、バルブがシャットダウンするようになっています。基本的にはタンクの中に閉じ込めた状態になります。

F:なるほど。普通の事故でパイプが折れたりして水素が漏れ出したら、すぐさまシャットダウンして、タンク内に閉じ込める。万一車両火災になりいよいよヤバいという状態になれば、今度はバルブが開いて水素を大気開放する。その際はクルマの右後方に向かってシューッと出す。

:その通りです。ですから爆発は絶対にあり得ない。