読者諸兄は家事のお手伝いをされていますか? 私はTizianaさんにバレたら叱られるレベルで家のことをやりません。
F:それじゃ話を戻しましょう。なぜFRから遠ざかっていたか。一つの理由は世の中の流れがFFに向いていたから。
海:そしてもう一つがスケールメリットです。(アルファの親会社である)フィアットのプラットフォームがFFということであれば、これをキャリーオーバーすれば開発コストを抑えることができる。あえてそこに台数の見込めないFRプラットフォームを投資して造るという状況ではなかった、ということです。
F:アルファの長期FF化は、駆動レイアウトの世界的な潮流と、グループ企業であるフィアットとの車台共有、つまりはコストダウンに理由があった、と。
黒:それが大きく変わるのが、2014年のセルジオ・マルキオンネのプレゼンテーションです。
F:セルジオって誰?
黒:セルジオはFCAグループの総帥です。彼が投資家向けのプレゼンテーションで、「アルファ ロメオをもう一度プレミアムブランドとしてしっかり復活させる」と宣言したのです。
「アルファとは何か?」に7000億円をかける
F:へえ、投資家相手にそんな宣言を。
黒:はい、でも威勢のいい宣言だけではどうしようもないので、実際にモノとしてはどういうものを造るんだと。そこには当然社内で深い議論があったわけです。どんな議論か。それはつまり、「アルファ ロメオって何?」ということです。そもそもアルファ ロメオって何だろう、と。運転する歓び、情熱、人の目を釘付けにするスタイリング。やはりアルファ ロメオがアルファ ロメオであるためには、FRであるべきだろうと。こういう結論に至りました。それで新しいFRのプラットフォームを、ゼロベースで開発することになったのです。
F:アルファ ロメオがアルファ ロメオであるためには、FRにする必要があったと。なるほど。新しいプラットフォームの開発には、大変な投資が必要だと聞いています。具体的はどれくらいかかったのですか?
黒:このジュリアを含む8つのモデルを出すために、50億ユーロをR&Dにかけています。
F:(スマホを見て)2014年の平均レートがざっくり140円だから……7000億円か。
7000億円は巨額だが、自動車メーカーとしては驚くほどの金額ではない。諸兄もご存じの通り、トヨタ自動車の研究開発費は「1年」で1兆円をオーバーしたりする(2017年3月期の有価証券報告書では、連結で1兆375億2800万円)。ただし、この年のトヨタの販売台数は897万台である。この数字をよく覚えておいていただきたい。
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