こんにちは。AD高橋です。

 先週まで9回にわたりお届けした「藤原大明神新春降臨祭」。フェルさん同様、私もみなさんのコメントを楽しく読んでおりました。コメントに目を通していると、第8回で藤原さんが語った「マツダ地獄」に関するものがいくつもありました。いろいろな意見があったので、この場をお借りしてあらためて「マツダ地獄」、そして中古車市場について考えてみたいと思います。

 まず、「マツダ地獄」とはどのようなものなのか、おさらいしておきましょう。

 みなさん、クルマを乗り換えるときは今乗っているクルマを下取りに出したり買い取り専門店に売却して、次のクルマの購入資金の足しにしますよね。このときの下取り額(今回は買い取りも含め「下取り額」と表現させてもらいます)は一台一台異なります。

 「マツダ車は下取り額が驚くほど安く、次のクルマの購入資金の足しにならない。でもマツダディーラーなら『次もマツダ車に乗ってくれるなら』と下取り額に色をつけてくれる」。つまり一度マツダ車に乗ると、下取り額が災いして無限にマツダ車に乗り続けることになる様を蟻地獄になぞって「マツダ地獄」と呼ぶようになったのです。

 ここでポイントとなるのは「マツダ車は下取り額が驚くほど安く」という部分。RX-7やロードスターなど一部のスポーツカーを除き、マツダ車はモデルなど関係なく「マツダの中古車は売りづらい」という理由で下取り額が安かったのです。

1990年代、2000年代は「マツダ地獄」と呼ばれる状態が色濃かった時代です。写真はカペラとトリビュート

 その原因を藤原さんは「ブランド力の低さ」と「新車を大幅な値引きで強引に販売した結果」だと説明しました。

 当時のマツダは、ブランド力の低さゆえに新車がひと声数十万円の大幅値引きをされていたので、ナンバーを付けただけでほぼ走っていない中古車でも新車の値引き後の価格以下にしないと売れない。必然的にほかの中古車もそれにつられて価格が下がる。だから、下取り額を下げざるを得なくなる。

 この悪循環が行き着く先は、モデルの良し悪しに関係なくマツダという名前がついているだけで「中古車として売りづらい」と判断されて下取り額が安くなり、そしてそれが、ますますブランドを毀損するという、まさに地獄絵図でした。

 前置きが長くなりました。本題に入りましょう。

 果たして「マツダ地獄」は現在も続いているのか。藤原さんにはフェルさんの無茶に付き合ってもらったとはいえ、我々は事実から目を背けてまでマツダに肩入れするつもりはありません。客観的なデータを使って見ていきましょう。

残クレと下取りには決定的な差異があります

 正確に分析するのであれば中古車査定士が参考にする「オートガイド自動車価格月報」(通称:レッドブック)などを見るのがベストですが、皆さんが検証しやすいように、自動車メーカーが公開している残価設定クレジット(以下残クレ)の設定残価をもとに見ていきます。

 なお、以下の残価は各社の残クレの見積もりページより抽出しています。最初に申し上げたとおり、中古車の最大の特徴は、一台一台条件が違い、値段も異なること。みなさんの中に同じモデルに乗っている人がいるとしても、購入時のオプションの有無や3年間の乗り方で実際の下取り額は変わってくる可能性があります。さらに、モデル末期のクルマは数年後の残価が低めに設定される傾向もあります。

 また、各社の残クレ見積もりは、素の状態か、オプション込みかなど、新車価格の掲示の仕方とそれによる見積額に多少のばらつきがあります。その旨、予めご了承ください(下の表は税抜きの車両本体価格を記しています)。

 ご覧のようにハリアーとC-HRの3年後の残価率が突出していますが、「他社と比べてマツダだけ低い」という感じではありませんでした。カテゴリーによっては他社より残価率が高いものもありますね。少なくとも「マツダ車」というだけで下取り額が低かったころとは明らかに状況が変わっています。

ハリアーは大型SUVでは突出した人気車種です。「新車は高くて買えないけど、中古車ならば」と考える人が多く、販売店にとっては「高く買い取っても、儲けを乗せて売れる」ので、残価率もかなり高めに設定されています。同じ傾向が、ミニバンのアルファードにもあります。

 「でもこれってディーラー(メーカー)が出しているものでしょう。『マツダ地獄』のころと変わらないじゃん……」

 こう思った人もいるでしょう。上の表にある数値が「マツダ地獄」の時期と決定的に違うのは、同じメーカーのクルマに乗り換えることが条件になっていない点です。