:我々のS-AWCは、4WD、AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)、それからABS、ASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)を統合制御しています。他社でもやっていますが、そのやり方が違う。

 ふつうの統合制御は、例えば発進のときのトラクションを上げる制御、カーブをうまく曲がるための制御、それから真っすぐ走るときに安定性を高める制御というのを、それぞれバラバラに造ってバラバラにチューニングして、それらをセンサーで検出して、入れたり切ったりスイッチングをする。そう制御してやるのが一般的なんですよ。開発効率もこっちの方がずっといい。

F:なるほど。一般的には、要素要素をバラバラに開発して、走行時にさまざまなセンサーで走行条件を感知して、それをフィードバックしてやると。

:そうです。だけど実路面、実走行場面というのは千差万別。ドライバーの運転の仕方もいろいろ変わります。このバラバラ開発をやると、どうしても合わない場面とか、合わない人というのが出てしまうんです。それじゃ我々はどうしているか。この3つの制御を、常にミックスして統合的にチューニングをしているんです。1本の筋の通ったロジックで動かしているんです。それによって、いろいろなデバイスをうまく使い分ける、という考え方で制御しています。

F:そもそも「制御」に対する考え方が他社とは違う、と。

:その通りです。ですからどんなお客さんが、どんな走り方をしても、安心、快適に走れるということです。その実現を我々は目指して開発しています。

F:開発に関して、どのようなことでご苦労なさいましたか?

:例えば「発進」という動作一つ取っても、この点を一番良くしようとチューニングすると、その結果が例えば別の制御のところに影響する。別のところをもう1回見直す。そこで見直すと、また別のところに影響する……こんな感じでぐるぐる回りになって、開発工数がすごくかかってしまうんですね。

F:なるほど。あちらを立てればこちらが立たずの堂々巡りに入ってしまう。だから開発工数も嵩んでしまう。

:はい。でもやっぱりそれをやらないと、「どんな人が乗っても、どこをどう走っても違和感なく走れる」というような制御は造れないな、というのが我々の考え方です。ここが我々の特徴であり、ちょっと大変ですけれども、こだわりでもあるわけです。

完成度には唸るしかない

 モノの開発には時間がかかる。時間がかかればコストも嵩む。
 自動車だけでなく、全ての工業製品に言えることだ。

 そこで「まあこのあたりでいいか……」と切り上げてしまうのか、工数上等でトコトン突き詰めるのかで、できあがった製品には大きな差が出てくる。

 エクリプスクロスの制御は間違いなく良い。速く、安全に、しかも快適に走ることができる。
 ここまで完成度の高いAWDはなかなかない(もちろん皆無ではない。他にも良いAWDはたくさんある。特に高いクルマには)。年に10回以上もスキーに出かける私が言うのである。間違いない。

 澤瀬さんには他にもたくさんお話しを伺っているのだが。残念ながらここで紙幅が尽きた。紙じゃないから「紙幅」というのもヘンなのだが、後にはマンちゃんの力作が控えている。
 お後がよろしいようで、というヤツだ。それではみなさまごきげんよう。

 (今回もコメント欄が荒れるんだろうなぁ……ワクワク)