「『地を這う』とは、こういうことか」

 お次は宇宙戦艦ウラカンである。

 この特異なデザイン。なんですかこれは。ドアこそ素人さん向けに横に開くようになったが、それでもこのクルマから発せられるオーラは尋常なものではない。何というか、普通の人が乗るクルマでは無い。

 そもそもランボは常人が乗るクルマでは無いのだ。私の知り合いでも、ランボルギーニを所有する人は、某IT系(と称する出会い系)企業の経営者と、都下にビルを5本も所有し、そこにある意味は全く無いのに無駄に西麻布に事務所を構える道楽息子と、ヤマグチ家の菩提寺であるお寺の住職さんの3名だけである(彼は寺から5キロも離れた場所に車庫を借り、檀家衆にはランボ所有をひた隠しにしている)。

 ウラカンLP580-2の低く広く短いボディは獲物に襲いかかる野獣のようである。太い太いサイドシルをよっこらせと跨いでシートに座る。低い。バカみたいに低い。

画面下に見えるのが、スタートボタンの赤いガードバー。カッコいいが、面倒である。
画面下に見えるのが、スタートボタンの赤いガードバー。カッコいいが、面倒である。

 よく「地を這う」なる表現を目にするが、こういうことだったのか。路上を走るリュージュ。エンジンを始動するスタートボタンは、赤いガードバーに覆われている。エンジンをスタートさせるには、いちいちこれを跳ね上げてからボタンを押さねばならないのだ。面倒じゃないか。早く出かけたいのだ私は。このガード、走行中の誤作動を防ぐためとのことだが、別に誰も間違えやしませんから。

 エンジンを回す。フォワン!と景気のいい音が辺りにこだまする。広い大磯ロングビーチのパーキングでも、他社のみなさまが振り返るほどの咆哮だ。これ、家に乗って帰ったら近所迷惑だろうなぁ。右隣の婆様は耳が遠いから良いが、お向かいのゲージツ家のお宅からは文句が出るかもしれない。

 パドルを操作して走り出す。意外や意外。これが結構ソフトな乗り心地なのだ。公道に出るためウインカーを……と、あれ?“有るべき場所”からウインカーの棒が生えていない。改めてハンドル周りを眺めてみると、シフト用のパドル以外は何も生えていない。全てはステアリングホイール内のボタンで操作するようになっているのだ。

写真ではわかりにくいが、ウインカーの操作はステアリングにある左のボタンで行う。ちなみにワイパーは右のボタン。
写真ではわかりにくいが、ウインカーの操作はステアリングにある左のボタンで行う。ちなみにワイパーは右のボタン。

 F1っぽくてカッコイイのだが不便だ。普通にしてほしい。いや、この普通で無いところ自体がランボなのだ。交差点を曲がる度に“特別な俺様”感に浸れる心憎い演出。さすがは3000万円近いスーパーカーである。走りもお値段も操作性もスーパーなのである。

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