「毎年まとめてガイシャに乗せてくれる親切な団体」としてその名も高いJAIA主催の輸入車試乗会が今年も開催されました。

 JAIA様におかれましては、50周年記念事業として昨年、ボルボ以外の全てのインポーターの社長インタビューをCG誌の加藤社長とともに片端から取らせて頂くという大役を仰せ付かりまして、ようやく試乗のための慈善団体では無いということを知った次第でございます。

 本来は輸入車市場の健全な発展のために、諸統計の作成、共同展示事業、技術情報の提供等の事業を粛々と行っておられ、近年では環境・安全問題を中心に、我が国の自動車市場に関わる諸制度と海外自動車産業諸国との国際的調和を目指して事業活動に取り組み、我が国のモータリゼーションの健全な発展と経済の国際化に寄与するよう努めておられるそうです。コピペですが。

遊園地のコーヒーカップのように回転する

 今回の試乗で一番の衝撃を受けたのが、この3代目スマート・フォーツーだ。

 まずは外観をじっくりご覧頂きたい。チョロQをそのままクルマにしてしまったようなコミカルなデザイン。全長2755mm、全幅1665mmと数字で表してもボディサイズは超コンパクト。タイヤを思い切り前後に押しやっているから、それでもホイールベースは1875mmを確保している。当然オーバーハングは前後共に極端に切り詰められている。

チョロQをそのままクルマにしたようなスマート・フォーツー。(撮影:大槻純一)
チョロQをそのままクルマにしたようなスマート・フォーツー。(撮影:大槻純一)

 乗ってまず驚かされるのは室内空間の広さだ。「しかし小さいクルマだなぁ」と一人ごちながら乗り込むと、次に出てくる言葉は「へぇ?結構広いじゃん」である。

 内装は簡素かつポップである。ダッシュボードはプラスチックのむき出しではなく、粗織りのファブリックに覆われている。車内で食べ物を不用意に食い散らかすと繊維の隙間に食べカスが入り込んでカビや細菌の巣窟になりそうだ。車内ではポロポロ崩れるような食べ物は避けたほうがいい。

粗織りのファブリックに覆われたダッシュボード。隙間にホコリが入り込みそうだ。掃除機によるマメな掃除が必要だろう。
粗織りのファブリックに覆われたダッシュボード。隙間にホコリが入り込みそうだ。掃除機によるマメな掃除が必要だろう。
思い切りステアリング切って、タイヤはこれくらいの角度。それほど極端に切れているわけでは無い。(撮影:大槻純一)
思い切りステアリング切って、タイヤはこれくらいの角度。それほど極端に切れているわけでは無い。(撮影:大槻純一)

 このクルマの白眉は最小回転半径の小ささだ。実に3.3メートル。試しにパーキングで、面舵いっぱいでその場回転を試みてみた。

 クルクルクルクルとまるで遊園地のコーヒーカップのように回転する。自分の尻が回転軸になって回るような印象がある。すごい。これはかつてない感覚だ。5回転もすると目が回ってきた。これならどんなに狭い場所に住んでいても大丈夫だろう。

 しかし考えて見れば、スズキの軽トラだって最小回転半径はスマートと30cm差の3.6メートルだ。スマートの全長は2755mmで最小回転半径が3.3メートル。対して例えばスズキの軽トラ「キャリィ」の全長は3395mmである。スマートより64cmも全長が長いのに、最小回転半径の差は30cmである。意外な所で軽トラの秘めたる実力を垣間見てしまった。軽トラの試乗なんてのも楽しそうだ。でも試乗車......無いですよね......。

 高速を走ってみよう。前のモデルと比べれば大分落ち着いた印象だ。だが相変わらず尻は跳ねる。高速道路を高速で走り続けるクルマではない。あくまでの街中の下駄代わり。いわゆるひとつのシティーコミューターだ。

大分落ち着いた印象だ。だが相変わらず尻は跳ねる。(撮影:大槻純一)
大分落ち着いた印象だ。だが相変わらず尻は跳ねる。(撮影:大槻純一)

デュアルクラッチ採用で滑らかに気持ちよく加速

 驚いたのは変速機の変化だ。前のモデルでは変速の度にカクカクする「下手っぴぃが運転するMT車」のようなシフトショックがあったのだが、今回からデュアルクラッチが採用され、それは見事に打ち消されている。滑らかに気持ちよく加速している。こんな小さなクルマでもCVT(無段階変速機)ではなくデュアルクラッチを使うのだ。この辺りの設計思想はぜひ開発担当者にインタビューをしてみたい。

 スマート・フォーツーはポルシェと同じRRレイアウトを採用している。だから前を開けても補機類しか見当たらずガランとしている。

フロントフードやフェンダーは軽量な樹脂製だ。簡単に取り外すことができ、色を変更して遊ぶこともできる。樹脂製なのでメチャ軽い。(撮影:大槻純一)
フロントフードやフェンダーは軽量な樹脂製だ。簡単に取り外すことができ、色を変更して遊ぶこともできる。樹脂製なのでメチャ軽い。(撮影:大槻純一)
簡単に取り外すことが….と書いたが、これは簡単過ぎはしないか。フロントグリルに埋め込まれた取っ手を引っ張れば、簡単に外れてしまうのだ。盗まれてしまわないかと心配になる。(撮影:大槻純一)
簡単に取り外すことが….と書いたが、これは簡単過ぎはしないか。フロントグリルに埋め込まれた取っ手を引っ張れば、簡単に外れてしまうのだ。盗まれてしまわないかと心配になる。(撮影:大槻純一)

 冒頭に「室内は意外と広い」と書いたが、荷室も同様に意外と広い。

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