こんにちは。AD高橋です。
藤原さんへのインタビューが決まったとき、フェルさんとの対談の本筋から外れる話になったとしてもぜひ聞いてみたいことがありました。
それは今回出てきた「マツダ地獄」についてです。
説明しよう、マツダ地獄とは
本編でもフェルさんが話していますし、クルマ好きの方々ならこの言葉をご存じだと思いますが、初耳という方のためにもう少し説明しておきますと……。
かつてマツダ車は他メーカーに比べて中古車の人気が低く、しかも新車を大幅値引きしていたため、買取(下取り)価格が驚くほど安かったのです。そのため無理して高い値を付けてくれるマツダディーラーに売るしかないという人が多数いました。これは次のクルマもマツダ車を選ばざるを得ないことを意味します。つまり一度マツダ車に乗るとアリ地獄のようにマツダ車から抜け出せなくなることから、いつしか「マツダ地獄」という言葉が生まれたのです。
ところが、近年は「マツダ地獄」という言葉が死語になりつつあります。「マツダ地獄」を断ち切ったのはSKYACTIV技術フル搭載で魂動デザインを取り入れた新型車、CX-5でした。中でもディーゼルエンジン搭載モデルは、初回車検を迎えて中古車の流通量が増える2015年時点でも、中古車価格が軽く200万円を超えていたのを覚えています。

CX-5は2017年にフルモデルチェンジを行ったため、初代の初期モデルである2012年式はさすがに値落ちが進んでいるものの、それでもXDの4WDは走行距離が5万km未満のものだと車両本体価格で150万~220万円。なかなかのお値段です。
その後登場したアクセラやアクセラスポーツ、CX-3なども、中古車相場は比較的高値で推移しています。相場が高値ということは前オーナーの下取り額が高値だったと推測できますし、今中古車を買っても数年後に高値で売却できる可能性があります(相場はいつどんなふうに動くかわからないので、あくまで「期待」ですが)。

「マツダ地獄」から脱却できた理由のひとつは健全な販売方法。そして何より、SKYACTIVや魂動による商品力のアップがあることは疑いようのない事実でしょう。
商品力が高まったから値引きがなくても新車が売れる。そして中古車価格が高くても「欲しい」と思う人がたくさんいる。とくに定価がない中古車は市場での需要と供給のバランス=人気で相場が決まるため、人気がなければ一発で相場が下がります。中古車相場が高値で推移しているということは、それだけ多くの人が「マツダ車に乗りたい」と考えていることを証明しています。
もちろん未来のことは誰にも分からないので現在の相場の動きはあくまで未来の期待値ですが、愛車を手放すときに健全な価格が付く可能性が高ければ、安心してクルマを買えます。マツダにはこれからも魅力的なクルマを造り続けてほしいですね。
有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。
※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。
※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。
この記事はシリーズ「フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?