さて、それではそろそろクロージングにかかろう。
新春特別企画として始めた大明神降臨祭。既に2月の中旬に突入である。
「新春」を謳うには無理がある時期になってきた。
F:今回は衝撃の資本提携の話もあり、どうしてもトヨタの話が多くなってしまいました。ですので最後に「マツダのこれから」をたっぷりと語ってください。マツダはこれからどういう感じでクルマを造っていかれるのでしょう。
藤:オーナーズカーとして、“みんなが欲しいと思えるクルマ”を造ろうと思っています。だからやはりデザインは一番重要です。
F:端的に「カッコいい」クルマ。欲しくなるクルマ。
藤:もうそれしかないと思いますね。まずは。
F:デザイン力の向上、ブランド力の向上。それに伴って価格は上げていかないのですか?
藤:それはあれです。お客様が上げてもいいよ、とおっしゃってくださるなら喜んで上げます。お客様からの賛同が得られなければ、我々が勝手に価格を上げることはできません。
F:客の方から、どうぞ上げてくださいな、と言うことはないと思います。でもここまでカッコいいなら、ここまでよくできているなら、多少高くなってもまあ仕方ないよね……こうはなると思います。外から見ていると、価格に関してはマツダも変な遠慮があって、例えばロードスターなんて最初から「アフォーダブル」と言って売っているじゃないですか。あんなにいいクルマなのに。もう少し高くたって、買う人は絶対に買うでしょう。自分が思っていたよりも5万円も高いから、買うのをやーめた、なんて人は一人もいないのではないですか。
藤:いえ。ロードスターは、今のあの価格でも高いんです。多くの人から「高すぎる」とお叱りを受けているんです。
F:ロードスターが高い? いったい誰がそんなこと言っているんですか?
藤:昔からのファンの方々です。
F:昔のロードスターと比べれば、それはねぇ……。私はNDロードスターは非常にお買い得感の高いクルマだと思いますけれども。
藤:そこはバランスですね。どうプライシングしていくか、実は現在のマツダは一番難しい局面にあるのではないかと思います。そしてもうひとつ。例えば2012年に出した初代CX-5。あのクルマのリセールバリューは相当上がってきています。
F:そうですね。Yさんの海外赴任したご友人は、相当高く売れたと聞いています。
マイトのY:ええ、中古の業者さんが満面の笑みでめっちゃ高く買ってくれたそうです。相当前の話ですけどね。そういう意味では、マツダのリセールバリューは、もうかなり前から良くなっているはずですよね。もう「マツダ地獄」という言葉も聞かなくなりましたし。
F:本来の意味でのマツダ地獄ね(笑)。「当欄で延々とマツダの記事が続く怪奇現象」ではなく、「下取り価格が安いから、次もマツダ車を選ばざるを得ない負のスパイラル」、という……。
藤:本当に聞かなくなったでしょう。マツダ地獄。もうフェルさんだけですよ。そんなことを言うのは(笑)。
F:マツダとして、「マツダ地獄はもうなくなった。過去のものだ」と認識されたのは、時期としてはいつ頃のことですか。
藤:初代CX-5を発売した、2012年からですね。
F:企業としては最悪の言われ方ですものね。なんとかしなくちゃイカンと。
藤:これはたぶん日本のお客様にキチンと伝わっていないように思うのですが、最初に正しいお金、正しい価格で買うと、価値が維持されるんですよ。最初に値引きをすると、どんどん自分の持っているクルマって落ちていくんですよ。先程(「えっ、2019年に欧州で、アレが大復活?!」)お話しした、EVを補助金を貰って買うのと全く同じことです。
F:以前のインタビューで伺った、ご自宅の郵便受けに「デミオ30万円引き!」なんていう屈辱のチラシが入っていたという話もその昔にはあった……。
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