「そこのけそこのけ コルベットが通る」

 お次はRS7とは真逆のクルマ。羽は立っているわエラはそこかしこに切ってあるわ、威力十分迫力満点。トランプ大統領の国からやってきた、シボレーのコルベット グランスポーツ クーペである。

 ご覧くださいこの外見。もう何も言うことはありません。

 「雀の子 そこのけそこのけ コルベットが通る」

 現代に一茶が生きていれば、そう詠んだであろう(詠んでいないかも知れない)世界屈指の押し出しグルマ。見る者を圧倒し、周囲のクルマを威圧し、乗る者の自尊心をブーストする魔性のアメリカン。

 直線番長に決まっていると、大した期待もせずにこちらもターンパイクに持ち込んでみたのだが、さにあらん。最新のコルベットは、細やかな神経をも持ち合わせた“現代のアメリカン”なのである。

 エンジンこそ6.2リットル(!)と巨大だが、アルミを多用して重量は僅か1.6トンと軽量である。前後重量配分はほぼ50:50と理想の数値を実現しており、ドロドロドロと爆音を撒き散らして街道を流すのは昔の話。最新のコルベットは峠も十二分に楽しめるのだ。

 コーナリングスピードは非常に速い。アメ車というとグニャグニャに柔らかい足回りを想像しがちだが、このクルマは異様に硬い。「アメ車をナメるな!」と言わんばかりに法外に硬い。硬くて低いからロールしない。ペタンと路面に張り付いたまま、カートのような姿勢でコーナーを抜けていくのだ。

 速くて気持ちは良いのだが、あまりに硬いので長時間飛ばすと辛くなってくる。ダイヤルを回してコンフォートモードにしてみたのだが、残念ながら硬さは大して変わらない。ゴツゴツと突き上げ感があるし、跳ねて欲しくない場所で跳ねることもある。しかしそれらを全て笑って許せるような魅力がコルベットにはある。

 あらゆる欠点を、「だってほら、コルベットだから(笑)」と言って済ませてしまうようなチャーミングな部分が、このクルマには備わっているのだ。

 もちろんメイド・イン・アメリカで、車両は全てケンタッキー州にあるボウリンググリーンの最先端工場で組み立てられている。「熟練のスタッフが最高水準の素材と工程を駆使して作り上げています」とのことだが、全員が“合法滞在”のアメリカ人なのだろうか。

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